身体のむくみや倦怠感…「低蛋白血症」の治療法はご存じですか?【医師監修】
公開日:2025/06/15

低蛋白血症とは、血液中の蛋白質、特にその代表であるアルブミンなどが、何らかの原因によって少なくなってしまう病気です。
この病気の原因としては食事の栄養不足だけではなく、内臓疾患によって引き起こされることもある病気です。
蛋白質は身体の髪・皮膚・筋肉を作ったり、免疫機能を作る大事な栄養素であり、これが不足すると血管や骨がもろくなったり免疫力が低下します。
また保水機能のあるアルブミンが少なくなるので、身体のむくみや腹水が溜まるなどの症状が身体に現れます。
今回は低蛋白血症の検査や治療について解説しましょう。
※この記事はMedical DOCにて『「低蛋白血症」を医師が解説!身体のむくみや倦怠感はありませんか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
低蛋白血症の検査や治療方法
どのような検査が行われますか?
まずは血液検査を行い、血中の蛋白質やアルブミン値を調べて標準の値であるかを調べます。これに加え、低蛋白血症の原因として臓器の病気やネフローゼ症候群が疑われる場合は、併せて尿検査やエコーなども行い病気を特定します。
低蛋白血症の診断基準は?
血液検査の結果、血清アルブミン値が1dl当たり3.0g以下、血清総蛋白量が6.0g以下の場合に低蛋白血症もしくは低アルブミン血症と診断します。成人のネフローゼ症候群の場合は併せて尿検査を行い、これに加え1日3.5g以上の蛋白尿が継続していることや浮腫があること、脂質異常症があることなどが診断の基準になります。
低蛋白血症の治療方法を教えてください。
まず蛋白質の摂取そのものが足りずにこの病気を発症した人については、適切な食事指導を行い、良質な蛋白質を一定以上摂取することで治療します。ネフローゼ症候群の場合は塩分や水分の摂取を制限して浮腫を抑えることを意識し、蛋白尿減少のため食事指導が必要です。
ネフローゼ症候群の場合は蛋白質摂取不足のケースとは逆で、蛋白質を抑えることが有効とされ、標準体重の人に対し蛋白質を1日0.8~1.1gに抑えることが推奨されているのです。またステロイド薬と免疫抑制剤を用いた治療も行います。ネフローゼ症候群の治療は10~14日ぐらい掛かり、3日連続して蛋白尿が陰性であった場合を完全寛解と呼んでいます。
ネフローゼ症候群の場合は蛋白質摂取不足のケースとは逆で、蛋白質を抑えることが有効とされ、標準体重の人に対し蛋白質を1日0.8~1.1gに抑えることが推奨されているのです。またステロイド薬と免疫抑制剤を用いた治療も行います。ネフローゼ症候群の治療は10~14日ぐらい掛かり、3日連続して蛋白尿が陰性であった場合を完全寛解と呼んでいます。
編集部まとめ
低蛋白血症は、蛋白質不足が原因で生じる病気です。
一方、内臓の障害によって身体の中でうまく蛋白質が作られなかったり、血液中に運ばれなかったりすることもこの病気の原因となります。
栄養不足の場合は蛋白質を積極的に取り入れることが大切となりますが、一方でネフローゼ症候群など内臓機能が原因となっている場合は、蛋白質を制限するケースもあります。
まずはこの病気の原因をしっかりと診断・特定して、治療方針を決めることが大事ですので、もし気になる症状がある場合は、早めに病院を受診しましょう。