「ジュベール症候群(指定難病177)」の予後や日常生活での注意点とは?【医師監修】
公開日:2025/02/05

ジュベール症候群は遺伝子異常による先天性疾患で、国の指定難病に登録されています。
多くの場合、乳児期早期に発見されますが、聞き慣れない病名に戸惑う親御様も多いことでしょう。
本記事では、ジュベール症候群の予後と日常生活での注意点をご紹介します。
※この記事はMedical DOCにて『「ジュベール症候群(指定難病177)」の兆候となる症状はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
五藤 良将(医師)
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防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。
目次 -INDEX-
ジュベール症候群の予後と日常生活での注意点
症状は改善しますか?
ジュベール症候群そのものを治すことはできません。一方で、各症状については、適切な対症療法によって改善できる場合もあります。
たとえば首が据わらない・自力で座れない・歩けないなどの問題は、身体機能訓練を受けることで、ある程度の改善が期待できます。精神・知能の発達の遅れについては、個々の成長にあわせた療育が有効です。
目が見えづらい場合は、メガネの着用や斜視手術を検討してください。1つ留意していただきたいのは、ジュベール症候群の方は健常な方に比べると心身の発達がスローペースである点です。すぐには治療の効果が感じられないこともあるため、本人はもちろんご家族もくじけそうになるかもしれません。
しかし諦めずにコツコツと治療を続けて、少しずつ症状が改善されたというケースは多数存在します。症状を軽くするには、地道な治療を続けていくことが大切です。
たとえば首が据わらない・自力で座れない・歩けないなどの問題は、身体機能訓練を受けることで、ある程度の改善が期待できます。精神・知能の発達の遅れについては、個々の成長にあわせた療育が有効です。
目が見えづらい場合は、メガネの着用や斜視手術を検討してください。1つ留意していただきたいのは、ジュベール症候群の方は健常な方に比べると心身の発達がスローペースである点です。すぐには治療の効果が感じられないこともあるため、本人はもちろんご家族もくじけそうになるかもしれません。
しかし諦めずにコツコツと治療を続けて、少しずつ症状が改善されたというケースは多数存在します。症状を軽くするには、地道な治療を続けていくことが大切です。
ジュベール症候群と診断された場合の寿命(余命)を教えてください。
余命は個人差があり、一概にはいえません。発症者の寿命に大きな影響を与えるのは合併症です。たとえば重篤な腎障害を合併して腎不全に陥り、それが原因で亡くなる小児は少なくありません。
年齢にかかわらず、合併症である肝臓障害・呼吸器系の異常などが原因で死に至ることもあります。一方で、合併症・症状を適切にコントロールできれば、余命を長く保つことも可能です。たとえば透析・腎移植を受けて成人中年期まで余命を保ったケースが報告されています。
年齢にかかわらず、合併症である肝臓障害・呼吸器系の異常などが原因で死に至ることもあります。一方で、合併症・症状を適切にコントロールできれば、余命を長く保つことも可能です。たとえば透析・腎移植を受けて成人中年期まで余命を保ったケースが報告されています。
日常生活での注意点を教えてください。
日常生活上の注意点は、それぞれが持つ障害・症状によって異なります。たとえば進行性の腎障害がある場合は、塩分・タンパク質・ミネラルを制限した食事を心がける必要があります。
また、多尿による脱水にも注意しなければなりません。小児の場合は、腎不全による体調不良を周囲にうまく伝えられないことがあります。急変にいち早く気づくためにも、周囲が日頃から体調・気分の変化などに気を配っておくことが大切です。
ジュベール症候群では、眼球運動の異常によって視覚障害があらわれるケースも多くみられます。目が見えにくい場合は、転倒・ケガを防ぐような生活環境を整えることが重要です。
たとえば視覚障害がある小児は、机や椅子の角に顔をぶつけたり、コードに足を取られて転倒したりするリスクがあります。思わぬケガを防ぐためにも、家具の高さの調整や、床に余計な物を置かないなどの対策が必要です。
運動失調による歩行障害がある場合は、家具での掴まり立ちが多くなります。家具のグラつきによる転倒などを防ぐためにも、床置きの家具は、できる限り固定しておきましょう。
また、多尿による脱水にも注意しなければなりません。小児の場合は、腎不全による体調不良を周囲にうまく伝えられないことがあります。急変にいち早く気づくためにも、周囲が日頃から体調・気分の変化などに気を配っておくことが大切です。
ジュベール症候群では、眼球運動の異常によって視覚障害があらわれるケースも多くみられます。目が見えにくい場合は、転倒・ケガを防ぐような生活環境を整えることが重要です。
たとえば視覚障害がある小児は、机や椅子の角に顔をぶつけたり、コードに足を取られて転倒したりするリスクがあります。思わぬケガを防ぐためにも、家具の高さの調整や、床に余計な物を置かないなどの対策が必要です。
運動失調による歩行障害がある場合は、家具での掴まり立ちが多くなります。家具のグラつきによる転倒などを防ぐためにも、床置きの家具は、できる限り固定しておきましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
ジュベール症候群が疑われる場合は、すぐに病院で診てもらいましょう。この病気の発症者は腎臓障害を合併していることが少なくないためです。
腎障害を放置すると、幼くして腎不全から死に至ることもあります。命を守るためにも、発症が疑われた時点で適切な治療を受けることが大切です。
しかし、腎臓障害自体は外から気づきにくい病気です。そのためジュベール症候群かどうかを判断するには、その他の症状に気を配る必要があります。気づきやすい症状は発育の遅れ・眼球運動などで、多くの場合、乳児期早期からあらわれ始めます。もし我が子に少しでも気になる症状がある場合は、放置せず、一度病院に診せてください。
腎障害を放置すると、幼くして腎不全から死に至ることもあります。命を守るためにも、発症が疑われた時点で適切な治療を受けることが大切です。
しかし、腎臓障害自体は外から気づきにくい病気です。そのためジュベール症候群かどうかを判断するには、その他の症状に気を配る必要があります。気づきやすい症状は発育の遅れ・眼球運動などで、多くの場合、乳児期早期からあらわれ始めます。もし我が子に少しでも気になる症状がある場合は、放置せず、一度病院に診せてください。
編集部まとめ
ジュベール症候群は遺伝子異常による先天性疾患です。発症原因・病態は解明されておらず、有効な治療法も確立されていません。この病気ではさまざまな症状があらわれますが、適切な治療を受ければ、ある程度の改善も見込めます。できる限り症状をコントロールするためにも、発症が疑われる時点で医療機関を受診してください。