「半月板損傷」は自然に治りにくい?手術を含めた治療法について解説!【医師監修】

膝に痛み・支障がありながら、日常生活を送っている方・スポーツをされている方は意外と多いのではないでしょうか。
今回はそのような膝の痛みを伴う病気の1つ、半月板損傷について詳しくご紹介いたします。
半月板損傷は、一度発症すると自然に治ることは難しく、放置しておくと重症化して変形性膝関節症へと進行してしまう大変な病気です。
この記事で治療についてご説明しますので、ぜひ参考にしてください。
※この記事はMedical DOCにて『「大人の軽度知的障害の特徴」はご存知ですか?日常生活における影響も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
半月板損傷の治療
治療方法を教えてください。
保存療法は、リハビリテーション・足底板などの装具・関節内注射(ヒアルロン酸)・抗炎症剤の内服など組み合わせて行います。半月板を切除してしまうと、その後の荷重の分散範囲を狭くしてしまうことになるので、症状が軽い場合はできるだけ保存療法を行うことが望ましいです。
手術することもあるのでしょうか?
手術には、半月板部分切除術・半月板縫合術の2つがあります。
- 半月板部分切除術:損傷した部分の半月板を切り取る
- 半月板縫合術:損傷した部分の半月板を縫い合わせる
どちらの手術も主に関節鏡下で行われ、関節鏡と手術器械を入れるために患部に穴を2、3ヶ所開けて行います。通常の手術のように大きな切開を行う必要がないので、身体への負担が軽く済みます。
半月板は外縁の3分の1程度にしか血管が存在しません。血管がある部分では手術後の治癒が期待できるため縫合術が選択されます。
血管がない残り3分の2は、一度損傷してしまうと修復が難しいため部分切除術が選択されることが多いです。損傷の状態によっても術式が異なり、横断裂・水平断裂場合は部分切除術、縦断裂の場合は縫合術となります。
完治するまでの期間を教えてください。
半月板縫合術では4〜6ヶ月で、膝装具での固定期間・免荷が必要な期間などが含まれており、縫合部位によっても期間は異なります。
自然に治ることもあるのでしょうか?
人体の組織には至るところに血管が走行していますが、珍しいことに半月板には外側の3分の1しか血管がありません。臓器・組織の機能維持・ダメージの回復には、酸素・栄養素は必要不可欠です。
血管があれば、その流れに乗って損傷を治癒するために必要な酸素・栄養素を運べます。しかし、内側の3分の2は血管がなく、必要な栄養素が届かないので自然に治ることは困難になります。
編集部まとめ
半月板損傷について詳しくご紹介しました。膝の痛みをお持ちの方は意外と多いかもしれません。
半月板損傷は損傷の状態に応じて治療法も変わりますし、治療法によって生活復帰・スポーツ復帰までの期間も変わります。
膝に違和感をお持ちであれば早めに専門医を受診して治療し、痛みのなかった時の日常を取り戻し、スポーツも楽しみましょう。
参考文献