「潰瘍性大腸炎」と診断されたら?治療や手術について解説!【医師監修】
公開日:2025/06/20

今回は、国が定める指定難病のひとつである「潰瘍性大腸炎」について解説します。
潰瘍性大腸炎とは、近年増加している原因不明の炎症性腸疾患です。お腹の痛み・下痢・血便といった辛い消化器症状が現れます。
症状が良くなったり、悪くなったりを繰り返し、長期にわたり付き合っていくことが必要な疾患です。
ただし、症状コントロールを行えば、発病前のように生活することは可能です。治療法や注意点を確認もお伝えするので、是非参考にしてみてください。
※この記事はMedical DOCにて『「潰瘍性大腸炎」になると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
プロフィールをもっと見る
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
潰瘍性大腸炎の診断と治療
どのような方法で病気の診断を行いますか?
まず行うのは、受診に至るまでの症状や病歴等の問診です。潰瘍性大腸炎以外にも下痢や血便を引き起こす感染症はあります。それらとの鑑別をするための細菌検査を行います。
この検査で他の感染症ではないと判断されれば、次に行うのはレントゲン検査や内視鏡検査です。レントゲン検査や内視鏡検査により、炎症や潰瘍の深さや広がり方を確認することができます。
それらに加え、内視鏡検査で大腸粘膜の一部を採取し病理検査をすることで確定診断に至ります。
この検査で他の感染症ではないと判断されれば、次に行うのはレントゲン検査や内視鏡検査です。レントゲン検査や内視鏡検査により、炎症や潰瘍の深さや広がり方を確認することができます。
それらに加え、内視鏡検査で大腸粘膜の一部を採取し病理検査をすることで確定診断に至ります。
治療法にはどのようなものがありますか?
軽度~中等度の場合には、薬物治療が第一選択です。5-ASA製剤と呼ばれる潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬や副腎皮質ステロイド薬を用いて炎症を抑えます。それらの薬で効果が出ない場合には、過剰な免疫反応を抑えるための免疫調整薬を使うことも選択肢のひとつです。
NUDT‐15とよばれる遺伝子多型検査をして副作用の出現のリスクが低いと判断された場合は免疫調整薬を使用します。また、薬物療法の他に用いられるのは、顆粒球吸着療法という治療法です。
白血球の成分である顆粒球は、通常の場合、体を異物から守るように働きます。しかし、顆粒球が過剰に増えてしまうと自分の体を守るどころか、逆に攻撃して組織を破壊してしまうのです。
そのため、過剰に増えた顆粒球を吸着し除去することで炎症を抑制する効果が期待できます。この方法は、長期的に薬を飲み続けることに抵抗がある患者さんにも用いられている治療です。
現在、点滴や皮下注射や内服できる様々な生物学的製剤が使用可能になり、これによって多くの患者さんがステロイドフリーで寛解を長期に維持できるようになりました。
NUDT‐15とよばれる遺伝子多型検査をして副作用の出現のリスクが低いと判断された場合は免疫調整薬を使用します。また、薬物療法の他に用いられるのは、顆粒球吸着療法という治療法です。
白血球の成分である顆粒球は、通常の場合、体を異物から守るように働きます。しかし、顆粒球が過剰に増えてしまうと自分の体を守るどころか、逆に攻撃して組織を破壊してしまうのです。
そのため、過剰に増えた顆粒球を吸着し除去することで炎症を抑制する効果が期待できます。この方法は、長期的に薬を飲み続けることに抵抗がある患者さんにも用いられている治療です。
現在、点滴や皮下注射や内服できる様々な生物学的製剤が使用可能になり、これによって多くの患者さんがステロイドフリーで寛解を長期に維持できるようになりました。
手術が必要になる場合はありますか?
ほとんどの場合は、薬の投与により炎症が治まり、症状が改善します。しかし、重症化し薬の治療での改善が期待できない場合や薬の副作用により、継続投与が難しい場合もあるのです。その場合には手術を選択します。
一般的には、発症した時の重症度や炎症の範囲によって治療方針が決まります。他にも、潰瘍が深部にまで達して腸壁に穴が開いたり、大腸がんが疑われたりする場合も外科的な治療の適用です。
この場合、人工肛門を作る方法や肛門を温存する方法があります。
一般的には、発症した時の重症度や炎症の範囲によって治療方針が決まります。他にも、潰瘍が深部にまで達して腸壁に穴が開いたり、大腸がんが疑われたりする場合も外科的な治療の適用です。
この場合、人工肛門を作る方法や肛門を温存する方法があります。
潰瘍性大腸炎は完治しますか?
現在の段階では、完治する治療法は確立されていません。しかし、継続的に薬を内服し、寛解期を長期間維持することは可能です。そのためには、薬の内服に加えて、規則正しい生活を送ることが大切です。
編集部まとめ
今回は、潰瘍性大腸炎について解説しました。
下痢や粘血便が続くのは、とても辛いものです。思い当たる症状があれば、我慢せず、早めに受診することが重症化の回避につながります。
すでに治療中の人は、ストレスをこまめに発散し、体も心も健康に過ごせるように心がけてみてください。
もし症状が回復しても薬は途中で止めず、飲み続けることが大切です。病状や治療について不安に思うことがあれば、かかりつけ医に相談しましょう。