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「特発性過眠症の特徴・原因」はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/02/26
特発性過眠症の特徴・原因

あなたは特発性過眠症という病名を聞いたことがありますか?特発性過眠症とは、不眠症などと同じ睡眠障害のひとつです。

特発性過眠症はナルコプレシーと同じ過眠症という睡眠障害のため、日常生活に支障が出る場合もあります。

ここでは特発性過眠症の特徴・原因について解説しましょう

※この記事はMedical DOCにて『「突発性過眠症」の特徴・日常生活での注意点はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

特発性過眠症の特徴・原因

ルームウェアの女性

特発性過眠症にはどんな特徴がありますか?

特発性過眠症の特徴は、夜の睡眠時間をしっかり確保しているにもかかわらず日中に強い眠気に襲われることです。特発性過眠症では10時間以上の睡眠をとっている場合と、通常の人と同じくらいの睡眠時間(約8時間程度)をとっている場合のふたつがあります。いずれの場合も睡眠の質自体はとても良好であるということが特徴といえるでしょう。
良質の睡眠をとっているにもかかわらず、起きたとき熟睡できたという感覚はほとんどありません。そのため日中も頭がボーっとしてしまい「まだ寝たい」という睡眠欲求が続いてしまいます。また頭痛やめまい・立ちくらみなどの自律神経の異常がみられることもあります。特発性過眠症では、昼寝をする場合、少なくとも1時間以上眠ってしまうといったケースも多いです。
ときには昼寝で4時間以上眠ってしまうこともあります。昼寝時間が長時間に及び、睡眠の質・量ともに正常であってもすっきり感はありません。入眠を繰り返すこともあるでしょう。特発性過眠症の症状が重くなると、目が覚めたときに「ろれつが回らない」・「記憶があまり残らない」などお酒による酩酊状態に近い症状が見られます。これを「睡眠酩酊」といいます。
患者によっては一日16時間程度眠ってしまうケースもあることが特徴です。ただ、ナルコプレシーのように喜怒哀楽などの感情の高ぶりによって眠気が引き起こされることはありません。長い睡眠時間を必要とするため、日常生活に支障がある場合がほとんどです。このような症状が3か月以上続く場合、特発性過眠症の可能性があるといえるでしょう。

特発性過眠症の原因はなんですか?

「特発性」という名前がついている疾患は、一般的にその発症メカニズムが解明されていません。そのため特発性過眠症がなぜ発症するのかという原因は、はっきりわかっていないのが実情です。
ただ、睡眠をつかさどる中枢神経に何らかの原因があるのではないかといわれています。2022年には遺伝的要素が見られるという研究結果が発表されていますが、原因の究明はこれからの研究にゆだねるほかないといえるでしょう。

ナルコプレシーとの違いはなんですか?

ナルコプレシーは日本人に最も多く発症する過眠症といわれています。特発性過眠症は、その発症例がとても少ないことが特徴です。一般的に、ナルコプレシーは激しい喜怒哀楽などが引き金によっておこる筋緊張の喪失(カタプレキシー・情動脱力発作)をともなうことが多く見られます。
特発性過眠症ではカタプレキシーは見られません。ただ、ナルコプレシーにもカタプレキシーが見られない場合があります。そのため特発性過眠症と区別をするには、髄液中オレキシン濃度低下の有無などさらに詳しい検査が必要になってきます。
また特発性過眠症では日中の眠気がありますが、ナルコプレシーのように我慢できないほどの眠気ではありません。特発性過眠症の場合、一旦眠りに入ると1時間以上眠り続けます。MSLT(反復睡眠潜時検査)などの検査を受けることで、よりはっきりした診断ができるでしょう。

有病者は若年層に多いと聞いたのですが…。

特発性過眠症を発症する人は若年層に多いといわれています。とくに16歳から22歳程度までの若者に多く見られ、有病者の男女差は見られません。また、子どもは発症しないといわれています。なお、突発性過眠症は一般的には治療が必要な病気ですが、自然治癒する場合もあります。

編集部まとめ

睡眠中の女性
特発性過眠症などの睡眠障害は、まだまだ認知度が低い病気です。

今までは「怠けている」「緊張感が足りない」などといわれてきた日中の眠気にも、実は睡眠障害という病気が隠れているかもしれません。

日中の眠気に襲われることが3か月以上続くときは、かかりつけの医師に相談し、専門医の診察を受けることをおすすめします。

この記事の監修医師

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