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「アルツハイマー型認知症の看護」はどんなことに気を付けたらいいの?【医師監修】

 公開日:2025/11/20
アルツハイマー型認知症の看護について

アルツハイマー型認知症の看護は、医学的な側面だけでなく、人間としての尊厳を保ちながら支援することを目指します。患者さんを一人の人間として尊重し、その方の価値観や生活史を理解したうえで、個別性を重視したケアを提供します。コミュニケーションの工夫や日常生活援助の具体的方法を理解することが、質の高い看護につながります。

伊藤 たえ

監修医師
伊藤 たえ(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院初期研修。東京都の総合病院脳神経外科、菅原脳神経外科クリニックなどを経て赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック東京脳ドックの院長に就任。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳ドック学会認定医。

アルツハイマー型認知症の看護について

アルツハイマー型認知症の方への看護は、医学的な側面だけでなく、人間としての尊厳を保ちながら、その人らしい生活を支援することを目指します。

基本的な看護原則とアプローチ

アルツハイマー型認知症の看護において重要なのは、患者さんを一人の人間として尊重し、その人の価値観や生活史を理解することです。認知機能が低下しても、感情や人格は保たれており、適切なアプローチにより良好な関係を築くことができます。 コミュニケーションにおいては、患者さんの立場に立った理解が重要です。混乱や不安を示している場合でも、その背景にある気持ちや欲求を理解しようと努めます。否定や訂正をするのではなく、患者さんの感情に共感し、安心感を与えることを心がけます。 個別性を重視したケアプランの作成も大切です。患者さんの生活史、価値観、好み、残存機能を詳細にアセスメントし、その人に適したケアを計画します。また、病気の進行に応じてケアプランを柔軟に調整することも重要となります。 家族との連携も看護の重要な要素です。家族は患者さんにとって身近な存在であり、その人らしさを理解している重要なパートナーです。家族からの情報を活用し、家族の思いも含めたケアを提供します。

日常生活援助の具体的方法

日常生活援助において、患者さんの自立性を尊重しながら、必要な支援を提供することが重要です。過度な援助は残存機能の低下を招く可能性があるため、適切なバランスが求められます。 食事援助では、患者さんの嚥下機能と好みを考慮し、嚥下機能に応じて食事形態を調整して誤嚥のリスクを少なくします。また、口腔ケアは健康維持の基本です。口腔内の清潔を保つことで、誤嚥性肺炎のリスクを減少させ、全身の健康状態を改善します。 排泄援助においては、患者さんの尊厳を配慮します。排泄パターンを把握し、適切なタイミングでトイレ誘導を行います。排泄の自立を可能な限り維持することで、患者さんの自尊心を保護します。 入浴援助では、患者さんの安全と快適さを確保します。転倒防止のための環境整備を行い、適切な水温や室温を維持します。入浴を嫌がる場合は、その理由を理解し、患者さんが受け入れやすい方法を工夫します。 移動・移乗援助では、転倒防止を優先としながら、可能な限り自力での移動を促します。歩行器や車椅子などの補助具を適切に使用し、安全な移動を支援します。

まとめ

アルツハイマー型認知症は、患者さんとご家族の人生に大きな影響を与える疾患です。しかし、適切な理解と支援により、尊厳を保ちながら、その人らしい生活を続けることが可能です。早期発見・早期対応により症状の進行を遅らせ、質の高いケアにより生活の質を維持することで、患者さんとご家族がより良い時間を過ごせるよう支援していくことが重要です。医療従事者、家族、地域が連携し、包括的な支援体制を構築し、社会全体でサポートしていく必要があります。

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