「足蹠多汗症」はどうやって治す?足から出る汗を改善する治療法を解説!【医師監修】

足が蒸れて臭いが出る・靴下が手放せない・常に靴下の替えが必要…など、足の汗に対し悩みを抱えている方もいるでしょう。
もしかしたら、足の裏から大量に汗が出る足蹠多汗症(そくしょたかんしょう)かもしれません。
多汗症は脇・手のひらだけでなく足の裏でも起こります。多汗症は病気であり、病院で治療できる病気です。
そこで今回は足蹠多汗症の診断・治療方法について詳しく解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「足蹠多汗症」とは?足の汗で悩んでいませんか?対処法などを医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
足蹠多汗症の診断と治療
足蹠多汗症はどのように診断されますか?
視診以外にも診断基準があり、内容は下記のとおりです。
- 発症した年齢が25歳以下
- 左右どちらもにも症状がみられる
- 寝ている時は汗が出ておらず湿っていない
- 週に1回以上の多汗のエピソードあり
- 家族にも同じ症状がみられる
- QOLが著しく低い
足の裏といった局所に原因がわからないまま6ヶ月以上の発汗がみられ、かつ6項目中2項目以上が当てはまれば足蹠多汗症と診断されます。
重症度を判定する基準もあり、自覚症状から4つにわけられたHyperhidrosis disease severity scale(HDSS)にて判断します。
1.自覚症状がない
2.汗はかくが気にならず・日常生活に少し支障をきたす
3.汗が気になり日常生活に支障がある
4.汗がすごく安心して日常生活が送りづらい
4つの中で「重症」と位置づけられているのは、3・4です。この他に、発汗量にて重症度を判定できます。
特殊な紙に手を付けると汗のところだけに反応し、色が変わった範囲で重症度を判定し、換気カプセルを用いて発汗量を測定し重症度を判定します。
足蹠多汗症の治療方法を教えてください。
原発性局所多汗症診療ガイドラインでも、塩化アルミニウム溶液を第一選択治療としています。塩化アルミニウム溶液以外に、第一選択治療であるイオントフォレーシスに有効的な治療法です。
水の中に足の裏を入れ、微弱電流を流します。通電することで発生する水素イオンが汗の出る部分を壊すことにより発汗を抑えるのです。通電中はピリピリしますが、ものすごく痛いというほどではありません。効果が出るまでは定期的な通院が必要です。
足蹠多汗症と診断された場合、イオントフォレーシスの治療は保険適用されます。併用療法として、神経ブロック療法・レーザー療法・内服療法(抗コリン剤など)・心理療法をすることも可能です。
どのような薬が使用されますか?
寝る前の1回で基本的には大丈夫ですが、汗で取れることもあるでしょう。その場合、再度塗っても問題ありません。塗る前に一度足を拭くと薬が浸透しやすく取れにくいです。効果が出るまでの2〜3週間は塗り続けましょう。
効果が出てきたら、1週間に2〜3回と徐々に減らすことも可能です。中には、塩化アルミニウムに皮膚がまけ、接触性皮膚炎を起こす可能性があります。その場合は速やかに中止をし、医師にご相談ください。
症状が改善されれば、医師の指示に従い治療を再開しましょう。塩化アルミニウム溶液は保険適用外になります。
ボトックス注射は足蹠多汗症に有効ですか?
足の裏に対して注入するボツリヌス菌毒素はA型(BT-A)です。このボツリヌス菌が最も神経から発汗を命令するアセチルコリンという伝達物質を抑制します。2cm間隔で注射をしていき、1週間ほどで汗の量が減り、効果は約6ヶ月持続します。
抑制効果の高いBT-Aですが、投与量が少なくなければ効果があまり期待できないため、重症度に合った投与量が必要です。残念ながら、足蹠多汗症へのボトックス注射は保険適用外です。
編集部まとめ
足の裏に大量の汗をかく足蹠多汗症について解説しました。精神的に苦痛を感じたり恥ずかしさのあまり医師の診察すら拒んでしまったりしがちでしょう。
原因は未だに不明であるものの、治療方法は確立しています。適切な治療をすることで、汗に対する不安や精神的苦痛を和らげることは可能です。
特に日常生活に支障をきたすほど汗が大量に出る場合は、一度医師にみせることをおすすめします。診察を受けることで心にゆとりができ、精神的負担も減ることでしょう。