「鼻中隔湾曲症の手術は何歳」から可能?リスクや費用についても解説!【医師監修】
公開日:2025/07/01

左右の鼻を中央で隔てている鼻中隔という部分が湾曲し、鼻づまり・鼻血・いびきなどの症状を引き起こす「鼻中隔湾曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)」についてお話しします。
鼻中隔の湾曲は多くの成人でみられますが、鼻中隔の湾曲により不快な症状が引き起こされている状態を鼻中隔湾曲症と呼びます。
症状が軽い場合にはお薬で症状をコントロールすることも可能です。しかし、湾曲の度合いや症状によっては手術を選択したほうがよいこともあります。
また、鼻中隔湾曲症はアレルギー性鼻炎を悪化させたり慢性副鼻腔炎を引き起こしたりする原因にもなるため注意が必要です。
今回は、手術のリスク・費用の目安・手術以外の治療方法をご紹介します。
※この記事はMedical DOCにて『「鼻中隔湾曲症」の症状・原因・手術費用はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
目次 -INDEX-
鼻中隔湾曲症の検査・治療法
どのような検査で診断されますか?
まずは、どのような症状が出ているかを問診します。その上で、鼻鏡という器具を用いて鼻孔を広げ、鼻中隔の湾曲度合いを確認していきます。この検査だけでも鼻中隔の湾曲度合いはある程度把握することが可能です。さらに詳しく検査するためには、内視鏡検査やCT検査を行うことがあります。内視鏡検査では細いカメラ付きの器具を用いて、湾曲部や粘膜の状態を把握します。続いてCT検査です。CT検査では鼻の断面を撮影し、鼻中隔の湾曲パターンや副鼻腔炎発症の有無を調べます。その他にも、鼻づまりの重症度を調べる検査やアレルギー検査などを適宜行います。
鼻中隔湾曲症の治療は手術が一般的なのでしょうか?
湾曲の度合いにもよりますが、はじめは薬物療法を行うのが一般的です。出ている症状に応じて、抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬・ステロイド点鼻薬などを使用します。基本的にはお薬のみで症状をコントロールしていくことになります。しかし、湾曲が強い場合には手術の適用となることもあります。このとき行う手術は「鼻中隔矯正術」という内視鏡でおこなう手術です。湾曲している部分を取り除き、鼻腔の通りを良くします。ただし、鼻中隔は思春期頃まで成長しますので15〜18歳以降に手術を行うのが一般的です。また、鼻中隔彎曲症では副鼻腔炎を合併している場合も多いです。そのため、同時に副鼻腔炎の手術をするケースもあります。麻酔が短時間で終了する場合は局所麻酔による手術も可能です。しかし、処置が必要な副鼻腔が多かったり深い部分に至っていたりする場合は、全身麻酔が使用される場合もあります。
手術のリスクを教えてください。
最もよく起こる術後合併症は、痛みや出血です。また、切開した部分が治癒していく段階で一時的に鼻の通りが悪くなる可能性もあります。その他のリスクとしては、まれに鼻筋がへこむ「鞍鼻」・鼻中隔に穴が残る「鼻中隔穿孔」が起こることがあります。術後は定期的に経過をみていく必要があるため、指定された日には受診するようにしましょう。
手術費用の目安を教えてください。
鼻中隔湾曲症の手術は日帰りで行っている医療機関もあれば、一週間程度の入院が必要な医療機関もあります。また、手術にかかる費用は健康保険の適用が可能です。手術のみで20,000円程度の費用がかかります。その他に再診料・麻酔費用・入院費用などが加算されるのが一般的です。1泊2日の全身麻酔手術では約130,000円、1週間の入院手術では約150,000〜200,000円程度が目安の金額となります。ただし、加入している保険によっては手術給付金の対象となります。保険に加入している場合には、保険の契約内容を確認しておくとよいでしょう。
手術以外の治療方法はありますか?
先にもお伝えしましたが、症状に合わせたお薬を使っていく方法もあります。ただし、お薬により鼻中隔湾曲症が完治するわけではありません。あくまでも症状をコントロールしていく方法です。そのため、薬物療法の効果は一時的なものだと考えたほうがよいでしょう。長期にわたり、お薬を服用し続けても根本的な改善は見込めません。また、お薬を長期間使用することで逆に症状が悪化することもあります。状況にもよりますが、手術を選択することも必要です。
編集部まとめ
左右の鼻腔を隔てる鼻中隔が湾曲し、様々な症状が現れる「鼻中隔湾曲症」について解説しました。
鼻中隔湾曲症は鼻づまりや鼻血を引き起こし、アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎を悪化させることもある病気です。
放置しても治ることはなく、口呼吸による頭痛や頭重などの不快な症状が続く原因にもなります。
思い当たるような症状があれば、まずは専門機関で検査を受けることが大切です。