歯周病・むし歯の予防法をおさらい!世代ごとに異なる適切なケアとは 【大阪府寝屋川市 大杉歯科医院】

大杉歯科医院
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超高齢化社会を迎えている今、健康寿命をのばし、人生を楽しむために欠かせないのが「歯の健康」。歯を失う原因となる歯周病やむし歯を防ぎ、1本でも多く自分の歯を多く残すためにはどうすればよいのか。今回は、幅広い年代を対象に予防治療診療を提供している大阪府寝屋川市の大杉歯科医院の大杉院長に話を伺った。世代別の予防のポイントも紹介するので、ご自身やご家族のためにぜひご一読いただきたい。

Doctor’s Profile
大杉 泰敏
大杉歯科医院 院長

大阪歯科大学卒業後、大阪歯科大学口腔外科第1講座大学院にて歯学博士取得。2003年、大杉歯科医院にて診療開始。2013年、大杉歯科医院の院長に就任。日本口腔外科学会 口腔外科専門医。日本口腔外科学会、日本顎関節学会、ドライマウス研究会に参加。

歯周病・むし歯予防はセルフケアと専門家によるケアのどちらも大切

先生は、治療と同じくらい予防治療に力を入れているそうですが、その理由を教えてください。

近年は、デンタルケアの重要性は以前より広く知られるようになりましたが、一方で、家庭でのセルフケアと専門家による定期的なケアの両方が必要であるなど、歯周病やむし歯の「正しい予防法」はまだまだ認知されていないと感じています。
昔は、歯医者さんといえば、歯が痛くなってから通う「むし歯を治すための歯科」でしたが、現在は欧米と同じように「予防のための歯科」として、日本でもその役割が変わってきているためです。

歯周病・むし歯予防はセルフケアと専門家によるケアのどちらも大切
なるほど。家で毎日歯みがきを頑張っているだけでは予防としては不十分なのでしょうか?

どんなに毎日ブラッシングを丁寧にしている人でも、磨き方の癖や歯ブラシが行き届かない部分があったりして、歯周病やむし歯の原因となる歯垢(プラーク)は蓄積してしまいます。
歯垢が固まって歯石になると、ブラッシングでは取ることはできません。歯石の中やその周りにさらに多くの細菌が棲み着き、歯周病を進行させる毒素を出し続けるので、歯石を放置しておくことはとても危険です。

歯垢や歯石を取るために歯科の専門家の力が必要になるわけですね。

歯科医院では、歯科のプロが専用の機器を用いて行う歯のクリーニングを受けることができます。歯垢や歯石の除去のほか、歯面清掃も行い、歯の表面に汚れを付きにくくします。
また、定期的にお口の中をチェックすることで、歯周病やむし歯の初期症状や口腔内の異変なども早めに見つけて、対処することができます。お子さんには、むし歯予防に効果があるフッ素の塗布もおすすめしています。

歯科医院では、セルフケアのアドバイスもしてもらえますか?

もちろんです。歯の大きさや並び方には個人差があり、歯垢が溜まりやすい場所も人によって違います。
歯科医院では、歯垢に赤い色がつく染め出し液で磨き残しの場所をチェックし、きちんと磨けていない場所を患者さんと一緒に確認できます。また、ご自身では気づくことができない磨き方の癖もわかります。正しいブラッシング方法をお伝えするだけでなく、歯ブラシや歯磨き粉の選び方もアドバイスします。
当院では、お口の健康状態を知ることで自分のお口に合った歯磨剤などがわかるSMTという唾液検査も提供しています。

歯科にはどのくらいの頻度で通うのがよいのでしょうか?

生活習慣や食事の内容、ブラッシングの仕方などが人により違いますので、定期検診が必要な頻度は個人差があるのですが、半年に1回くらいが平均的です。お口の中の状態がよくない方は、2~3カ月に1回など、もっと短い間隔で通っていただくほうがいい場合もあります。

家庭でのセルフケアのポイントを教えてください。

歯垢が残りやすい場所は、歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目、奥歯の溝、歯の内側などです。そこを重点的に磨くようにしましょう。歯ブラシだけで除去できる歯垢は全体の約50%程度です。
歯と歯の間の歯垢を取り除くには、歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを併用することが有効です。また、ブラッシング時には、歯を強くしてくれるフッ素入りの歯磨剤を使うといいでしょう。

歯周病・むし歯予防はセルフケアと専門家によるケアのどちらも大切
ブラッシングのほかにセルフケアで大切なことはありますか?

