「マイコプラズマ肺炎」の診断方法をご存じですか?治療についても医師が解説!
公開日:2025/06/27

一口に肺炎といっても、大きく分けると細菌性肺炎・ウイルス性肺炎・非定型肺炎の3種類に分類され、それぞれ原因が異なります。
マイコプラズマ肺炎は、このうちの非定型肺炎に分類されます。比較的よく聞く病名ですが、悪化すると怖い病気のひとつです。
そのためなるべく早期に発見して、治療を開始することが大切だといえるでしょう。
今回はマイコプラズマ肺炎の診断方法や治療法などについて詳しく解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「マイコプラズマ肺炎」を発症すると現れる症状はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
マイコプラズマ肺炎の診断と治療
マイコプラズマ肺炎の診断方法について教えて下さい。
病院では医師が患者の血液を採取して、抗体ができているかどうかを血清検査で確認します。さらに咽頭部分などから粘膜や痰を取り、病原体の遺伝子などを検査してマイコプラズマ肺炎かどうかを診断します。ただしこの診断方法は1週間程度と時間がかかるため、現在病院では簡易的なPCRによる検査が行われるのが一般的です。検査時間は病院や検査に使うキットの種類で異なるものの、およそ30分という短時間で陽性か陰性かが判断できます。さらに、肺炎を起こしているかどうかを調べるために、X線検査やCT検査などの画像診断が行われることもあります。マイコプラズマ肺炎が疑われるのは、両方の肺に白い影が映るケースです。ただし、画像診断だけではマイコプラズマ肺炎かどうかの確定診断はできません。咳が続いているかどうか・血清検査の結果はどうか・年齢は若いかといった様々な要素も併せて総合的に判断されます。このように、マイコプラズマ肺炎の診断は目視や触診だけでは判断できないため、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などと同様に、検査には少し手間と時間がかかるのが特徴です。また感染性の病気であるため、病院では別室や個室での隔離措置を取られるケースも多くなっています。
マイコプラズマ肺炎と診断されたら抗生物質を処方されますか?
マイコプラズマ肺炎と診断された場合は、抗生物質が処方されます。ただし最近は抗生物質が効かない耐性菌も増えており、従来の抗生物質とは違う薬を処方されることもあります。マイコプラズマ肺炎の原因菌は細胞壁を持たないという特徴があるため、ペニシリン系やセフェム系の抗生物質は効果がありません。そのため、マクロライド系・テトラサイクリン系・ニューキノロン系などの抗生物質が使われるのが一般的です。どれを使うかは医師の判断により決められるため、もし薬について疑問がある場合は診察時に直接確認すると安心ですね。
放っておくとどうなりますか?
マイコプラズマ肺炎はほとんどの人が軽症ですみますが、治療をしないまま放っておくと症状が悪化して重症化する可能性もあります。重症化すると中耳炎・無菌性髄膜炎・脳炎・肝炎などさまざまな合併症を起こす恐れもあり、入院しなければいけないケースも出てきます。当然ですが合併症が起これば治療も長引くことになり、回復までに時間がかかってしまうことになるでしょう。また、しっかり治療せずに放っておくと、一度症状が治まっても再び発熱や咳などの症状が出てくることもあります。このような症状が続けば体力的にも辛い状況となりますので、やはり「何かおかしいな?」と思った場合はなるべく早く病院で診察や検査を受けることをおすすめします。
編集部まとめ
マイコプラズマ肺炎の特徴は、発熱・頭痛・倦怠感の後に痰を伴わない咳が長期間にわたって続くことです。
さらに場合によっては中耳炎や脳炎などの合併症が起こることもあります。
子供に多い病気ですが大人でもかかることがあり、かかってしまった場合には大人の方が子供よりも治りにくいともいわれているため注意が必要です。
乾いた咳が長く続くなどの普段とは違う風邪症状を感じた場合は、マイコプラズマ肺炎も考慮して病院を受診するようにしましょう。