「頚椎椎間板ヘルニアの検査」についてご存じですか?2つの治療法についても解説!【医師監修】
公開日:2025/06/19

頚椎椎間板(けいついついかんばん)ヘルニアは、首・腕の痛みの他に手足の痺れを引き起こし、症状がひどくなると運動麻痺などの症状も出現して日常生活に支障をきたすことがある病気です。
年齢を重ねてきた人に多い病気といわれていますが、スマートフォンの使用・デスクワーク・激しいスポーツなどが原因で、実は若い人にもみられる病気なのです。
こちらの記事では、頚椎椎間板ヘルニアの検査と診断、治療方法についてご紹介いたします。
※この記事はMedical DOCにて『「頚椎椎間板ヘルニア」の症状・原因・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
頚椎椎間板ヘルニアの検査や治療
頚椎椎間板ヘルニアの検査内容を教えてください。
頚椎椎間板ヘルニアを疑う場合には、診察での神経学的所見の評価と画像検査であるX線(レントゲン)撮影・CT・MRI・脊髄造影検査(ミエログラフィー)などを合わせて行います。
- 神経学的検査:深部腱反射の低下の程度・上肢の感覚異常の有無(スパーリングテスト)・筋力低下の有無と範囲を調べる。
- X線(レントゲン)撮影・CT:椎体の変形・椎間の幅・脊柱管の前後径・不安定性などを確認する。
- MRI:脊髄・神経根の圧迫を確認する。
- 脊髄造影検査(ミエログラフィー):腰椎から脊髄腔内に造影剤を注入し、ベッドを傾けて頚部に造影剤を流し、頚椎部を観察・評価する。その後にCT(脊髄造影CT)を撮影して、脊柱管下位の神経の圧迫の位置・程度を評価する。病態の把握・今後の治療方針の決定のための重要な検査で、MRIよりも骨病変の描出に優れている。
頸椎椎間板ヘルニアはどのように診断されますか?
先程お伝えした神経学的検査にて、どの部位が障害されているかを診断(高位診断)します。その後に、頚椎のMRI・脊髄造影検査などの画像検査で脊髄・神経根の圧迫を確認し、高位診断と照らし合わせて確定診断を行います。
頚椎椎間板ヘルニアの治療方法は?
治療方法は、保存的治療・手術治療の2つです。症状が出現して約1ヶ月間は、基本的に安静・鎮痛剤・湿布・頚椎カラー固定・神経ブロックなどの保存的治療を行います。症状に応じて牽引療法・運動療法を行うこともあります。
症状は、1ヶ月以内に軽快・消失することが多いです。保存的療法はあくまでも症状の軽快を目的として行うもので、ヘルニア自体を治すものではありません。症状の改善がみられない場合は、手術治療が勧められます。
手術には頚部に対して前方アプローチ・後方アプローチの二通りの方法がありますが、前方アプローチが一般的です。頚部の前面から切開し頚椎の一部を削り、脊髄を圧迫する椎間板を摘出して、脊髄を前方から除圧する前方除圧固定術が主な術式となります。他には椎間孔拡大術・椎弓形成術・椎弓切除術などがあり、術式は症状・所見を総合的に判断して決定します。
症状は、1ヶ月以内に軽快・消失することが多いです。保存的療法はあくまでも症状の軽快を目的として行うもので、ヘルニア自体を治すものではありません。症状の改善がみられない場合は、手術治療が勧められます。
手術には頚部に対して前方アプローチ・後方アプローチの二通りの方法がありますが、前方アプローチが一般的です。頚部の前面から切開し頚椎の一部を削り、脊髄を圧迫する椎間板を摘出して、脊髄を前方から除圧する前方除圧固定術が主な術式となります。他には椎間孔拡大術・椎弓形成術・椎弓切除術などがあり、術式は症状・所見を総合的に判断して決定します。
編集部まとめ
頚椎椎間板ヘルニアについて詳しくお伝えしました。知りたい情報は見つかりましたか。
頚椎椎間板ヘルニアは、椎間板が何らかの原因で飛び出し、神経を圧迫刺激して痛み・痺れを引き起こす病気です。
圧迫する部位によって出る症状も異なり、受診・治療のタイミングが遅れると症状の更なる悪化を招き、手術治療が必要になってくることもあります。
首の痛み・手足の痺れがあり頚椎椎間板ヘルニアの可能性がある場合には、早めに整形外科を受診して、診断・治療を受けましょう。