「埋伏歯」の治療は何科に行けばよい?治療方法について解説!【医師監修】
公開日:2025/06/25

埋伏歯は、一般的に「歯肉に埋まってしまっている永久歯」のことをいいます。乳歯とは違い自然と抜けることはないため、埋まっていてもそのままです。
正常に生えてこない永久歯ですが、これが口の中や他の歯にどういった影響を与えるのでしょうか?実は、他の健康な歯にも影響を与える可能性があるのです。
ここでは、埋伏歯の診断方法と治療方法についてご紹介します。
※この記事はMedical DOCにて『「埋伏歯」の原因・治療法はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
目次 -INDEX-
埋伏歯の診断と治療
埋伏歯はどのような方法で診断しますか?
最初は触診と視診を組み合わせ、完全埋伏歯か半埋伏歯かどうかを判断します。その後、埋伏が完全か不完全かにかかわらず、レントゲン撮影を行います。半埋伏歯であっても、埋まっている部分がどうなっているか判断する必要があるためです。また、歯科用CT検査を行う場合もあります。これは歯根と顎骨の神経の関係をより詳しく調べるために行います。埋伏歯が生えている方向によっては、健全に生えている歯の神経に障っている場合があるためです。
埋伏歯の治療を受けたい場合は何科に行けばよいでしょうか?
歯科、もしくは口腔外科です。レントゲン撮影や歯科用CT検査を行うことが多いため、それらの設備があるクリニックに行くようにしましょう。治療方法によっては歯肉を切開したり、抜歯を行ったりする必要があります。その場合は口腔外科で処置を行うことが多いです。
治療はどのように行いますか?
埋伏歯の治療は、基本的に「外科的開窓」・「歯の牽引」・「歯の矯正」の3段階で行われます。まず外科的開窓で、歯肉を外科手術によって切開します。これによって埋伏歯を完全に露出させることが可能です。半埋伏歯では、まれに歯肉の切開だけで正常に生え始める場合があります。ただし、歯肉の切開だけで良いケースでの半埋伏歯は、正常な方向に生えていることがほとんどです。切開が終わり埋伏歯が見えたら、歯に器具をつけて牽引します。同時に、器具に矯正用のワイヤーをつけ、牽引と同時に歯列矯正を行います。外科手術による切開以後の手順は、ほとんど歯科矯正と変わりません。画像診断の結果歯の牽引や歯列矯正が不可能な状態と判断された場合は、抜歯を行うこともあります。いずれにせよ外科的処置が必要になることがほとんどです。
埋伏歯は抜歯することもあるとお聞きしました。
抜歯することはあります。抜歯が必要だと判断されるのは、埋伏歯の生え方から牽引が難しく、そのまま放置すると周囲の歯や骨に影響を及ぼすと考えられる場合です。この場合はすでに炎症が起きていることが多いため、まず歯肉炎の症状を抑え、なるべく平常な状態に保つことが必要です。その後、歯肉を切開し抜歯を行います。基本的には局所麻酔で対応しますが、全身麻酔で対応することもあります。また、埋伏歯は半埋伏歯でも完全埋没歯でも虫歯のリスクがあり、治療が難しくなります。そのために抜歯などを事前にしておく必要がある可能性があるため、歯科医の受診をし相談しておくと良いでしょう。
編集部まとめ
智歯(おやしらず)など永久歯がうまく生えてこず、一部または完全に埋まってしまっている場合は埋伏歯です。
特に気をつけたいのは半埋伏歯です。歯が一部露出しているため、日々のケアで磨き残しをしてしまい、炎症や虫歯を引き起こすリスクがあります。
全ての埋伏歯に治療が必要というわけではありませんが、目に見えない部分が影響を与えている可能性があります。
治療するかどうか判断するには、レントゲンなどの画像診断が必要です。歯科医に相談して、埋伏歯にどう対処するのかを検討しましょう。