急なむくみや体重増加を起こす「低アルブミン血症」の検査・治療法をご存じですか?【医師監修】
公開日:2025/06/19

低アルブミン血症とは、血液中に存在しているタンパク質のアルブミンが正常値よりも低くなる症状です。
低アルブミン血症は普段聞きなれないかもしれませんが、さまざまな原因によって引き起こされます。
日頃むくみや急な体重の増加などありませんか?気になるむくみや急な体重の増加は、低アルブミン血症を引き起こしているサインかもしれません。
今回は、低アルブミン血症の検査・治療などについてご紹介します。
聞き慣れない病名ではありますが、この機会にぜひ知っておくとよいでしょう。
※この記事はMedical DOCにて『「低アルブミン血症」の原因・症状・兆候はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
目次 -INDEX-
低アルブミン血症の検査と治療
受診のタイミングを教えてください。
- 先ほどお伝えした兆候がみられる場合は早急に医療機関にて検査を受けましょう。健康診断での血液検査でアルブミン値の異常が見つかった場合、医療機関で精密検査を受ける必要があります。
- いずれも早期受診することで早期対応ができますので、気になる症状がある場合は早めに受診されることをおすすめします。
低アルブミン血症の診断基準を教えてください。
- 診断基準となる目安は、血液検査で分かる血清アルブミン値です。血清アルブミン値が3.6g/dL以下になると低アルブミン血症である可能性が高いと判断されます。
- 正常値は3.9g/dL、3.7〜3.8g/dLは要注意値となります。数値を知っておくと血液検査の結果が出た際ご自身でもどの段階なのか把握できるので、覚えておくとよいでしょう。
- また、数値が高値になる場合も、異常値となりますので注意が必要です。
どのような検査をするのでしょうか?
- 原因疾患を特定するため血液検査のほかに、尿検査も行われます。血液検査では、ALT・AST・コリンエステラーゼ・ビリルビン・凝固機能・クレアチニンなどが確認されます。
- また、腹水や胸水の有無を確認するために、レントゲンや超音波検査などの画像検査が行われる場合もあるのです。
- きちんと検査を受け、低アルブミン血症であるのかどうか確認しましょう。
低アルブミン血症の治療方法を教えてください。
- 低アルブミン血症の治療方法は、原因疾患に対する治療を行うことが重要です。肝硬変の場合はウイルス性肝炎であれば抗ウイルス剤を使用し、アルコールの多量摂取ならば断酒を検討します。
- ネフローゼ症候群の場合、副腎皮質ステロイド薬の内服・点滴・免疫抑制剤などを使用し治療を進めるのです。
- むくみの場合、利尿剤を使用し強制的に排尿を促しむくみの改善を図ります。
- それでも改善が難しい場合は、利尿剤の作用を強くするためアルブミン製剤を使用し治療を行なっていくのです。
- 腹水がある場合、腹部に注射針を刺して貯まっている水分を排出させます。4リットル以上排液を行う場合、循環血液量の減少による腎障害や低ナトリウム血症を防ぐため、高度アルブミン製剤を投与し治療を行います。
編集部まとめ
低アルブミン血症は、原因疾患の治療を行っていくことが改善に繋がります。
肝硬変など、原因疾患によっては治療が遅れたことにより効果が得られない場合もあるので、早期受診が重要となるでしょう。
また、タンパク質摂取量の低下が原因で低栄養となり、低アルブミン血症を引き起こす場合もあります。
タンパク質を含んだ栄養バランスのよい食事を心がけるなど、生活習慣の改善も低アルブミン血症を引き起こさないために重要となります。
今一度生活習慣を見直し、そもそも低アルブミン血症の原因疾患を引き起こさないように気をつけていきましょう。