どのような検査で「喘息」と診断される?治療法についても医師が解説!

喘息とは、何らかの原因により気道に慢性的な炎症が生じ、幅広い年齢層で起こる病気です。咳・疸・喘息発作などの症状がおこります。
身近な病気ではありますが、完治させることが難しい病気とも言われています。原因や治療方法など、詳しく把握しておきたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、喘息がどのような病気なのかを解説します。検査・治療方法をご紹介するので、参考にしてください。
※この記事はMedical DOCにて『「喘息」の症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
喘息の検査と治療
喘息が疑われたら何科を受診すればよいですか?
基本的に咳が長引くなど、喘息が疑われる場合は、呼吸器内科を受診しましょう。その中でも、特に専門に扱っている医師が所属している病院だと、より安心感は高いです。
あるいは、アレルギー科でも問題ありません。アレルギーが原因で発症していることもあるため、アレルギー科で原因の特定が行えます。
喘息ではどのような検査をしますか?
- 問診
- 呼吸機能検査(スパイロメトリー)
- 呼気一酸化窒素濃度測定検査
- 血液検査
問診では、症状の内容や重症度、治療薬の使用状況などや、どれだけの症状があり、コントロールできているかも確認します。また一日のうちどの時間帯がつらいか(夜間から明け方)を聞きます。
呼吸機能検査とは、スパイロメーターと呼ばれる機械を使用して、この病気の重症度を調べる方法です。スパイロメーター検査はコロナ禍では感染のリスクがあり、つかいにくい一面があります。
呼気一酸化窒素濃度測定検査は、気道の炎症の程度を調べる方法です。気道がアレルギーなどによって刺激を受けると、インターロイキン4・インターロイキン13と呼ばれる物質が作られます。これらの物質が炎症を引き起こすのですが、同時に大量の一酸化窒素を生成します。この検査方法では、生成された一酸化窒素を測るため、気道の炎症の度合いを把握することができるのです。
血液検査では、好酸球数・総IgE値・抗原特異的IgE抗体などを測定します。好酸球数は、値が大きいほど、気道の炎症が起きていることになります。総IgE値は、アレルギーがあることを示す値です。抗原特異的IgE抗体を見ると、原因となるアレルギー物質を特定できます。
喘息の治療方法を教えてください。
- 長期治療薬
- 発作治療薬
長期治療薬とは、発作症状のコントロールを目指して、継続的に使用する薬です。気道の炎症を抑えたり気管支を拡げたりする効果を持ち、重症度に合わせて使用します。薬のタイプには、吸入薬・飲み薬・貼り薬・注射薬があります。
ただ吸入薬の副作用には動悸などの症状があります。量がどんどん増えてしまうと、不整脈が起きてしまいます。使いすぎないように決められた回数は守りましょう。またステロイドを含む吸入薬は口腔内カンジダ予防のため使用後のうがいを忘れずにしてください。
また発作治療薬とは、発作時に服用する薬です。症状を鎮める目的で、短期的に使用します。よく用いられる薬としては、素早く気管支を拡げる効果を持つ薬です。長期治療薬としては、次のようなものが挙げられます。
- 吸入ステロイド薬
- 長時間作用性β2刺激薬
- ロイコトリエン受容体拮抗薬
- 長時間作用性抗コリン薬
また、発作治療薬としては、次のような薬が代表的です。
- 短期化作用型β2刺激薬
- 経口ステロイド薬
- 点滴タイプのステロイド薬
上記の薬を、症状の状況に応じて使用します。作用の異なる吸入薬の組合わさった合剤もあり、どの薬をどのタイミングで使うかは、医師へ相談のもと指示に従って使用しましょう。
喘息は完治しますか?
しかし、適切な薬の利用により、コントロールは可能です。症状を最小限に抑え、健康な人と変わらない生活をおくることも不可能ではありません。
編集部まとめ
喘息は身近な病気ですが、症状の内容や重症度も幅広いため、悪化した場合は非常に負担の大きい恐ろしい病気です。
しかし、治療薬を使えば、症状をコントロールし改善させることは十分できます。また、予防にも気をつければ悪化も防げます。
そのためにも、正しい対処方法や予防方法を身につけておくことは大切です。少しでも異変を感じたら、医療機関に相談し適切な対処を行いましょう。
参考文献