更年期障害を改善する3つの治療法とは?効果が出ないときの対処法も医師が解説!
公開日:2025/06/29

更年期とは閉経の前後5年間のことで、その時期にはさまざまな身体・精神症状が現れます。
日本人女性の場合には平均的に45歳から55歳頃が更年期にあたりますが、この時期には仕事で重要なポストを任されるケースもあるでしょう。
仕事やプライベートでいろいろと忙しい時期に、のぼせ・ほてり・頭痛・イライラといった症状に悩まされるのは辛いものですね。
こちらでは、更年期障害の検査・治療法などについて解説します。
男性の更年期障害についても併せて解説していくので、参考にしてみてください。
※この記事はMedical DOCにて『「更年期障害」になると現れる症状はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
前田 裕斗(医師)
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東京大学医学部医学科卒業。その後、川崎市立川崎病院臨床研修医、神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科、国立成育医療研究センター産科フェローを経て、2021年より東京医科歯科大学医学部国際健康推進医学分野進学。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。
目次 -INDEX-
更年期障害の診断と治療方法
更年期障害はどのようにして診断するのでしょうか?
- 更年期障害とは、更年期に現れるさまざまな症状のうち、ほかに原因となる病気がなく、なおかつ日常生活に支障をきたす状態のことです。
- まず、更年期障害特有の身体・精神症状が出ている場合、更年期障害を疑う必要があります。さらに、その症状がエストロゲンの減少によって起こっているのか、ほかに病気が隠れていないかどうかといった点も、診断するうえで大事なポイントです。
- 特にうつ病など、更年期障害と似た症状の病気との見分けに注意を払う必要があります。
診断するうえで検査などありますか?
- 更年期障害の検査では、まず問診を行います。チェックされるのは、初潮の年齢・妊娠や出産の回数・月経の有無・生理周期・これまでにかかった病気・家族の病気といった項目です。
- また、ほかの病気によるものではないということを調べるために、血液検査で女性ホルモンの数値の測定や、子宮や卵巣の超音波検査なども行われます。
- 病院によって検査の内容には多少の違いがありますが、マンモグラフィーや骨量検査が行われるケースもあるでしょう。
更年期障害の治療方法が知りたいです。
- 更年期障害の治療方法は次に挙げる3つがあります。
- ホルモン補充療法(HRT)
- 漢方薬による治療
- 向精神薬による治療
- ホルモン補充療法(HRT)は、加齢や閉経で減少するエストロゲンを薬で補充する治療法です。子宮のある人は、子宮内膜の増殖を避けるために黄体ホルモン(プロゲステロン)も併用します。
- ホルモン補充療法(HRT)はホットフラッシュ・のぼせ・発汗・ほてりといった症状に特に有効です。
- 漢方薬による治療は、心身のバランスを整える効果が期待できます。症状や証と呼ばれる人ごとの特性によって、使われる漢方薬が異なるのが特徴です。また、向精神薬による治療は、特に精神症状が強い場合によく用いられます。
- 男性の更年期障害の場合、症状が強ければテストステロンを注射などで補充する男性ホルモン補充療法(ART)を行うのが一般的です。
治療しても改善しない場合はどうしたら良いですか?
- 症状に合っていない治療方法で治療を行った場合、更年期障害の症状がなかなか改善しないケースもあるでしょう。そのような場合には、症状に合ったほかの治療方法を併用したり、治療法を変えたりするケースもあります。
- また、更年期障害にはストレスも関係しているといわれているため、ストレスを溜めないようにして生活習慣や食生活の改善を心掛けましょう。
編集部まとめ
更年期障害は、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの急激な減少などによって閉経前後の女性に起こりやすい心身の不調です。
症状の出方は人によってさまざまで、ほてり・のぼせ・頭痛などの身体症状のほか、イライラ・憂鬱感・気力の低下といった精神症状もみられます。
更年期障害にはホルモン補充療法(HRT)をはじめとした治療法があるので、症状が辛い方は婦人科の受診や治療も検討してみましょう。
更年期障害は50代後半ごろから60代後半くらいまでには症状がおさまる人が多いといわれています。
症状やそれに伴って起こる心身の不調などは事前に家族に共有し、理解ある環境でストレスを溜めずに過ごすことが大切です。
参考文献