「食べたらすぐ下痢になる」症状で考えられる病気はご存知ですか?医師が徹底解説!
食べたらすぐ下痢になるとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
※この記事はMedical DOCにて『「食べたらすぐ下痢」を催す原因・対処法はご存知ですか?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
「食べたらすぐ下痢になる」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「食べたらすぐ下痢になる」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
過敏性腸症候群(IBS)
ストレスが発症に関連している過敏性腸症候群は、腹痛や腹部全体の不快感だけでなく下痢や便秘症状を伴う疾患であり、男性では腹痛やお腹の不快感をともなう下痢型、女性では便秘型として出現することが多いとされています。
命に直結する致命的な病気ではありませんが、電車の中などトイレのないところでは非常に困るなど生活の質を著しく悪化させます。
過敏性腸症候群を発症する原因は、はっきりとはわかっていませんが、最近の研究では、何らかのストレスが加わると、ストレスホルモンが脳下垂体から放出されて、その刺激で腸の動きが悪化して、過敏性腸症候群の典型症状が認められると考えられています。
過敏性腸症候群では、腸が刺激に対して「知覚過敏」になり、ほんの少しの痛みやストレスから、脳のストレス反応を惹起して、症状が悪循環になるという負のスパイラルに陥ってしまうこともあります。
乳糖不耐症
乳糖は大腸内に水を呼び込む特性を有しているので、乳糖が大腸に流れ込むとその分下痢症状をもたらしやすくなりますし、ガスが大腸内部で大量に発生すると腹部膨満感などの症状が出現する原因となります。
このように乳糖摂取によって生じる不快な症状を「乳糖不耐症」と呼んでいます。
この状態になればヨーグルトや牛乳など乳製品を摂取することで、下痢や腹痛などの症状が認められやすくなります。
乳糖は、通常であれば乳糖分解酵素の働きによって小腸でグルコースとガラクトースに分解されて、腸管に吸収されることでエネルギーになりますが、乳糖不耐症の場合には乳糖が十分に分解されずに大腸に運搬されて、大量の水分が大腸に送られることで下痢症状が出現します。
大部分の日本人は乳糖不耐症を有するため、大量に牛乳を摂取しない方が良いと指摘されています。
乳糖の量を抑えた市販の乳飲料、あるいは乳酸菌の発酵によってもともと乳糖成分の30%程度が分解されて乳糖の含有割合が減少しているヨーグルトなどを摂取すれば牛乳などと比較して下痢が起こりにくいと言われています。
ヨーグルトや牛乳を摂取して下痢症状が頻繁に起こる場合には、自分の体質に合った商品を選ぶことも重要です。
乳幼児から症状が出現するため、心配であれば、小児科など専門医療機関を受診して相談しましょう。
「食べたらすぐ下痢になる」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「食べたらすぐ下痢になる」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
毎食後すぐに下痢をしてしまうのは病院に行くべきでしょうか?
甲斐沼 孟(医師)
毎食後すぐに下痢症状を来す際には、乳糖不耐症の可能性がありますので医療機関を受診して相談しましょう。
食べたらすぐ下痢になるのですが市販の整腸薬で治りますか?
甲斐沼 孟(医師)
腸薬を服用して様子観察できますが、症状が重症化する、あるいは長引く際にはできるだけ早く専門医療機関を受診しましょう。
ストレスが原因で食べたらすぐ下痢になることはありますか?
甲斐沼 孟(医師)
ストレスや過度の緊張が原因で食べたらすぐに下痢が出現することもあります。上手にストレス発散して、緊張を緩和し、規則正しい生活を送ることによって自律神経が整って症状が改善する効果が期待できます。
食べるとすぐ下痢をして痩せていくのはお腹の病気なのでしょうか?
甲斐沼 孟(医師)
食べるとすぐに下痢をするだけでなく、体重が減少して痩せていく場合には低栄養や脱水を危惧する必要がありますし、大腸がんなど腹部疾患が隠れている可能性が考えられますので、早急に専門医療機関を受診して相談しましょう。
まとめ 食べたらすぐ下痢になるのは要注意
頻繁に食後、下痢を起こす際には、過敏性腸症候群や乳糖不耐症、胃腸炎やストレスに伴う生理反応の可能性があります。
下痢そのもので亡くなることは稀ですが、下痢症状に伴って脱水症状が合併すると、体内の水分と電解質のバランスが崩れて人体の機能維持に支障をきたしますので、小まめに水分を補給して胃腸に負担の少ない食事内容を摂取しましょう。
万が一、下痢症状が長期間に渡って継続する場合には、大腸がんなど重大な疾患を見逃さないためにも、速やかに専門医療機関の医師に相談するように心がけましょう。
今回の情報が参考になれば幸いです。
「食べたらすぐ下痢になる」症状で考えられる病気
「食べたらすぐ下痢になる」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
小児科の病気
- 乳糖不耐症
心療内科の病気
- ストレスに伴う自律神経症状
症状が続く際には、早めに医療機関を受診し相談することをお勧めします。
「食べたらすぐ下痢になる」に似ている症状・関連する症状
「食べたらすぐ下痢になる」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 発熱する
- 便秘など便通異常を伴う
- 嘔吐
- 体重が減少する
- 血便が出る
- 自律神経が乱れて睡眠障害など認める
- 下痢が続く
- 腹痛と下痢
- お腹痛くないのに下痢
- 嘔吐と下痢
- お腹が痛い
- 食べるとお腹が張る
- お腹は空くのに食べると気持ち悪い
- 少量の便 何回も出る
「食べたらすぐ下痢になる」症状の他にこれらの症状がある場合でも「過敏性腸症候群」「胃腸炎」「乳糖不耐症」「ストレスに伴う自律神経症状」などの疾患の可能性が考えられます。嘔吐や発熱などの症状がある場合には、早めに医療機関を受診しましょう。