目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 配信コンテンツ
  3. 「ワレンベルグ症候群(脳梗塞の一種)」の疑いも?受診を検討したい5つの症状とは【医師監修】

「ワレンベルグ症候群(脳梗塞の一種)」の疑いも?受診を検討したい5つの症状とは【医師監修】

 公開日:2025/06/19
ワレンベルグ症候群の診断・検査

ワレンベルグ症候群は、脳梗塞と同様に脳の血管が傷ついてしまう疾患です。通常の脳梗塞は大脳部分の血管損傷が多いですが、ワレンベルグ症候群が起きるのは延髄外側です。

発生部位が違うため、通常の脳梗塞と違う症状が起こります。また、MRIなどの画像診断が非常に難しい疾患でもあるのです。

しかし、ワレンベルグ症候群には脳梗塞と区別しやすい特徴的な症状がいくつかあります。ここでは、ワレンベルグ症候群の受診のタイミング、検査方法や治療法を詳しく解説します。

※この記事はMedical DOCにて『「ワレンベルグ症候群(脳梗塞の一種)」を発症しやすい人の特徴はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

ワレンベルグ症候群の診断・検査

MRI

受診のタイミングを教えてください。

以下のようなケースの場合は、ワレンベルグ症候群の疑いがあるため、なるべく早めの受診を検討してください。

  • お風呂に入っているのに熱さを感じにくい(温痛覚障害)
  • めまいが継続する(眼球の交感神経障害)
  • 上瞼が運動機能低下を起こして、開眼状態を維持できない(眼瞼下垂)
  • 味覚障害
  • 飲み込みにくい・声が出しにくい(運動神経障害)

これらの症状は、通常の脳梗塞では引き起こされません。また、脳梗塞のようにわかりやすく身体が麻痺しないため、気づきにくい疾患でもあります。

ワレンベルグ症候群はどのように診断しますか?

  • 通常の脳梗塞ではMRIによる画像診断が用いられます。しかし、延髄外側での出血や血管壁の損傷はMRIでは非常に診断しにくいです。この部分には骨や神経・筋肉が集中しており、動脈解離が起きている部分自体も小さく判断しにくいためです。
  • 発症8時間以内でMRI検査を行っても約10%しか判別ができないほど正確な診断が難しい疾患ともいわれています。
    そのため、基本的には症状から診断されることが多くなります。
  • 嚥下障害・感覚障害・解離性感覚障害に加え、めまい・上まぶたの異常が診断のヒントです。また、脳梗塞には前兆となる症状が出ることが少ないですが、ワレンベルグ症候群は発症前・発症初期に頭痛を感じることが多いです。こちらも診断のヒントとなります。

ワレンベルグ症候群の検査内容が知りたいです。

  • 基本的には大脳部分の脳梗塞でないかを判断するためにMRI検査を行います。特に大脳部分に異常がない場合はワレンベルグ症候群を疑います。
  • 明らかに延髄で異常がみられる場合は、すぐに他の脳梗塞とは違うという診断が下されることが多いです。ただし、画像診断ですぐに延髄外側の血管が損傷していると判断できる割合は全体の約10%ほどといわれています。

ワレンベルグ症候群の治療方法を教えてください。

  • ワレンベルグ症候群の治療方法は基本的に脳梗塞と同じです。抗血小板薬や抗凝固薬を投与し、延髄外側の血流を再開させることが最優先です。
  • また、嚥下障害を引き起こしている場合は経管栄養となる場合もあります。その場合は慢性期に嚥下リハビリテーションを行うことが多いです。

編集部まとめ

悩む男性
ワレンベルグ症候群は延髄外側に起こる脳梗塞です。ただし、通常の脳梗塞と違い麻痺などの症状は起こりません。

通常の脳梗塞と違う部位に起きるため、温痛覚などの感覚障害や嚥下機能障害が多くなっています。

後遺症が残ることがほとんどなため、発症してしまうと長期間のリハビリが必要になります。

もし周囲の方がワレンベルグ症候群になってしまった場合は、誤嚥しないように見守るなどのサポートをするようにしてあげてください。

この記事の監修医師

注目記事