歯周病やむし歯の原因となる歯垢は、口内の食べかすの中にある糖質(ショ糖)をエサにして口内細菌がつくり出します。昔から「甘いものを食べるとむし歯になる」といわれていますよね。糖分の多い飲食物や柔らかい食べ物が多い食生活は、歯垢が蓄積しやすいので注意が必要です。
また、歯周病の原因は歯垢だけではありません。免疫力を低下させる疲労やストレス、歯周組織の抵抗力を弱らせる喫煙習慣なども歯周病のリスクを高めます。歯の形成の面では、栄養バランスを考えた食生活を送ることも大切です。

家庭での歯周病・むし歯予防の年代別ポイント

家庭でできる予防のポイントを年代別にお聞かせいただけますか?

成人の場合はむし歯というより歯周病対策だけに目が行きがちですが、治療した歯の詰め物の裏側に発生する「二次う蝕」や、歯周病によって歯の根面が露出した場所に発生する「根面う蝕」など、成人特有のむし歯も多く見られます。
成人の方は全体的にデンタルケアを頑張るあまり、ブラッシングのときに力を強く入れすぎて歯の根面をむし歯にしてしまう傾向があるので、歯を強くするフッ素入り歯磨剤を使うといいでしょう。
また、予防だけでなく既に歯周病にかかっている方についても、その状態を少しでも改善していくために、家庭でのセルフケアと併せて歯科医院での専門的なケアを行うことが大切です。

家庭での歯周病・むし歯予防の年代別ポイント
高齢者の場合はどうでしょうか?
高齢者の場合、すでに歯周病が進行していたり、歯が抜けていたりするなど、お口の中の状況が複雑になっている方が結構多くいらっしゃいます。すると、ホームケアだけでは確実な清掃を行うことが難しいんですね。
たとえば、高齢の方から「薬が飲み込みにくくなった」「硬いものが最近食べにくくなった」などの声を聞いたことはありませんか? これは口腔機能低下(症)の兆候です。
実は、唾液にはお口の中の汚れや菌などを洗い流す自浄作用がありますが、高齢になると身体機能の衰えによって唾液の分泌量が減り、口腔内の免疫力の低下が起きてくるんです。
口の中がひりひり痛むような病気の一つとして、カンジダ症があります。その他、免疫力が低下するとさまざまな口腔粘膜の疾患が起こりやすくなります。定期的な検診を受けることでこのような疾患を発見でき、しいては、口腔癌などの悪性腫瘍の早期発見も期待できます。
口腔機能の低下を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか?
高齢者の場合は特に、専門家のケアやアドバイスを受けることが重要でしょうね。最近何となく滑舌が悪い食べこぼしが増えてきたといったような、口の機能の軽微な衰えをオーラルフレイルといいます。オーラルフレイルは些細であっても、それが全身の虚弱に結び付いていく可能性があるので、自分で意識して毎日しっかりケアを行い、常に口腔内をきれいに保っていく必要があります。
学童期の子どもの場合はどうでしょうか。

成人と同様、フッ素入り歯磨き粉の使用をおすすめします。フッ素は、唾液中のカルシウムなどと反応して歯の表面をコーティングし、むし歯菌により歯が溶けにくい状態にする働きをします。また、溶けた歯を修復する再石灰化を促す作用もあります。
学童期は乳歯から永久歯へ移行する時期であり、そのときどきのお口の状態に合わせたブラッシングが大切になってきます。お子さんが自分で歯を磨いた後、保護者の方が磨き残しをチェックして歯垢が溜まるのを防いであげましょう。

ちなみに、子どもは歯周病にはならないと考えてよいですか?

そのように誤解されている方が多いのですが、実はお子さんにも歯周病は発症します。歯周病の一種「侵襲性歯周炎」は、早ければ小児期からかかるお子さんがいます。それほど歯垢も多くなく、炎症も乏しいのに、歯周組織の破壊が急速に進むのが特徴の怖い病気なので、早期発見・早期治療が重要です。

幼児については家庭でどのように予防すればいいか教えてください。

小さなお子さんの場合は、どうしても甘いジュースやお菓子を欲しがるので、糖分を多く含む食べ物や飲み物の量と回数を減らし、歯の健康を守る正しい食習慣を身に付けることが大切です。また、まだ上手にブラッシングができる時期ではないので、保護者の方がしっかり仕上げ磨きをしてあげることが大切です。
幼児期のむし歯、口腔内の衛生状態は、永久歯の健康にも大きく影響します。乳歯のむし歯ができたら、「どうせ抜けちゃうから」などと放置せず、早めに治療しましょう。

家庭での歯周病・むし歯予防の年代別ポイント
離乳食開始期や新生児など、赤ちゃんでも気をつけることはありますか?

