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「アルツハイマー型認知症」を発症すると何ができなくなる?日常生活への影響を解説!

 公開日:2025/11/15
アルツハイマー型認知症の症状の日常生活への影響

症状の進行に伴い、日常生活動作や社会生活に大きな変化が現れます。買い物や料理といった複雑な動作から、食事や入浴などの基本的な生活動作まで段階的に支援が必要となります。また、家族や地域社会との関係性にも影響が及ぶため、患者さんとご家族の生活全体を見据えた支援が求められます。

伊藤 たえ

監修医師
伊藤 たえ(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院初期研修。東京都の総合病院脳神経外科、菅原脳神経外科クリニックなどを経て赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック東京脳ドックの院長に就任。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳ドック学会認定医。

アルツハイマー型認知症の症状の日常生活への影響

症状の進行とともに、日常生活への影響はますます深刻になっていきます。患者さんとご家族の生活を大きく変える要因を理解することが重要です。

日常生活動作の変化と段階的な支援

アルツハイマー型認知症の進行に伴い、日常生活動作は段階的に障害されていきます。初めに影響を受けるのは、手段的日常生活動作と呼ばれる複雑な生活技能です。買い物や料理、家計の管理、薬の管理などが困難になります。 進行期になると、基本的日常生活動作も障害されます。入浴、更衣、食事、排泄といった基本的な生活動作に介助が必要になります。入浴では、お湯の温度調整ができなくなったり、洗う順序がわからなくなったりします。 食事においても変化が現れます。箸やスプーンの使い方を忘れたり、食べ物と食べられないものの区別ができなくなったりします。また、満腹感を感じにくくなって過食になったり、逆に食事をとることを忘れてしまったりすることもあります。 排泄についても、トイレの場所がわからなくなったり、排泄の意思を伝えられなくなったりして、失禁が起こるようになります。これは患者さんにとって大切な尊厳に関わる部分であり、介護者も悩みや負担を感じやすい領域です。

社会生活と人間関係の変化

症状の進行は、患者さんの社会生活や人間関係にも大きな影響を与えます。仕事をしている方の場合、複雑な業務から困難になり、次第に簡単な作業も難しくなっていきます。同僚とのコミュニケーションがうまくとれなくなったり、約束を忘れたりすることが増えます。 家族関係においても変化が生じます。配偶者や子どもの名前を忘れたり、関係性を理解できなくなったり、長年連れ添った配偶者を「知らない人」と言ったりすることもあります。友人関係も次第に希薄になり、約束を忘れたり会話についていけなくなったりすることで自然と社会との接点が減少していきます。これは患者さんの生活の質を大きく低下させる要因となります。 地域社会での生活も困難になります。近所での買い物や散歩の際に道に迷ったり、交通ルールを忘れて危険な行動をとったりすることがあります。 運転についても大きな問題となります。判断力や注意力の低下により、交通事故のリスクが高まります。しかし、患者さん自身は自分の能力低下を自覚していないことが多く、運転をやめることに強く抵抗することがあります。

まとめ

アルツハイマー型認知症は、患者さんとご家族の人生に大きな影響を与える疾患です。しかし、適切な理解と支援により、尊厳を保ちながら、その人らしい生活を続けることが可能です。早期発見・早期対応により症状の進行を遅らせ、質の高いケアにより生活の質を維持することで、患者さんとご家族がより良い時間を過ごせるよう支援していくことが重要です。医療従事者、家族、地域が連携し、包括的な支援体制を構築し、社会全体でサポートしていく必要があります。

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