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歯科は予防治療の時代。拡充された保険診療で充実の治療を追求 【熊本市東区 すけひろ歯科・kidsデンタルクリニック】

 更新日:2023/04/25

歯科は予防治療の時代。拡充された保険診療で充実の治療を追求
歯科は予防治療の時代。拡充された保険診療で充実の治療を追求

欧米では症状が出る前に対策を講じる予防治療が一般的だが、日本でもその考え方が広がりをみせている。国は保険制度の適用基準を拡充して、歯科に求める役割を治療から予防へとシフト。予防的な処置まで保険が適用されるようになり、予防治療が新たなステージを迎えている。地域の予防治療に取り組む「すけひろ歯科・kidsデンタルクリニック」の助廣 都祈院長に、現状をお聞きした。

Doctor’s Profile
助廣 都祈(すけひろ とき)
すけひろ歯科・kidsデンタルクリニック 院長

北海道医療大学歯学部を卒業後、同大学病院で研修を重ねる。その後、熊本パール総合歯科こども歯科クリニックに勤務。同クリニック宇土院で院長を務めたのち、2019年にすけひろ歯科・kidsデンタルクリニックを開院する。
日本歯周病学会、日本口腔インプラント学会に所属。船越歯周病研修会ベーシックコース、船越歯周病研修会アドバンスコース、FIRA日本口腔インプラント学会認定講習会を修了。

先生が予防治療に力を入れている理由をお聞かせください

私たちが食事を楽しめるのは、歯の健康あってのことだと気づかなくてはいけません。若いときは堅いものでもしっかり噛めて、自由に何でも食べることができますが、年を重ねるにつれてそれは難しくなりがちです。
しっかり噛めなくなっていく最大の原因は、歯周病です。歯周病は自覚症状がないまま進行し、最悪の場合、歯を失うことに繋がる怖い疾患です。自覚症状がない疾患に対抗するには、定期的に診察してトラブルを未然に防ぐしかありません。予防治療が大切だという理由は、そこにあります。

ライフステージに応じた対策が効果的な予防治療に

歯周病は予防が大切という考えは、ずいぶん浸透してきたように感じます

歯周病だけでなく、むし歯も初期の段階では自覚症状がありません。むし歯は治療で治るとお考えかもしれませんが、むし歯になった部分を取り除くことはできても、一度むし歯になった歯は再発のリスクがあり、治療を重ねることで弱っていきます。ですから、やはりむし歯もちゃんと防ぎたいですね。予防にかなう治療はないのです。

予防治療は、歯科医院におまかせすればよいのでしょうか?

歯科医院だけでは、予防できません。ご自身で毎日行う歯磨きが大きなウエイトを占めます。歯科で行うプロフェッショナルケアとご自宅でご自身が行うセルフケアの両輪で、予防治療は進めていきます。

予防というのは何歳くらいから始めるのがベストですか?

予防治療は歯が生えたときから始まります。生まれたばかりの赤ちゃんの口内には、細菌がいません。細菌がいなければ、むし歯や歯周病のリスクはゼロです。
しかし、生活の中でさまざまな菌が口の中に侵入します。その一つが、ミュータンス菌というむし歯の原因菌で、多くの場合、ご家族からの感染で赤ちゃんの口に棲みつきます。むし歯も初期は痛みがありませんし、小さなお子さんは自分で症状を訴えることも難しいですから、乳歯であっても予防治療は必要です。
むし歯菌を赤ちゃんに移さないためには、ご家族の対策が重要になります。要するに、年齢にかかわらず予防治療を始めてほしいのです。

ライフステージに応じた対策が効果的な予防治療に

年齢によって、ケアの方法は異なりますか?

小さいときは自分で歯を磨くことが難しいため、歯ブラシを口に入れる習慣づくりだけで十分です。ご家族が仕上げ磨きをしてあげてください。
学童期になると、自分でもしっかり歯磨きができるようになるため、正しいブラッシング法を身につける必要があります。ご自宅でも染め出し液を使って磨き残しのチェックを行うといいと思います。
20歳を過ぎる頃からは、歯周病のリスクが増すため、歯ブラシだけでなくデンタルフロスや歯間ブラシなどを使いながらのケアが重要です。もし、すでに歯周病で歯を失っているのであれば、それ以上歯をなくさないために、インプラント義歯などで補完的な治療が求められます。

保険適用でもここまでできる。広がった予防治療の可能性

保険適用でもここまでできる。広がった予防治療の可能性

歯科医院で行う予防治療の内容について教えてください

まず、問診で歯の状態をお尋ねします。歯磨きのたびに出血するのであれば、それが歯周病の兆候なのか、それとも歯ブラシの当て方に問題があるのか、問診をもとに診察します。
レントゲン撮影や歯ぐきの検査も行い、歯と歯ぐきの隙間に歯周ポケットがあるか、歯周ポケットの深さはどの程度なのかなど、さまざまな項目をチェックします。
検査が終わると、専用の医療器具で歯をクリーニングします。セルフケアでは落としきれない歯垢や歯石を落として、表面をツルツルに磨きます。このとき、患者さんには舌触りで汚れのない歯の感触を覚えていただきたいですね。セルフケア後の状態と比べてもらえると、歯磨きの目標がつくれると思います。

予防治療には、健康保険が適用されるのでしょうか?

