悪性リンパ腫の初期症状は、一般的な体調不良と見分けがつきにくいという特徴があります。そのため、どのような身体の変化に注意すべきかを理解しておくことが重要です。ここでは、痛みを伴わないリンパ節の腫れや、全身に現れる特徴的なサインについて詳しく解説します。早期発見につなげるため、見逃してはいけない初期症状の特徴を確認していきましょう。
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熊本大学医学部卒業。岡山大学病院にて研修後、呉共済病院や虎の門病院、がん研有明病院などで経験を積む。
現在は江戸川病院腫瘍血液内科部長・東京がん免疫治療センター長・プレシジョンメディスンセンター長を兼任。血液疾患全般、がんの化学療法全般の最前線で先進的治療を行っている。朝日放送「たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学」などテレビ出演や医学監修多数。日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医・指導医、日本血液学会血液専門医・指導医、日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医、日本内科学会認定内科医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医。
悪性リンパ腫の初期症状を見逃さないために
悪性リンパ腫の初期症状は、日常的な体調不良と区別しにくいことが特徴です。ここでは、注意すべき主な初期症状について解説します。
リンパ節の腫れと特徴的なサイン
悪性リンパ腫で特に注目すべき初期症状は、リンパ節の腫れです。首や脇の下、鼠径部などに痛みを伴わないしこりが現れることが多く、これが数週間以上続く場合には注意が必要です。通常の感染症によるリンパ節の腫れとは異なり、悪性リンパ腫のリンパ節腫大は痛みがないことが多く、徐々に大きくなる傾向があります。
また、表面は比較的なめらかで、初期には可動性を保つことが多く、進行すると周囲の組織と癒着する場合もあります。リンパ節の腫れは、首に認められることが多く、次いで脇の下や鼠径部に現れます。複数の部位に同時に腫れるもあり、この場合は全身性の病変を疑う必要があります。腫れの大きさは1cm程度〜数cmに及ぶこともあり、進行すると塊状になることもあります。
ただし、リンパ節の腫れはウイルス感染や細菌感染、自己免疫疾患などでも起こるため、腫れが数週間以上持続する場合や徐々に大きくなる場合には、血液内科や腫瘍内科を受診することが推奨されます。
全身症状として現れるB症状とは
悪性リンパ腫には、「B症状」と呼ばれる特徴的な全身症状があります。これは38℃以上の発熱、寝汗(特に夜間に衣服やシーツを濡らすほどの大量の発汗)、そして6ヶ月以内に理由もなく体重が10%以上減るという3つの症状を指します。これらの症状が認められる場合、病期分類において「B」という記号が付けられ、予後判定や治療方針決定の重要な指標となります。
発熱は断続的に現れることが多く、数日間続いた後に自然に下がり、しばらくすると再び発熱するというパターンを繰り返すことがあります。ただし、すべての患者さんにこのような発熱の経過が見られるわけではありません。寝汗は、夜間に大量の汗をかき、パジャマや寝具を取り替える必要があるほどの症状を指します。通常の発汗とは明らかに異なる量であることが特徴です。
まとめ
悪性リンパ腫は、早期発見と適切な治療により、長期的な寛解(症状が落ち着いた状態)が得られる方も増えています。初期症状を見逃さず、専門医による正確な診断と病期評価を受けることが重要です。治療後は晩期合併症に注意しながら、定期的なフォローアップと健康的な生活習慣により、質の高い人生を送ることが可能です。気になる症状がある場合には、早めに血液内科や腫瘍内科を受診することが大切です。