「デスモイド腫瘍」の治療法はご存知ですか?【医師監修】

デスモイド腫瘍という病気をご存じですか。あまり耳馴染みのない病気かもしれません。
ただ腫瘍と聞くと漠然と怖いイメージを抱く方も多いのではないでしょうか。
デスモイド腫瘍は比較的20代~50代くらいの若い世代で多く発症しますが、日本国内でも患者数が少ない希少がんのひとつです。
今回は検査や診断、治療に関しても解説していきます。デスモイド腫瘍について、気になる症状があった方は受診の参考になさってください。

監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
※この記事はMedical DOCにて『「デスモイド腫瘍」の症状・原因・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
目次 -INDEX-
デスモイド腫瘍の診断と治療について
デスモイド腫瘍の診断をするポイントを教えてください。
- 腹部超音波検査:腹部に腫瘍があるかどうかを確認
- CTスキャンやMRI:腫瘍の大きさや形状を検査
- 結腸カメラ検査:大腸や結腸の内部を検査することで、腫瘍があるかどうかを確認
- 組織検査:腫瘍を摘出し、病理学的に診断
- 血液検査: 腫瘍マーカーなどの異常値を検出することで診断の可能性。その中で最も確実な診断方法が組織検査。腫瘍が小さい場合は腫瘍部分だけを切除し、大きい場合は結腸全体を切除する場合もある
診断には上記の方法を組み合わせて行い、病気の程度や進行具合を判断していきます。
いろいろな方法がありますが、それぞれ個人の症状やこれまでの既往歴からも検査方法や診断内容も変わってきますので、医師の指示に従ってください。
デスモイド腫瘍の治療は手術が必要でしょうか?
これに対し症状を伴うデスモイド腫瘍の治療は、手術が主な治療法です。デスモイド腫瘍は、腫瘍が大きくなると腸を圧迫し血管にも影響を及ぼすため、手術が必要です。手術の種類は、以下のものがあります。
- 部分切除:腫瘍部分のみを切除する
- 部分腹腔鏡下手術:腫瘍が発生した部分を含む一部の腸を切除する
- 大腸全摘除:腫瘍が発生した部分を含む全腸を切除する
また、手術以外の治療法としては放射線療法や化学療法などもありますが、手術が最も効果的です。
手術前後には、医師から予後(進行具合・手術の効果・生・今後の治療方法・生存できる確立など)についても詳しく説明を受け理解しておきましょう。
薬物療法と放射線治療の効果について教えてください。
放射線療法は、手術が困難な場合や、手術後の再発防止のための治療法です。また手術と放射線療法の併用は、再発率が低いとされています。
放射線療法では、照射量を調節することで病変を治療するだけでなく、周囲の組織へのダメージを最小限に抑えられるのが最大のメリットです。
ただし、これらの治療は手術に比べて効果は限られているため、手術が困難な場合を除いては、手術を優先します。また、薬物療法や放射線療法には、副作用もあるため医師に相談した上で、ご自身に合った療法の選択や経過をきちんと見て治療を行うことが重要です。
編集部まとめ
今回は、デスモイド腫瘍について解説を見ていきました。希少がんのデスモイド腫瘍で、病名を知っている方はまだ少ないかもしれません。
それゆえ診断されて不安に思う方へ、少しでも参考になっていれば嬉しいです。
また、デスモイド腫瘍は切除した場合とそうでない場合の再発率はあまり変わらないことが判明しています。
全体的な患者の内、約半数ほどが無治療でも進行しないケースも報告されており、診断された際は治療の前に経過観察を行う場合もあります。
しかしデスモイド腫瘍と診断された際は自分で判断せず、必ず医師の話を聞いて適切な治療を受けるようにしてください。
デスモイド腫瘍もやはり早期発見が何より重要です。
健康診断などの定期健診を忘れず受けるようにし、将来への不安を少しでも取り除きましょう。