睡眠時無呼吸症候群(SAS)には前兆がある?早期発見するポイントも解説
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は睡眠中に無呼吸状態となる病気です。睡眠時に起こるため、自分では気付かないことが多いですが、日常生活や健康面でさまざまな問題につながります。
それらの問題を単なる寝不足と考えて放置していると、気付いたときには重大な病気を引き起こしている可能性があります。そのため、前兆や症状を把握しておくことは重要です。
以下では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の前兆と早期発見するポイントなどを紹介します。睡眠で悩んでいる方の参考になれば幸いです。
監修医師:
田中 俊彦(仙台内科睡眠クリニック)
秋田大学医学部卒
秋田大学耳鼻咽喉科入局
2005年 たなか睡眠クリニック設立
2008年 あきた睡眠クリニック設立
2017年 滋賀睡眠クリニック設立
2020年 仙台内科睡眠クリニック設立
2023年 大阪梅田睡眠クリニック設立
目次 -INDEX-
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の前兆・初期症状は?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠時に無呼吸の状態が繰り返し起こるため、身体に大きな影響がおよびます。睡眠時無呼吸症候群(SAS)では、どのような前兆や初期症状が現れるのでしょうか。
前兆・初期は自覚症状がないケースも多い
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は睡眠中に起こるため、自覚症状に乏しいケースも少なくありません。自分だけでは把握しにくい病気です。無呼吸の症状やその他の症状が生じていても、自覚症状がないため問題がないと考え、その状態が日常的になり気付かない場合があります。
また、睡眠の質や熟睡感などは主観的なものであり、他人と比べるのが難しいです。そのため、周囲から見て眠そうに見える場合でも、本人の感覚では普段と変わらない状態であまり眠くないと感じている可能性もあります。
いびきをかく
いびきは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の前兆ともされています。
いびきは睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者さんに多く認められ、いびき以外は自覚症状が出にくい病気です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)によって睡眠時に無呼吸状態になることで、脳や心臓に負担がかかります。その負担が蓄積すると、循環器系の病気を引き起こすリスクが高まります。
ご家族やパートナーから睡眠時のいびきを指摘された方は、医療機関で検査を受けることをおすすめします。また、自分の周囲にいびきをかく方や睡眠時に無呼吸を繰り返す方がいる場合も、医療機関の受診を勧めとよいでしょう。
尿意による中途覚醒がある
睡眠時無呼吸症候群(SAS)では、低酸素状態になることで膀胱内圧が上昇します。睡眠時は膀胱の容量が低下しているため、尿意を感じやすく中途覚醒につながりやすいです。
また、睡眠時に呼吸が止まることで胸腔内圧が低下するため、心臓に戻る血流量が増加します。その血液の中で、身体の血圧調整に関係しているホルモンや、心臓に長時間負担がかかった際に分泌されるホルモンの産生が増加するためとも考えられています。
尿意による中途覚醒が気になる場合には、睡眠時無呼吸症候群(SAS)で生じるほかの症状も確認してみましょう。
起床時に頭痛がする
睡眠時無呼吸症候群(SAS)では、起床時に頭痛がする場合があります。頭痛は左右のこめかみに生じ、圧迫感があり4時間以内に消えることが特徴です。
原因は、脳血管の拡張や無呼吸による血圧上昇、一過性、熟睡感の低下、睡眠の分断、日中の眠気などが考えられます。起床時に頭痛がするのは、身体の何らかのサインかもしれません。
日中に眠気がある
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は身体が低酸素状態になるため、睡眠中に覚醒してしまいます。これが繰り返されるため、深い睡眠が妨げられ、睡眠不足に陥りやすいです。そのため、日中に眠気が生じやすくなります。仕事や運転の際には、ミスや交通事故につながる可能性があるため、注意が必要です。
集中力がなくなる
睡眠不足の状態では、集中力がなくなります。
夜更かしした次の日にパフォーマンスが落ちたり、集中力が保てなかったりした経験がある方もいるでしょう。睡眠時無呼吸症候群(SAS)でも同じことが起きています。睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者さんは自覚が難しいですが、睡眠の質が下がりやすいため睡眠不足の状態になりやすいでしょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)を早期発見するポイント
