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「エコノミークラス症候群」で発生した「血栓は見つかる」?検査や治療法について医師が解説!

 公開日:2025/06/30
「エコノミークラス症候群」で発生した「血栓は見つかる」?検査や治療法について医師が解説!

エコノミークラス症候群という病気をご存知でしょうか?

飛行機のフライトで長時間同じ姿勢で座っていることで起きやすい病気で知られています。震災のような災害時や避難所や車など狭い空間で寝泊まりした際に、多くの人が発症したことで深刻な問題となりました。

ではエコノミークラス症候群の検査・治療についてご紹介します。

※この記事はMedical DOCにて『「エコノミークラス症候群」の前兆となる症状・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

エコノミークラス症候群の診断方法や治療方法

リハビリ・治療

エコノミークラス症候群はどのように診断しますか?

エコノミークラス症候群は、足に痛みや腫れが生じることが多いので、整形外科を受診する方が多いようですが、呼吸器科・循環器科・内科などを受診しましょう。まずは問診で、フライトや車中泊など長時間同じ姿勢で座るような状況があったかどうか・持病・生活習慣などの確認です。
足に血栓ができることが多いので、足に腫れや痛み・変色などがないかも確認します。そして、エコノミークラス症候群が疑われるようであれば、詳しい検査の後、エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)と診断されます。

検査方法を教えてください。

検査方法は下記の通りです。

  • 血液検査
    血液内のDダイマーという物質は血栓が形成されていると高い数値を示します。またプロテインC・プロテインS・アンチトロンビンⅢは血液凝固を阻止する物質なので、欠落していないかを確認していくのです。
  • 胸部X線検査
    X線撮影で、肺に血栓や出血がないかを確認します。
  • 心電図
    肺血栓塞栓症を起こすと右心に負荷がかかるため、心臓の動きに異常がないかを確認します。
  • 造影CT検査
    造影剤を静脈に注射し、X線を使って体の断面を撮影する検査で、肺に血栓がないかを確認していくのです。
  • 下肢静脈エコー
    足に血栓ができている場合は、血管エコーで確認します。
  • 肺血流シンチグラフィー
    肺動脈にTc-MAA(テクネシウム・大凝集アルブミン)というRIを注射し、正面・背側・斜め方向から撮影し、血管につまりがないかを確認します。

どんな治療法がありますか?

治療方法は主に4種類あります。

  • 抗凝固薬
    軽度の場合、血液を固まりにくくする抗凝固薬を服用します。
  • カテーテル治療・肺動脈血栓摘除術
    血栓が多い人はカテーテルや手術で血栓を取り除いていく治療を行っていくのです。
  • 補助的な治療
    循環を保つことができない場合は、体外循環装置(ECMO、またはPCPS)を用いて、人工心肺装置で生命を維持するサポートをします。高度な出血のリスクがあり抗凝固療法が禁忌の場合などは、下肢動脈フィルターという網のようなものを留置し、血栓が肺に流れることを防ぎます。

すぐ病院に行けないときはどうしたらよいですか?

足の軽い痛みやむくみなど症状が軽かったとしても、いつ血栓が肺まで流れるかわかりません。肺の血管に血栓が詰まると、呼吸困難や意識障害・ショック状態など放置すれば命にかかわる危険もあります。体に異変を感じた時は、できるだけ早く病院を受診することをおすすめします。

編集部まとめ

医療従事者たち
今回の記事では、エコノミー症候群についてお伝えしました。

エコノミー症候群は、長時間の飛行機や車での移動時や災害時など、誰にでも起こりえる病気ですが、気を付ければ予防ができる病気でもあります。

できるだけ体を動かすことや水分補給をすること、マッサージをすることなどで必ず予防できるので、意識的に取り入れてみてください。

また、もしもエコノミー症候群が疑われるような症状があった場合は、放置すると命にかかわる注意が必要な病気です。

正しく治療すれば必ず治る病気でもあり、軽度であれば薬の服用だけで済む場合もあります。少しでも体に異変を感じた時には、できるだけ早く病院を受診することをおすすめいたします。

この記事の監修医師

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