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「エコノミークラス症候群」の症状や原因をご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/05/11
「エコノミークラス症候群」の前兆となる症状・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?

エコノミークラス症候群という病気をご存知でしょうか?

飛行機のフライトで長時間同じ姿勢で座っていることで起きやすい病気で知られています。震災のような災害時や避難所や車など狭い空間で寝泊まりした際に、多くの人が発症したことで深刻な問題となりました。

こちらの記事では、エコノミークラス症候群の症状や原因、なりやすい人などについて解説します。

※この記事はMedical DOCにて『「エコノミークラス症候群」の前兆となる症状・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

プロフィールをもっと見る
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

エコノミークラス症候群の症状と原因

問診表を持った医師

エコノミークラス症候群はどんな病気ですか?

エコノミークラス症候群とは、飛行機のエコノミークラスのような窮屈な座席で、長時間同じ体勢でいることで発症しやすいことから「エコノミークラス症候群」と呼ばれる病気で、正式名称は静脈血栓塞栓症です。
長時間同じ姿勢でいることで、足の血流が悪くなり静脈に血栓(血のかたまり)ができることを深部静脈血栓症といいます。その静脈血栓が血流に乗り、肺の血管に詰まることを肺血栓塞栓症といいます。
深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症を併せた病気の症状がエコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)といわれる病気です。飛行機だけでなく車で寝泊まりしている時のように長時間同じ姿勢でいることで発症する可能性があります。

エコノミークラス症候群の症状を教えてください。

深部静脈血栓症が起こると、ふくらはぎや太ももの痛みや腫れ・むくみが生じます。血栓が肺まで到達し、肺血栓塞栓症が起こると、胸の痛みや息切れなどの症状が出始めるのが特徴です。血栓が大きく重症の場合は、激しい胸の痛みや呼吸困難・冷や汗・意識障害など生命に危険が及ぶこともあります。

エコノミークラス症候群の原因はなんですか?

水分を十分に摂取していないことや、アルコールなどの利尿作用が高いものを摂取することで体が脱水状態になり、血液の粘度が上がりやすくなります。そのような状態で長時間同じ体勢でいることで、さらに血液の流れが悪くなり、足に血栓が生じやすくなります。また、飛行機の機内など乾燥しやすい環境にいることで体内の水分が不足し、脱水症状が起こりやすくなることも原因のひとつです。

エコノミークラス症候群になる時間の目安はどれくらいですか?

4時間以上同じ体勢で座っていると血栓ができる可能性が高まります。2~3時間おきに体を動かすことが大切です。

エコノミークラス症候群はどんな人がなりやすいのですか?

エコノミークラス症候群になりやすい人をまとめました。いずれも血管が詰まりやすい体質・生活習慣・生活背景である人がなりやすいです。

  • 生活習慣病の人(高血圧、高血糖、高コレステロール)
    生活習慣病の人は、血液がドロドロしていて血栓ができやすい状態なので注意が必要です。
  • 血管に傷がある
    外傷や骨折、手術後などで血管に傷ができていると、血液が固まりやすく、血栓ができやすい状態になっています。
    スポーツをしている人も、血管を損傷することが多く注意が必要です。
  • 喫煙している
    タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させる作用があるため、血栓を作りやすく注意が必要です。
  • 血が固まりやすい状態の人
    妊娠・出産後や避妊用ピルを服用されている方はホルモンバランスが影響し、血が固まりやすい傾向にあります。
    また、凝固性疾患を患っている人・がんを患っている人や、過去に深部静脈血栓症・心筋梗塞・脳梗塞などを起こしたことがある人は、血栓ができやすい体質なので注意が必要です。

編集部まとめ

医療従事者たち
今回の記事では、エコノミー症候群についてお伝えしました。

エコノミー症候群は、長時間の飛行機や車での移動時や災害時など、誰にでも起こりえる病気ですが、気を付ければ予防ができる病気でもあります。

できるだけ体を動かすことや水分補給をすること、マッサージをすることなどで必ず予防できるので、意識的に取り入れてみてください。

また、もしもエコノミー症候群が疑われるような症状があった場合は、放置すると命にかかわる注意が必要な病気です。

正しく治療すれば必ず治る病気でもあり、軽度であれば薬の服用だけで済む場合もあります。少しでも体に異変を感じた時には、できるだけ早く病院を受診することをおすすめいたします。

この記事の監修医師

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