最初の乳歯は、生後6カ月から8カ月にかけて下の中央から生えてきます。1本でも歯が生え始めたら、ミルクや離乳食の後、清潔なガーゼで歯の表面を拭いてあげましょう。離乳食を始めたら、就寝前のブラッシングを習慣にします。
1歳半くらいになると、奥歯の第一乳臼歯が生え始めてきますが、この頃には卒乳を目指したいですね。ただし、就寝前のブラッシングがきちんとできていれば、卒乳については神経質にならなくても大丈夫です。
新生児については、大人から子どもへのむし歯菌の感染を避けるため、口移しやお口の接触は避けるべきです。もちろん、大人がきちんと口腔ケアをすることも大切です。

歯周病とむし歯の予防に関する情報は日々アップデートを

歯の健康を守るために大切なことで、私たちが知らないことがまだまだたくさんありそうですね。
たとえば、親や祖父母が食べ物を噛み砕いて子どもに与えるなどは、昔は当たり前のようにやっていた人が多かったですね。でも、今はお子さんの歯のためによくないことが常識になりつつあります。
かつてはむし歯治療のためにあった歯科が、現在は予防治療としてその役割を担っているように、現在の常識が数年後には古い情報になっていることもあります。歯とお口の健康に関する情報は、皆さんもこまめにアップデートすることが大切です。
歯周病とむし歯の予防に関する情報は日々アップデートを
情報をアップデートするためには、具体的にどんなことをすればよいでしょうか?

何より、かかりつけの歯科医を持つことが大切です。定期検診などで普段からお口の状態を把握しているかかりつけの歯科医がいれば、一人ひとりの状態に合わせた適切な口腔ケアをアドバイスしてもらえます。
これまでの治療を踏まえたアドバイス等もしてもらえるため、今後のケアや治療についての相談もスムーズです。また、歯とお口でちょっと気になることが出てきたときに、かかりつけ医であれば気軽に相談できるので、早期発見・早期治療にもつながります。

お子さんはなかなか歯医者には行きたがらないようです。

日本歯科医師会や都道府県歯科医師会がさまざまなイベントを開催しています。なかには、ヒーローショーや紙芝居などを開催しているイベントもあり、子連れで歯科関連のイベントに参加するのは気が引けるという方も、お子さんも一緒に楽しめます。イベントによっては、会場でブラッシング指導やフッ素塗布をしてもらえることもありますよ。

歯周病とむし歯の予防に関する情報は日々アップデートを
小さな頃から歯の健康について意識を高められるのはとてもいいですね! ありがとうございました。最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

デンタルケアを正しく行うことは、高齢になったときに自分の歯でおいしく食事ができるためにとても重要なことです。
むし歯になると痛みが生じるだけでなく、治療法によっては見た目が悪くなる問題や、歯を失うリスクも発生します。歯周病は日本人が歯を失う原因の1位で、糖尿病や心筋梗塞など重大な全身の病気と深く関わっていることもわかっています。
永久歯を失ってしまうと、お口全体の健康を考えて人工歯などで補う必要があり、金銭的にも毎日のケアも負担がかかります。歯周病やむし歯にならないために、毎日のケアと定期的な専門家のケアを怠らないようにしましょう。ホームケアと専門家によるケアは車の両輪で、どちらも欠かすことはできません。

定期的な歯科受診が現代の常識

患者さん一人ひとりの年齢やお口の状態に合わせた予防システムを提供している大杉歯科医院。院長のお話を伺い、自分の歯を守るために、定期的に歯科医院へ通うことの必要性がよくわかりました。歯科医院で予防ケアを受け、自分の口の中の状態を知ることでセルフケアもさらに効果的になると感じました。いま特にお困りの症状がない方も、この記事をきっかけに信頼できる歯科を探し、一度受診してみてはいかがでしょうか。

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