「更年期障害」の症状はご存知ですか?なりやすい人についても解説!【医師監修】
公開日:2025/05/09

更年期とは閉経の前後5年間のことで、その時期にはさまざまな身体・精神症状が現れます。
日本人女性の場合には平均的に45歳から55歳頃が更年期にあたりますが、この時期には仕事で重要なポストを任されるケースもあるでしょう。
仕事やプライベートでいろいろと忙しい時期に、のぼせ・ほてり・頭痛・イライラといった症状に悩まされるのは辛いものですね。
こちらでは、更年期障害の原因や男女それぞれの症状などについて解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「更年期障害」になると現れる症状はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
前田 裕斗(医師)
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東京大学医学部医学科卒業。その後、川崎市立川崎病院臨床研修医、神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科、国立成育医療研究センター産科フェローを経て、2021年より東京医科歯科大学医学部国際健康推進医学分野進学。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。
目次 -INDEX-
更年期障害とは?
更年期障害とはどういう病気ですか?
- 更年期とは主に閉経の前後の5年間、合計10年間を指します。
- 更年期になるとエストロゲンの減少によって心身の不調が起こることがありますが、その症状によって日常生活に支障をきたすのが更年期障害と呼ばれるものです。
- 更年期障害といえば女性特有のものと思われがちですが、男性もテストステロンの減少やストレスなどによって更年期障害(LOH症候群)が起こる可能性があります。
- テストステロンの減少のしかたは個人差が大きいため、男性の更年期障害は40代以降の男性ならいつ起こってもおかしくありません。
男性・女性それぞれの症状の特徴を教えてください。
- 女性に起こる更年期障害の症状には、身体症状と精神症状があります。
- 更年期障害でみられる症状は非常に種類が多く、現れ方には個人差があるのが特徴です。
- そのうち、身体症状は以下のようなものがあります。
- のぼせ
- ホットフラッシュ
- ほてり
- 発汗
- 頭痛
- めまい
- 動悸
- 関節痛
- しびれ
- 冷え
- また、精神症状は以下のようなものです。
- イライラ
- 気分の落ち込み
- 意欲の低下
- 情緒不安定
- 抑うつ感
- 物忘れ
- 不安感
- 不眠
- 一方で、男性に起こる更年期障害にも、身体症状と精神症状がみられます。身体症状は以下のようなものです。
- 肩こり
- 動悸
- 手足のしびれ
- ほてり
- のぼせ
- 頭痛
- 発汗
- 冷え
- 精神症状には以下のようなものが挙げられます。
- うつ傾向
- 無気力
- イライラ
- 不安
- 疲労感
- 不眠
- 精力の減退
原因はなんですか?
- 更年期障害の原因のひとつに挙げられるのが、女性ホルモンの1つであるエストロゲンの分泌量の低下です。
- 加齢や閉経によって卵巣機能が低下してエストロゲンの分泌が減少すると、エストロゲンの働きで保たれていた機能がうまくいかなくなります。エストロゲンの急激な減少が女性ホルモンのバランスや自律神経に影響を与え、心身にさまざまな影響が現れるのです。
- さらに、仕事や子育てなど周りの環境によるストレスや、なりやすい性格かどうかも、更年期障害の原因となりうるといわれています。
- 男性の更年期障害の場合には、男性ホルモンの1つであるテストステロンの減少やストレス・過労などが原因です。
30代で発症する方もいると聞いたのですが…。
- 更年期と呼ばれる年齢は45歳から55歳くらいですが、30代でも更年期障害と似た症状や不調を感じている人もいるでしょう。
- これは、食生活や生活習慣などによるホルモンバランスの乱れで起こるといわれているもので、「プレ更年期」などとも呼ばれます。
- 実際にはエストロゲンの量が減っていない人もいますが、 中にはエストロゲンの低下が始まっている人もいます。
- プレ更年期の時期に更年期症状を感じた場合は、自分の身体を知るためにも一度ホルモン検査や婦人科で相談をしてみることもおすすめです。
更年期障害が重くなる・なりやすい人に共通する特徴はあるのでしょうか?
- 更年期障害になりやすいのは、男女ともに真面目で責任感が強い性格の人だといわれています。
- さらに、仕事や育児などでストレスを抱えている人や、睡眠時間が少ない人なども注意が必要です。
編集部まとめ
更年期障害は、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの急激な減少などによって閉経前後の女性に起こりやすい心身の不調です。
症状の出方は人によってさまざまで、ほてり・のぼせ・頭痛などの身体症状のほか、イライラ・憂鬱感・気力の低下といった精神症状もみられます。
更年期障害にはホルモン補充療法(HRT)をはじめとした治療法があるので、症状が辛い方は婦人科の受診や治療も検討してみましょう。
更年期障害は50代後半ごろから60代後半くらいまでには症状がおさまる人が多いといわれています。
症状やそれに伴って起こる心身の不調などは事前に家族に共有し、理解ある環境でストレスを溜めずに過ごすことが大切です。