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「くも膜下出血の警告頭痛」を医師が解説 前兆を見逃さないためのポイントとは

 公開日:2025/12/06
くも膜下出血と頭痛の予防・早期発見

くも膜下出血を未然に防ぎ、前兆となる症状を見逃さないことが大切です。未破裂脳動脈瘤の発見と管理、高血圧や喫煙などの危険因子への対策、そして警告頭痛のサインを見逃さないための知識について解説します。予防と早期発見が予後改善につながります。

伊藤 たえ

監修医師
伊藤 たえ(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院初期研修。東京都の総合病院脳神経外科、菅原脳神経外科クリニックなどを経て赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック東京脳ドックの院長に就任。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳ドック学会認定医。

くも膜下出血と頭痛の予防・早期発見

くも膜下出血を予防し、前兆を見逃さないための知識を持つことが大切です。リスク管理と早期発見が予後改善につながります。

未破裂脳動脈瘤の発見と管理

くも膜下出血の大部分は脳動脈瘤の破裂によるものであり、動脈瘤が破裂する前に発見できれば予防的治療が可能です。近年、脳ドックなどの画像検査で偶然に未破裂脳動脈瘤が見つかる機会が増えています。MRI検査で動脈瘤の有無、大きさ、形状を評価し、破裂リスクが高いと判断される場合には予防的な治療が検討されます。 動脈瘤がいびつな形をしている、複数の動脈瘤がある、家族にくも膜下出血の既往があるといった条件では破裂リスクが高まると考えられています。治療方法には開頭手術によるクリッピング術と、血管内からコイルを詰める血管内治療があり、患者さんの状態や動脈瘤の位置によって選択されます。定期的な画像検査で動脈瘤の大きさや形の変化を追跡し、適切なタイミングで治療を行うことが重要です。

危険因子の管理と生活習慣の見直し

くも膜下出血のリスクを高める因子として、高血圧、喫煙、過度の飲酒が知られています。血圧が高い状態が続くと血管壁への負担が増し、動脈瘤の形成や破裂を促進する可能性があります。定期的な血圧測定と降圧薬による適切な管理が予防につながります。 喫煙は血管内皮を傷つけ、動脈瘤の発生リスクを高める可能性があるため、禁煙は予防策の一つです。アルコールの大量摂取も血圧上昇や血管への悪影響を及ぼす可能性があるため、節度ある飲酒が推奨されます。また、急激な気温変化や過度の興奮、激しい運動なども血圧を急上昇させるため、動脈瘤を持つ方は避けることが望ましいです。ストレス管理や十分な睡眠、バランスの取れた食事といった健康的な生活習慣も、全体的な血管の健康を保つために大切です。

警告頭痛のサインを見逃さないために

動脈瘤が破裂する前に、小さな出血や膨張で軽い頭痛を感じることがあります(警告頭痛)。ただし、すべての人に起こるわけではありません。 こうした頭痛を経験した場合、市販の鎮痛薬で様子を見るのではなく、速やかに脳神経外科や神経内科を受診することが重要です。警告頭痛の段階で発見できれば、大出血を防ぐための緊急治療が可能になり、予後が大きく改善することがあります。家族にくも膜下出血の既往がある方や、未破裂動脈瘤を指摘されたことがある方は、特に注意深く頭痛の変化を観察することが求められます。

まとめ

くも膜下出血は突然発症する重篤な疾患であり、激しい頭痛、めまい、意識障害といった症状が特徴的です。痛みの性質や発症様式、随伴症状を正しく理解することで、早期発見と迅速な治療開始が可能になります。警告頭痛やいつもと異なる頭痛、めまいを伴う強い頭痛を経験した際には、躊躇せず脳神経外科や神経内科を受診し、専門の医師の診察と画像検査を受けることが大切です。

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