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腹部手術で起こる「腹壁瘢痕ヘルニア」、合併症を引き起こす可能性はある?【医師監修】

 公開日:2025/06/29
「腹壁瘢痕ヘルニア」の症状・原因・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?

腹壁瘢痕ヘルニアとは開腹手術や腹部の外傷の跡に、立ち上がったり咳をしたりという何らかの理由によって腹圧がかかり、大きく膨らんでしまう状態のことをいいます。

腹壁瘢痕ヘルニアは腹部の手術をした場合の合併症として知られていて、開腹手術後10年で約1割の人が発症するといわれています。

ヘルニアという病気は、本来あるべき位置から臓器が脱出または突出してしまう症状です。もし開腹手術を受けた人で腹壁瘢痕ヘルニアが気になる方は参考にしてみてください。

※この記事はMedical DOCにて『「腹壁瘢痕ヘルニア」の症状・原因・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

腹壁瘢痕ヘルニアにおける合併症

腹痛に悩む女性

腹壁瘢痕ヘルニアによって合併症を引き起こす可能性はありますか?

腹壁瘢痕ヘルニアはそれ自体が開腹手術により発症してしまう合併症なのですが、腹壁瘢痕ヘルニアによって引き起こされる合併症も稀にあります。
それは嵌頓(かんとん)といわれる状態です。腹部の膨らみは筋膜のすき間から突出してしまう腸や脂肪によるものですが、これは腹部に力が入ったことなどによって圧力がかかるために起こってしまう状態です。
基本的に立ったり座った状態から腹部に力が入ることで腹部の膨らみが起こり、体を横にすると元の状態に戻ります。しかし稀に元に戻らないことがあるのです。これが嵌頓の状態です。
嵌頓は危険な状態なので緊急手術を行う必要があります。

どのような合併症を引き起こしますか?

前の項で述べた嵌頓(かんとん)が腹壁瘢痕ヘルニアの合併症です。嵌頓を引き起こすのは、腹部の皮下にある筋膜のすき間から突出した腸や脂肪が体を横にしても元に戻らず、突出したままの状態になっていることによるものです。
腹部が膨らんだまま元に戻らない嵌頓は大変危険です。腸管の血流障害や壊死を伴うと、命に関わることがあります。なお命に関わる危険がないとしても、今まで痛みがなかった人でも痛みを感じるなどの症状がでる可能性があります。

編集部まとめ

入院患者
腹壁瘢痕ヘルニアは開腹手術後に発症する病気です。ようやく病気が治ったと思った後で、腹部に力を入れた際にお腹が膨らんできたら最初は驚くことになるかもしれません。

また膨らんだ腹部のあたりが痛むことで、手術による後遺症と思われる場合もあるでしょう。これが腹壁瘢痕ヘルニアによる症状とわかったらある意味ホッとするかもしれません。

とはいえ、腹壁瘢痕ヘルニアは放置して良い病気ではありません。腹壁瘢痕ヘルニアと診断されたら医師に相談し、手術を検討しましょう。

この記事の監修医師

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