国も保険制度の見直しを進め、現在では以前よりも保険内で定期管理がし易い環境となりました。
ところで、「SPT」という言葉を聞いたことはありますか?
歯周病安定期治療といって、病状が安定した歯周組織の健康を維持するための治療を指します。この治療にも保険が適用されるようになりました。実に画期的な変化です。
これまでの保険診療では、定期検診やメンテナンスでできることが少なく、悪化しなければ積極的な治療ができませんでした。ところがSPTなら、悪化する前に予防的な治療を行うことができます。
また、ご高齢の方特有の症状として、歯の根元にむし歯ができることがあるのですが、この予防にも保険が適用されるようになっています。国が、治療から予防へと考え方をシフトしているのは、大いに歓迎すべきことです。

保険診療なら費用負担が少なくて済むので安心ですね

費用負担が少ない上に、患者さんの症状に応じて毎月でも予防治療ができるようになりました。これまでの保険制度では、3カ月以上の時間を空けなければいけなかったのですが、いまでは制約を受けずに、必要な方に適切な予防治療ができるようになっています。

予防治療の頻度はどれくらいになりますか?

歯周病やむし歯にかかりやすいかどうかは、患者さんの口腔環境やブラッシングの仕方によって異なります。ですから、歯科医師や歯科衛生士がお口の状態を診て治療頻度を判断します。
長くて3カ月、短い場合は1カ月が目安です。最初は1カ月に1度通院していても、状態がよくなれば次の治療までの間隔が長くなることもあります。

保険適用でもここまでできる。広がった予防治療の可能性

予防治療をきっかけに、子どものお口トラブルも早期に発見

予防治療をきっかけに、子どものお口トラブルも早期に発見

先生の歯科医院では「マタニティー治療」をすすめているそうですが、その理由をお聞かせください

特に妊娠中は歯ぐきが腫れやすかったり、つわりの影響で歯ブラシを口に入れることが辛くなったりして、お口の状態が不安定になります。そのため、歯周病やむし歯のリスクが上がる上、妊娠中の歯周病は低体重児の出産や早産の可能性を高めます。ですから、妊娠中にこそ、予防治療を進めてほしいんです。
理想をいえば、妊娠する前から予防治療を進めていれば、慌てることはありませんね。赤ちゃんにむし歯菌を移さないためにも、早くから予防治療を始めてほしいと思います。

出産前のお母さんも、出産後は赤ちゃんも、予防治療は大事だということですね

小さいときから予防治療を行うメリットは、実に多くあります。人は本来、鼻呼吸なのですが、成長途中にあるお子さんは口呼吸になりやすく、口呼吸だと口がポカンと開いてしまいます。予防治療は、こうした症状の発見にもつながっていきます。
口が開くと、口まわりの筋肉やあごが発育できず、歯並びや咬み合わせに問題を起こすようなこともあります。

予防治療をきっかけに、子どものお口トラブルも早期に発見

口呼吸が、顔まわりの成長発育に影響があるとは知りませんでした

口呼吸が原因でお顔まわりの筋肉が発達できないと、どうしても表情がぼんやりとしてしまいます。歯並びや咬み合わせを矯正する際にも、口呼吸のままでは治療が思うように進みません。
また、口呼吸のお子さんは扁桃腺が腫れやすかったり、風邪をひきやすかったりと、体調面への影響も心配です。口呼吸を早期に発見して改善を図る意義は大きいといえます。

正しい情報を持たなければ、子ども本人だけでなく親も後悔しますね。最後に、この記事を読む読者にメッセージをお願いします

正しい知識を身につけることは、お子さんにとっても、ご両親にとっても大切なことです。お口が持つ機能を知り、ご自身やご家族のお口に興味を持つことで、一生役立つ知識を得ることができます。
予防治療をきっかけに歯科医院へ通う習慣をつけていただくメリットは大きいはずです。ぜひご家族で、予防治療を始めていただきたいと思います。

編集部まとめ

熊本市東区長嶺、すけひろ歯科・kidsデンタルクリニックへは、バス停「福祉センターグラウンド前」下車、徒歩4分。50台の駐車場スペースがあるので、お車で出かけても安心です。一般歯科、小児歯科をはじめ、マウスピース矯正小児矯正インプラント治療審美治療も行っています。予防治療では、保険適用の治療に取り組み、小ない費用負担で最大のメリットが得られる診療を進めています。
今回、助廣先生のお話を伺って、予防治療は幼少期から行っていくことの大切さを実感しました。同院では予防治療を始めやすい環境が整っているので、ご家族でスタートされることをおすすめします。

すけひろ歯科・kidsデンタルクリニック

医院名

すけひろ歯科・kidsデンタルクリニック

診療内容

予防治療・メンテナンス むし歯治療 歯周病治療 など

所在地

熊本県熊本市東区長嶺南1丁目6-5

アクセス

JR豊肥本線「新水前寺」駅より車で12分
バス「福祉センターグラウンド前」停留所より徒歩4分

この記事の監修歯科医師