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【闘病】「あのとき乳がんから目を背けなければ…」検診とセカンドオピニオンの大切さ(1/2ページ)

 更新日:2025/09/19

最初に自身の乳がんを疑ったとき、仕事の忙しさなどを理由に、大きくなるしこりに対して、見て見ぬふりをしてしまったという闘病者・さほさん(仮名)。彼女が乳がんと診断されるまでの経緯や、治療の大変さ・つらさ、その中での心の支え、家族の存在など、生々しい体験談から、身体に違和感を覚えたらすぐに病院へ行くこと、セカンドオピニオン持つことの大切さを学びます。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年8月取材。

さほさん

体験者プロフィール:
さほさん(仮称)

プロフィールをもっと見る

東海地方在住、1984年生まれ。1児の母、子供・夫との3人暮らし。両親も近くに在住。2018年に乳がんと診断され、抗がん剤治療後に右胸の全摘出手術を受ける。術後の分子標的薬による抗がん剤治療や、放射線治療を経て、現在はホルモン療法を継続中。体調は万全ではないものの、普通の日常に感謝しながら過ごしている。ブログ「さほDiary

楯 直晃

記事監修医師
楯 直晃 先生(宮本内科小児科医院 副院長)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

「ああやっぱりか」と思った乳がん告知

「ああやっぱりか」と思った乳がんの告知

編集部編集部

病気が判明した経緯について教えてください。

さほさんさほさん

2018年の7月に右胸のしこりに気付き、近所の乳腺科を受診しました。超音波検査、マンモグラフィを受けたのですが、そのときの結果は陰性でしたね。ただ、そこからの3ヶ月の経過観察中、どんどん大きくなるしこりに、見て見ぬふりをしてしまいました。なぜか大丈夫な気がしたし、そう思いたかったからです。その後10月に再び近所の乳腺科へ行くと、すぐに市民病院を紹介されることに。市民病院では、超音波検査と組織検査を受け、その3日後に造影剤を使ったCT検査も受診。そして1週間後、乳がんを告知されました。

編集部編集部

どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?

さほさんさほさん

浸潤性乳がん、ステージIIIAだと説明されました。その時点でしこりが大きくなりすぎていたのと、リンパ節に転移していることから、手術よりも抗がん剤治療を先にすることを勧められました。全身にまわってしまっているがん細胞を早くたたいたほうがいいと。

編集部編集部

ほかにも治療の選択肢はありましたか?

さほさんさほさん

先生の説明に疑問はなかったし、そうした方がいいんだろうなと思って主治医の先生が勧める治療内容でお願いしました。また、しこりの大きさから全摘出は免れないと最初から言われ、再建手術も形成外科の先生に話を聞いて、受けたくなったら受けるということに落ち着きましたね。あれから2年経ちますが、胸がなくなって困ることは特にありません。

編集部編集部

病気が判明したときの心境について教えてください。

さほさんさほさん

しこりがかなり大きかったので「ああやっぱりか」という気持ちでした。母親も乳がんになっていたので、「いつか自分もなるんだろうな」という予感もありました。母親も乳がんで全摘出していたので、話があったときにはあまりショックを受けていません。でも30代半ばだと、ちょっと早いなという気持ちもありました。

編集部編集部

現在も治療しているのですか?

さほさんさほさん

現在は、ホルモン療法を継続中です。30代半ばなのに、ホルモン療法からくる更年期障害に悩んでいます。ホルモン剤の影響からか、肝臓の数値が悪くなったり、けっして体調が万全とはいえないものの、普通の毎日を過ごせていることはありがたいなと思っています。

家族のサポートと娘の存在に支えられた乳がん治療

家族のサポートと娘の存在に支えられた乳がん治療

編集部編集部

発症後、生活にどのような変化がありましたか?