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は自覚症状が乏しいため、病院の受診にいたらないケースも少なくありません。しかし、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を早期発見するには、上記で挙げたような症状がある際に早期に医療機関を受診して検査を受けることが大切です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査には、簡易検査があります。簡易検査とは、鼻や口、指先にセンサーをつけて寝るだけで、ご自宅でも行える簡易な検査です。自覚症状に乏しく日中に眠気を感じていない方であっても、簡易検査によって今の睡眠の程度がわかります。簡易検査で睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性がある場合は、精密検査が行われます。
精密検査は病院での入院が必要になりますが、睡眠の状態や質を調べる検査であり、普段と同じように寝るだけで検査は終わりです。睡眠の質の低下や上記で挙げた症状がある方は、早期発見のためにも医療機関を受診しましょう。
CPAP治療とは?その効果と活用法
睡眠時無呼吸症候群(SAS)では、CPAP治療が行われます。
CPAP治療は、鼻に専用のマスクをつけて空気を持続的に送り込む治療法です。CPAP治療の仕組みと継続するポイントを解説します。
CPAP治療が無呼吸を防ぐ仕組み
CPAP治療は、気道を広げて睡眠時の無呼吸状態を防ぐ治療法です。
仰向けで寝た場合、舌や顎周辺に脂肪が多い方は、舌やその周囲の脂肪が下側にある喉に沈み込んでしまいます。舌の根元が沈み込むことで気道が塞がれるため、無呼吸になるのです。
そのため、CPAP治療では無呼吸にならないように、鼻から専用のマスクをつけて空気を送り込みます。空気を送り込むことで気道に一定の圧力がかかり続けるため、舌の根元が沈み込みにくくなります。これがCPAP治療が無呼吸を防ぐ仕組みです。
CPAP治療を長期で行うと日中の眠気やQOLの改善がみられ、重症の患者さんの予後も改善するといわれています。CPAP治療は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)に有効的な治療法です。
治療を継続するためのポイント
CPAP治療を継続するためのポイントは、CPAP装着の習慣化・設定圧の変更・部屋の加温加湿・マスクの変更・CPAP治療の効果の説明などが挙げられます。
CPAP治療は睡眠時無呼吸症候群(SAS)に有効な治療法ですが、さまざまな理由で継続が難しい方も少なくありません。理由には、マスクを装着した際の違和感や装着忘れ、入眠困難、鼻閉、口渇、息苦しいなどが挙げられます。治療を継続するためには、止めてしまうこれらの対策が必要となります。
マスクの違和感には新しいマスクへの変更や、違和感がないつけ方を一緒に考えることが重要です。装着忘れには装着を習慣化すること、入眠困難には短時間作用型の睡眠薬の検討など、原因に対処する方法があれば継続しやすいでしょう。加えて、CPAP治療の効果や必要性の説明も必要になります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスク
睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクは、日常生活に支障が出る・循環器系の疾患のリスクが高くなることなどが挙げられます。以下で、詳しくみていきましょう。
日常生活に支障が出る
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の影響で、日常生活に支障が出ることがあります。
睡眠時に無呼吸状態が繰り返し起きるため、睡眠の質が低下し、日中に眠気が出るようになります。その結果、仕事中や運転中の眠気により、仕事でのミスが増えたり交通事故を起こしたりする可能性も否定できません。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)による居眠り運転は、健常者よりも頻度が多く、重症度に応じて高いことがわかっています。また、一人での運転や郊外での運転、高速道路などの直線道路、渋滞時など、睡眠時無呼吸症候群(SAS)では単調で刺激がない場合に居眠り運転事故を起こすことが多いとされています。
事故を起こしてからでは取り返しがつきません。日中に眠気が強い方は、一度検査を受けることをおすすめします。
心臓疾患や脳卒中のリスクが高まる
睡眠時無呼吸症候群(SAS)によって全身が低酸素状態になり、そこから回復するために酸化ストレスが生じるようになります。
