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「手掌紅斑(しゅしょうこうはん)」ができる原因はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/02/26
「手掌紅斑(しゅしょうこうはん)」ができる原因はご存知ですか?医師が監修!

手掌紅斑(しゅしょうこうはん)とは、掌や指に赤いまだら模様が表れる症状です。
手に表れる異変だと甘く感じてしまうかもしれませんが、実は肝臓との関係があり、病気の可能性があります。

放置していると思いがけない病気を悪化させる可能性があるため、しっかりと症状や原因などを把握しておくことが大切です。

そこで本記事では、手掌紅斑とはどのような病気なのかをご紹介します。肝臓病との関係についても解説するので参考にしてください。

※この記事はMedical DOCにて『「手掌紅斑(しゅしょうこうはん)」ができる原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

手掌紅斑はどのような病気?

疑問を持っている医者

手掌紅斑とはどのような病気でしょうか?

手掌紅斑とは、掌・親指・小指・指の基節部分に見られる赤い斑点のことです。
これらの斑点は、主に肝硬変などの病気に見られる皮膚所見のひとつです。肝疾患の場合には、特に母指球と小指球部分、すなわち親指や小指の根本に表れます。
この病気は、圧迫すると消え圧迫を解除すると再びすぐに赤くなるといった状態が大きな特徴です。
通常、手の色は心臓との位置関係で変わります。心臓よりも低い位置に手がある場合には、血流移動の影響で全体的に赤くなるのです。
また、心臓よりも高い位置に手がある場合には、全体的に白くなります。このように、常に手の色は変化しているのです。
しかし、手掌紅斑の状態となっている場合には、手の位置に関係なく赤い斑点が見られます。局所的に点在するため、普段の手の色とは異なる状態であることがわかります。

どのような症状がみられますか?

手掌紅斑の症状としては、自覚できるものはほとんどありません。
赤い斑点が掌や指に局所的に表れていることのみです。特に親指の付け根部分に赤い斑点が表れるケースが多いようです。
また、掌に赤い斑点ができるといっても、まんべんなく掌に斑点が発生するわけではありません。
他の皮膚疾患のように痛みやかゆみを伴うことも無いため、無自覚のまま症状に気づくのが遅れるケースもあります。
手掌紅斑の特徴的な見た目としては、指の付け根あたりに赤い斑点ができるため、相対的に中心部が白くなるという特徴をしています。

原因を教えてください。

手掌紅斑の主な原因は、次のようなものが代表的です。

  • 肝機能の低下
  • 自己免疫機能の低下
  • 皮膚疾患

赤い斑点は、掌の周辺にある血管が拡張したことで表れます。
そして、掌の周辺の血管が拡張する原因に考えられるのが肝機能の低下です。
肝機能の働きが悪くなると女性ホルモンが増えます。すると掌の血管の拡張が発生するのです。
また、自己免疫機能の低下や感染症にかかることでも、血管の拡張を引き起こす可能性があります。
さらに、皮膚疾患も原因となることがあります。皮膚疾患の代表的な例としては、アトピー性皮膚炎です。
乾燥などにより赤い発疹が見られ、この発疹が掌に発生するケースがあります。

肝臓病の可能性があるのですね…。

手掌紅斑の原因として肝機能の低下をご紹介しましたが、肝臓病の可能性もあることには注意が必要です。
代表的な肝臓病としては肝硬変があり、手掌紅斑が出たときにはまず肝硬変が疑われるほど密接に関係しています。
肝硬変は、肝臓の炎症が続くことで細胞が破壊されてしまい、萎縮して硬くなって肝臓の働きが低下する病気です。
また、慢性肝炎などの病気も考えられます。慢性肝炎とは、慢性的に肝臓に炎症が生じる疾患で、B型肝炎やC型肝炎などが原因となり引き起こされる病気です。

妊婦も手掌紅斑になるケースがあると聞いたのですが…。

手掌紅斑は、妊婦の方もなるケースがあります。
これは、病気によるものではありません。先述したホルモンバランスが大きく関係しています。
女性ホルモンの分泌量が増加するため、掌周辺の血管の拡張が起こり赤い斑点が表れることがあるのです。妊娠初期に出現するケースが多いです。

編集部まとめ

提案する医師の手元
手掌紅斑は、目に見える症状が赤い斑点だけなので、気づくのが遅れたり気づいても甘く考えてしまったりすることがあります。

しかし、決して放置して良い病気ではありません。万が一、肝硬変などによって発症している場合は、さらに悪化すると命にかかわる可能性もあるためです。

病気の悪化を防ぐためにも、普段から予防を行いましょう。また、もし少しでも異変を感じた場合には、すぐに専門の医療機関に相談しましょう。

この記事の監修医師

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