さほさんさほさん

もともと、3歳の娘を育てながらフルタイムで働いていましたが、職場と相談して治療中は休職させてもらえることになりました。正直、子育てしながらのフルタイム勤務はかなりストレスだったので、それと比べれば、治療中は抗がん剤で体調もしんどかったですが、心は穏やかでした。

編集部編集部

治療中大変だったことはなんですか?

さほさんさほさん

一番きつかったのが、抗がん剤治療の「AC療法」のときです。点滴日と次の日は、自分が生きるのに精一杯だったので、娘を実家に預けていました。近くに元気な両親がいたことは本当にラッキーです。ただ、私が入院して娘の情緒が少し不安定になってしまったのが、かわいそうでつらかったです。抗がん剤治療がきつかった半年は、娘には我慢ばかりさせていたと思います。

編集部編集部

ご家族のサポートがあったんですね。

さほさんさほさん

そうですね。旦那の家事能力が高かったので、洗濯、料理ともに私が寝込んでいても特に問題なかったです。私の仕事でのストレスが少なくなったからなのか、旦那が病気の私を気遣ってくれるようになったからなのか、喧嘩がすごく減りました。

編集部編集部

治療中の生活はどのような感じでしたか?

さほさんさほさん

抗がん剤治療中で体調がよくないときは、日中ずっとソファーでテレビや撮り溜めたドラマを見ていました。今までこんなにゆっくり毎日を過ごしたことがなかったので、治療中大変なことも多かったですが、「悪いことばかりじゃないな」という気持ちもありました。

編集部編集部

保険も入っていたとお伺いしました。

さほさんさほさん

はい。自分は絶対がんになるという謎の自信があったので、がん保険に入っていました。その保険金がまとまってもらえたのと、休職中ということで傷病手当をいただけたので、お金の心配がなくて良かったです。

編集部編集部

副作用で髪の毛が抜けたと伺いましたが。

さほさんさほさん

そうなんです。抗がん剤の副作用で髪の毛が抜け始めたとき、鬱陶しくなってバリカンで刈りました。そのとき、笑っていた旦那にムカつきながらも、深刻になりすぎないでいてくれたことに感謝です。娘に髪が抜けた姿を見せるのは心配でしたが「ママかわいい~」って言ってくれて、親バカですがほんとに良い子に育っているなって思いました。ちなみに頭は冬は寒くて、夏は汗が垂れるし、ウィッグが暑いです。

編集部編集部

治療中の心の支えはなんでしたか?

さほさんさほさん

娘の存在が大きかったです。当時はまだ3歳だったので、この子を残して死ねないという気持ちでした。「せめて自分のことが自分でできるようになるまで、あわよくば成人するまで、欲をいえば結婚するまで。やっぱり孫を抱くまでは死ねないよね」と思いながら、今も生きています。あとディズニーが好きなので、「元気になって絶対行く」と決めていました。治療が終わって行けたときは本当に嬉しかったです。

編集部編集部

闘病中「やって良かった」と思うことはありますか?

さほさんさほさん

ブログ、SNSですね。治療中にもっと活用しておけば良かったなと思っています。私は治療がかなり進んでから、自分の備忘録としてブログ「さほDiary」を始めました。そこでたくさんの乳がんの方と知り合えました。リアルの友達にも病気のことは隠していませんが、気を遣わせてしまっているなと感じることがあります。でも、同じ乳がんで治療を頑張っている仲間がいると心強いです。私の闘病記録はブログにもっと詳しく書かせてもらっています。

編集部編集部

SNSもやっているんですか?

さほさんさほさん

私はブログスタートでしたが、TwitterやInstagramでも活発に交流していて、気軽に治療やウィッグ、生活のことなど、なんでも相談できます。乳がんのタイプはすごく多いので、自分と同じ人を見つけると、治療方針や副作用など参考にできることは多いと思います。治療中にSNSをやっていたら、もっと励まし合って治療を頑張れたかなと思いました。なのでまずは、見る専門でもTwitterかInstagramのアカウントを作るのがお勧めです。

検診は「違ったらラッキー。早く見つけられてもラッキー」

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