【闘病】風邪で行った病院で「即死の可能性」を告げられた脳動静脈奇形(AVM)(2/2ページ)

周りの愛に感謝し、前だけをみること

編集部
さきほどの心境の変化とは何があったのですか?
堤さん
今までの自分は、「どんなに辛くても自分で完璧にやり遂げる」という性格でした。それがこの病気を経験することにより、「できないことを無理して自分でやろうとしなくて良い」「そんな時は誰かに頼れば良い、助けて欲しいと言えば良い」ということを学びました。これは「自分と他人」だけでなく、「自分の右側と左側」に置き換えても同じことです。右側が使えないなら、左側を使えばいい。できないことを悔やむより、できる方ができない方を補えばいい、そう考えるようになりました。できないできないと嘆くより、「こっちが使えるじゃん。何とかなるじゃん」と前向きになれたこと、それが変化でした。
編集部
今までを振り返ってみて、後悔していることなどはありますか?
堤さん
先天性の病気なので防ぎようはなかったと思います。日常生活も普通に送れており、脳の検査をしようなんて夢にも思っていませんでした。でも今思えばですが、症状らしきものというか、思い当たる節はありました。
編集部
参考までに教えてもらえますか?
堤さん
小さな頃から耳を塞ぐと血液が流れる音がする、顔面神経痛が頻繁に起こることなどです。生まれた時からあったのでこれが普通だと思っていましたが、おそらく神経が圧迫されていたんだと思います。もっと早くそれに気づいていたら、ここまで大きくなることはなかったのではないかとは思います。
編集部
現在の体調や生活はどうですか?
堤さん
現在は脳の中にチタン製のクリップが3つ入っています。これは一生入ったままです。それ以外は体調などに何の問題もなく、術後の定期フォローも終了し、「再発の恐れなし」と言っていただきました。結婚、出産も経験し、今は仕事もバリバリやっています。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
堤さん
いつ何時、何が自分の身に起こるかはわかりません。私は毎日、後悔のないように生きていたはずなのに、実際に予期せぬ出来事に直面すると、後悔の連続でした。もっとこうしていれば、あの時こうしていたら防げたかもしれない。そう思えばキリがありません。ただ、目の前に起きた状況を受け入れ、周りの人たちの愛に感謝し、後ろは向かずに前だけを見ること、できない時は発想を転換すること、そうすれば必ずどこからか光がさしてくること。そう思っていくことが、あなたも周りの人も幸せに生きていく術になると思います。
編集部まとめ
できないことを嘆くのではなく、発想を転換すること、という前向きな姿勢がとても印象的でした。そんな堤さんでも「もっと早く受診できていれば……」と後悔してしまうこともあるようです。些細な症状でも「あれ?」と思ったら受診すること、さらには、症状がなくても「脳ドック」などで定期的に検査をしてみるのも良いかもしれません。



