目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 配信コンテンツ
  3. 「少量の便が何回も出る」のは「大腸がん」や「便秘」が原因?医師が徹底解説!

「少量の便が何回も出る」のは「大腸がん」や「便秘」が原因?医師が徹底解説!

 公開日:2024/11/25

少量の便が何回も出るとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

※この記事はMedical DOCにて『「少量の便が何回も出る」のは「大腸がん」や「便秘」が原因?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

金子 緑

監修医師
金子 緑(医師)

プロフィールをもっと見る
2011年新潟大学医学部を卒業。初期臨床研修を終了後、複数の病院勤務やクリニック院長を経 て現在はクリニックで内科医として勤務している。日々幅広く患者さんの相談に乗り地域医療の 貢献に努めている。日本内科学会所属。

「少量の便が何回も出る」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「少量の便が何回も出る」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

感染性腸炎

感染性腸炎は、化管がウイルスや細菌に感染し、発熱、腹痛、嘔吐、下痢といった症状を来します。原因となる代表的なものは、ウイルス性ではノロウイルスやロタウイルス、細菌性では黄色ブドウ球菌や病原性大腸菌、カンピロバクターなどです。治療の基本は症状を和らげる対症療法です。水分や消化に良い食べ物を摂取し、症状によっては整腸剤を内服します。基本的には自宅で安静にしていれば数日から1週間程度で症状は改善します。
しかし、飲水や食事摂取が十分できない場合には脱水症となることがあります。また、細菌性腸炎は対症療法で症状が改善しない場合、抗菌薬による治療が必要です。水分摂取が十分にできない場合や、1週間以上症状が続く場合、血便がある場合には、一般内科や消化器内科を受診してください。

便秘

便秘症とは、本来体外に排出するべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態と定義されています。便が大腸に長く停滞することで便が硬くなってしまい、1回の排便で少量しか便が出ず、お腹の違和感や残便感があるような状態です。
食習慣を含む生活習慣の改善が必要です。特に乳製品や発酵食品、食物繊維の摂取は、腸内環境を改善させ排便習慣を改善させます。また、十分な水分摂取や規則正しい生活、適度な運動も大切です。
それでも改善しない場合、薬物療法が効果的です。酸化マグネシウムなどの便を軟らかくする緩下剤や、センナやピコスルファートナトリウムといった大腸を刺激して動かす刺激性下剤を内服します。これらは市販薬でも入手でき、消化器内科でも処方されます。通常なら緊急性はありませんが、症状が長く続くと腹痛や腸閉塞の原因となる場合があります。急に強い腹痛が起きたり、気持ちが悪くなって嘔吐したりしてしまった場合は、すぐに医療機関を受診してください。

大腸がん

大腸がんとは大腸粘膜に発生する悪性腫瘍です。多くは良性の大腸ポリープから徐々に進行してがん化していきます。喫煙や飲酒、肥満、赤身肉や加工肉といった肉類の摂取がリスクと言われています。
早期の段階では無症状で、健診の便潜血検査や大腸内視鏡で初めて発見されることも多いですが、進行すると腹痛、下血などの多彩な症状をきたします。また便の通り道が細くなっていくので、便も細くなり、少量ずつ頻回に排泄されるようになります。この状態がさらに進むと便の通り道を完全に塞いでしまい、腸閉塞となります。嘔吐や腹痛、お腹の張りといった症状が出現します。この場合、緊急の処置が必要になるため、すぐに医療機関の受診が必要です。
また進行がんでは、リンパ節や肝臓、肺などの他臓器に転移する場合があります。治療は切除可能と判断される場合は内視鏡治療や外科治療を行います。根治切除が難しい場合には、化学療法の適応となります。大腸がんを疑う場合、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。消化器内科や消化器外科での治療が必要です。

過敏性腸症候群(IBS)

​​過敏性腸症候群(IBS)とは、ストレスなどによる自律神経の乱れによって、腹痛や下痢、便秘、便意頻回、残便感といった消化管の多彩な症状を来す病気です。症状は長期間継続し、排便により症状が改善したり、症状によって排便回数が増減したり、便の性状が変わったりするのが特徴です。
まずは生活習慣や食生活の改善が必要です。日常生活からストレスを取り除き、十分な休養を取るようにしましょう。また辛いものといった刺激物やアルコール、カフェイン、高脂質のもの、暴飲暴食など、消化管に負担となる食事は避けましょう。それでも改善しない場合は、消化器内科で薬物療法を行います。IBSの患者さんは日常的に排便習慣に悩んでいることが多いため、早めに受診することをお勧めします。

「少量の便が何回も出る」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「少量の便が何回も出る」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

少量の便が何回も出る時は病院に行くべきですか?

金子 緑金子 緑 医師

以前から症状があり、他に気になる症状がなければ様子をみて構いません。最近急にそのような症状が出できたり、腹痛や嘔吐、下痢などを伴う場合には医療機関の受診を検討してください。

何度トイレに行っても残便感がありすっきりしないのは危険ですか?

金子 緑金子 緑 医師

便秘症が原因の可能性もありますが、過敏性腸症候群や大腸がんでも同様の症状が起こり得ます。気になる場合は一度受診をお勧めします。

便通が悪く1日に何度も少しだけ出るのは腸内環境の問題でしょうか?

金子 緑金子 緑 医師

腸内環境の乱れでも同様の症状が起こり得ます。バランスのとれた食生活や規則正しい生活習慣を心掛けてください。

少量の便が何回も出るのですが便秘が原因でしょうか。

金子 緑金子 緑 医師

便秘症が原因とは言い切れません。大腸がんや他の病気でも起こり得ます。気になる場合には、受診のうえご相談することをお勧めします。

まとめ

排便習慣については誰しもが一度はトラブルを抱えたことがあると思います。自然と改善することも多いですが、普段と違う症状や気になることがある場合は、無理せずに医療機関を受診してください。

「少量の便が何回も出る」症状で考えられる病気

「少量の便が何回も出る」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器内科の病気

その他の病気

  • 妊娠

自然と改善することも多いのですが、症状が続く場合には受診して相談することをお勧めします。

「少量の便が何回も出る」に似ている症状・関連する症状

「少量の便が何回も出る」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「少量の便が何回も出る」の症状の他にこれらの症状がある場合でも「便秘症」「感染性腸炎」「過敏性腸症候群(IBS)」「大腸がん」「妊娠」などの疾患の可能性が考えられます。激しい痛みや出血を伴う場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師

注目記事