また、睡眠中は抑制されている交感神経も、覚醒反応が繰り返し起こることで、低下せずに高い状態が続きます。交感神経が昂っている状態が日中にまでおよび、不整脈の発生や血圧上昇につながります。血圧の上昇により血管内皮機能や心筋にも影響が及ぶため、心臓疾患や脳卒中のリスクが高まります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の方は、健常者に比べて心疾患で約2〜3倍、脳卒中で約4倍も合併症のリスクが高いとされています。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)でお悩みなら仙台内科睡眠クリニックにご相談を
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いのある方は、仙台市青葉区にある仙台内科睡眠クリニックを受診してみてはいかがでしょうか。
仙台内科睡眠クリニックは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)をはじめ糖尿病内科や消化器内科など、内科の領域を幅広く診療しているクリニックです。以下で、仙台内科睡眠クリニックについて紹介します。
睡眠時無呼吸症候群治療の経験豊富な医師が担当
仙台内科睡眠クリニックでは、睡眠医療に長年携わってきたスペシャリストが睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診察・治療を行っているクリニックです。
仙台内科睡眠クリニックの田中俊彦理事長は、日本睡眠学会 総合専門医の資格をお持ちです。豊富な経験と知識に基づき、日中の健康に睡眠を考慮した医療を大切にされています。そのため、秋田や大阪などにも睡眠クリニックを設立し、睡眠を考慮した医療の普及にも取り組んでいます。経験が豊富なため、睡眠に関する問題や悩みも相談しやすいでしょう。
生活習慣病の予防・治療にも対応
仙台内科睡眠クリニックでは、人生100年時代と呼ばれる時代に備えて、病気の予防・早期発見・早期治療に力を入れています。これは、高齢期に現れる病気の多くは、生活習慣病に由来していると考えられるためです。そのため、生活習慣病とされる高血圧・糖尿病・脂質異常症などの診察・治療も行っています。
仙台内科睡眠クリニックには、幅広い内科の知識を持った日本内科学会 総合内科専門医が在籍しているため、アレルギー内科や消化器内科にも対応しています。
何科を受診すればよいのかわからない症状の場合でも、仙台内科睡眠クリニックなら相談しやすいでしょう。
おもてなしのこころで患者さんのQOL向上をサポート
仙台内科睡眠クリニックでは、病院は何らかの不安を抱えて行くところだと考えています。そのため、病院を受診した患者さんの不安な気持ちが少しでも和らぐように、おもてなしの心で患者さんのQOL向上をサポートしています。
平日は19:00まで、土曜日は16:00まで診療しているため、平日に通院が難しい方も都合に合わせて通院できるでしょう。また、仙台内科睡眠クリニックの診察は、予約の患者さんを優先して行っています。
予約を行わなくても診察は受けられますが、待ち時間が生じるため診察を受ける際は、予約してから受診することをおすすめします。
仙台内科睡眠クリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間
JR線 仙台駅徒歩1分
宮城県仙台市青葉区中央1丁目1−1 S-PAL仙台東館 4F
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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10:00~13:00 | ● | ● | - | ● | ● | ● | - | - |
15:00~19:00 | ● | ● | - | ● | ● | ▲ | - | - |
▲:14:00~16:00
※初診:診療終了時間30分前まで
※再診:診療終了時間15分前まで
参考文献
- 知っておきたい循環器あれこれ
- 持続陽圧呼吸療法(CPAP)導入により覚醒および夜間頻尿が改善した脳卒中患者の 1 例
- 日本脳神経治療学会誌 第35巻
- 頭痛と睡眠障害
- 昼間の眠気 -睡眠時無呼吸症候群・ナルコレプシーなどの過眠症は治療が必要
- 健康づくりのための睡眠ガイド 2023
- 睡眠時無呼吸症候群における呼吸管理の実際
- 睡眠時無呼吸症候群の治療
- 閉塞性睡眠時無呼吸とこれからの在宅陽圧呼吸療法
- 循環器領域における睡眠呼吸障害の診断と治療,その問題点
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疫学
- 「睡眠時無呼吸症候群」に注意しましょう!
- SAS患者の交通事故発生率は?
- 医師紹介|仙台内科睡眠クリニック
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