「子宮内膜症」の症状はご存知ですか?原因についても解説!【医師監修】

子宮内膜症は妊娠・出産適齢期の女性に多くみられる病気で、特に近年は発症者が増加しています。
子宮内膜症は不妊症や卵巣がんに発展することもあるため、症状に気づいた時点でできる限り早めに病院を受診することが大切です。
子宮内膜症のサインとなる症状にはどのようなものがあるのでしょうか。本記事では子宮内膜症の症状や原因についてご紹介します。
※この記事はMedical DOCにて『「子宮内膜症」になると現れる症状はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
前田 裕斗(医師)
子宮内膜症とはどんな病気?
子宮内膜症とはどんな病気ですか?
子宮内膜とは子宮の内側にある粘膜状の組織で、受精卵を受け止め、育む役割を果たします。簡単にいえば、胎児のベッドのような存在です。
子宮内膜症の発生率が高いのは卵巣・卵管・腹膜などですが、稀に腸や肺に発生することもあります。
どんな症状がみられるのでしょう?
- 月経痛
- 月経時以外の腹痛
- 腰痛
- 性交通
- 排尿痛
- 月経過多
- 不正性器出血
- 疲れやすい
特に目立つのは月経痛です。発症以前に比べて月経痛が重くなったと感じる方は多くおられます。
強い月経痛の理由の1つは、プロスタグランジンの増加です。プロスタグランジンは月経痛の原因物質で、月経時に子宮内膜から分泌されます。子宮内膜症になると子宮外からプロスタグランジンが分泌されるため、通常よりも強い痛みを感じやすくなるのです。
さらに子宮内膜症では、次のようなトラブルにも注意する必要があります。
- チョコレート嚢胞
- 不妊
- 卵巣がん
チョコレート嚢胞は子宮内膜症の1種で、卵巣内に古い血液の袋が形成される病気です。見た目がチョコレートに似ていることが由来とされています。
チョコレート嚢胞の正体は古い子宮内膜と出血です。子宮内膜は、月経周期にあわせて成長・剥離を繰り返す組織です。
具体的には、子宮内膜は排卵期を迎えると子宮の内側に形成され、妊娠に備えて成熟していきます。その後に妊娠が起こらない場合、子宮内膜は不要となるため、子宮から剥がれ落ちて経血として体外に排出されます。この現象が「月経」です。
しかし子宮以外に形成された子宮内膜は、多くの場合、体外には排出されません。子宮内に発生したものと異なり、体外に出るための出口がないためです。剥がれ落ちた子宮内膜はどこへも行けず、そのまま卵巣や骨盤内などに蓄積されることになります。卵巣内に古い子宮内膜(経血)が溜まった状態が、チョコレート嚢胞です。
チョコレート嚢胞を放置することは、卵巣がんに移行するおそれもあるため軽視できません。また、子宮内膜症やチョコレート嚢胞は不妊症の原因にもなりえます。
理由は、古い子宮内膜が体内に蓄積され続けると、卵管などが炎症や癒着を起こしやすくなるためです。卵子の成長や排卵に支障が出やすくなるため不妊につながりやすく、実際に不妊の女性の約50%に子宮内膜症が認められると指摘されています。
発症する原因が知りたいです。
子宮内膜は月経周期に従って成長や剥離を繰り返すためです。つまり、月経がある限り子宮内膜症のリスクはつきまといます。反対に、月経がなくなれば子宮内膜症のリスクは低減します。
実際に子宮内膜症は閉経とともに治まることがほとんどです。
編集部まとめ
子宮内膜症は妊娠・出産適齢期の女性に多い病気です。ときには不妊症やがんの原因となるため、症状に気づいたらできる限り早めに病院で治療を受けましょう。
特に近年は発症者が増加傾向にあるため、不安な症状がある場合はすぐに医師に相談することをおすすめします。