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「アルツハイマー型認知症の初期症状」に気づいたらどのように対処したらいいの?【医師監修】

 公開日:2025/11/18
アルツハイマー型認知症の初期症状への対応方法

初期症状に気づいたときの対応は、その後の生活の質を大きく左右します。住環境の調整や日常生活のルーチンを保つことで、患者さんの混乱を減らし、できるだけ自立した生活を続けられるよう支援します。家族や周囲の理解とサポート体制を整えることも、症状の進行を緩やかにするために大切な要素となります。

伊藤 たえ

監修医師
伊藤 たえ(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院初期研修。東京都の総合病院脳神経外科、菅原脳神経外科クリニックなどを経て赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック東京脳ドックの院長に就任。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳ドック学会認定医。

アルツハイマー型認知症の初期症状への対応方法

初期症状に気づいたときは適切なケアによって、進行を緩やかにしながら生活の質を保つことが期待されます。

生活環境の調整と工夫

診断を受けた後は、患者さんが安心して生活できる環境を整えることが重要です。住環境の調整により、混乱を減らし、できるだけ自立した生活を続けられるようサポートします。 家の中の整理整頓を心がけ、物の配置を一定に保つことが大切です。よく使う物は見えるところに置き、ラベルを貼って場所がわかりやすくします。トイレや浴室の場所がわかるよう、大きな文字で表示することも効果的です。 カレンダーや時計を見やすい場所に設置し、今が何月何日何曜日なのかがわかるようにします。薬の管理には、曜日や時間がわかる薬ケースを使用し、飲み忘れや重複服用を防ぎます。 日常生活のルーチンを保つことも大切です。起床や食事の時間を一定に保ち、生活リズムを整えます。また、これまで行っていた活動をできるだけ続けられるよう支援し、残存機能を活用します。

家族や周囲のサポート体制

家族や周囲の理解とサポートは、患者さんの生活の質を大きく左右します。家族全員が病気について正しい知識を持つことが重要です。 患者さんとのコミュニケーションでは、否定や訂正を避け、患者さんの感情に寄り添うことが大切です。「それは違う」と言うのではなく、「そうですね」と受け入れてから、さりげなく正しい情報を伝えます。 患者さんのできることに注目し、褒めることで自信を維持してもらいます。失敗を責めるのではなく、挑戦したことを評価し、患者さんの尊厳を守ります。 介護者の負担軽減も重要な課題です。一人で抱え込まず、家族や親戚、友人と役割を分担します。また、地域の認知症カフェや家族会に参加し、同じ悩みを持つ方々と情報交換することも有効です。 専門職との連携も大切です。かかりつけ医、認知症疾患医療センター、地域包括支援センターなどと連携し、適切なサービスを利用します。ケアマネジャーと相談し、デイサービスやショートステイなどの介護サービスの利用も検討します。

まとめ

アルツハイマー型認知症は、患者さんとご家族の人生に大きな影響を与える疾患です。しかし、適切な理解と支援により、尊厳を保ちながら、その人らしい生活を続けることが可能です。早期発見・早期対応により症状の進行を遅らせ、質の高いケアにより生活の質を維持することで、患者さんとご家族がより良い時間を過ごせるよう支援していくことが重要です。医療従事者、家族、地域が連携し、包括的な支援体制を構築し、社会全体でサポートしていく必要があります。

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