「心膜炎」は命にかかわる?治療法について解説!【医師監修】
公開日:2025/07/03

心膜炎は心膜という心臓を包む膜が炎症を起こすことによって胸の痛みを発症する疾患です。あまり聞き慣れない病名だと感じる方が多いかもしれません。
あるいは胸の痛みを感じることと心臓部分の疾患ということで、心筋梗塞などの心臓病との関連を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは心膜炎の治療方法をご紹介します。
※この記事はMedical DOCにて『「心膜炎」になると現れる症状はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
心膜炎のリスクと治療方法
心膜炎は命にかかわるリスクはありますか?
どんな病気でも症状が軽くすめばいいのですが、心膜炎の症状を考えた場合には残念ながら命にかかわるリスクがないとはいえません。症状が軽ければ風邪となんら変わらない病気なので、実際に風邪と思われたまま治癒してしまうことも少なくないと思われます。
しかし症状が悪化すると急性心筋炎、心不全などを引き起こして最悪の結果を招いてしまう可能性があるのです。そのような結果を招かないようにするためにも早期の診察と治療が必要となります。
しかし症状が悪化すると急性心筋炎、心不全などを引き起こして最悪の結果を招いてしまう可能性があるのです。そのような結果を招かないようにするためにも早期の診察と治療が必要となります。
「心膜炎かも…」と思った場合、何科を受診したら良いのでしょうか?
前述のように、心膜炎の初期の症状は風邪の症状に似て喉の痛み・咳・発熱などがあります。風邪と違う症状としては胸の痛みがあることが挙げられるでしょう。他の病気の可能性も考えられますが、もし症状に胸の痛みがあった場合は心膜炎の可能性もあるので循環器内科を受診してください。
心膜炎の診察と治療は循環器内科で行われます。なお循環器専門の医師でも心膜炎の診断は困難なことが多いので、症状についてはなるべく詳しく医師に話すことが必要です。診察では本人による痛みの説明と胸部の聴診が行われます。急性心膜炎では心膜摩擦音(ひっかくような音)がして、慢性心膜炎では心膜ノック音(大きなIII音)がします。併せて以下の検査が行われるでしょう。
心膜炎の診察と治療は循環器内科で行われます。なお循環器専門の医師でも心膜炎の診断は困難なことが多いので、症状についてはなるべく詳しく医師に話すことが必要です。診察では本人による痛みの説明と胸部の聴診が行われます。急性心膜炎では心膜摩擦音(ひっかくような音)がして、慢性心膜炎では心膜ノック音(大きなIII音)がします。併せて以下の検査が行われるでしょう。
- 心電図検査:心電図の波形、ST部分が凹型の上昇を示し,PR部分が低下
- 胸部X線検査:心疾患による心拡大
- 検査後の状況によっては以下の処置が必要になることもあります。
- 心嚢穿刺:溜まった心嚢液の採取、排液
- 心膜生検:心臓の筋肉の変性が疑われる場合、心臓の筋肉の一部を採取して行う病理学的検査
- 心カテーテル検査:カテーテルを動脈ないしは静脈に挿入し、心臓の心内圧の計測や冠動脈・心臓の血行動態を得るためX線撮影で造影
心膜炎の治療方法を教えてください。
心膜炎の治療の基本としては安静にすることが第一です。また安静にすることと同時に、痛みと発熱といった症状には対処療法として鎮痛薬と抗炎症薬を用いた薬物療法を施します。
比較的重くない心膜炎ではこういった対処療法により1〜3週間程度で自然と治る場合が多いです。なお心膜炎の原因によっては治療法も違ってきて、例えば細菌による症状には抗菌薬を用いたりします。
重症化している場合には外科的な治療として心膜腔に溜まった心膜役を取り除く処置を施すこともあるでしょう。
比較的重くない心膜炎ではこういった対処療法により1〜3週間程度で自然と治る場合が多いです。なお心膜炎の原因によっては治療法も違ってきて、例えば細菌による症状には抗菌薬を用いたりします。
重症化している場合には外科的な治療として心膜腔に溜まった心膜役を取り除く処置を施すこともあるでしょう。
編集部まとめ
心膜炎とは普段聞きなれない病気ですが、発症する原因の多さや症状の悪化などを知ってみると決して侮ってはいけない病気だと感じられたことでしょう。
専門医でも診断に難しさのある病気ですが、重症化する前に気付いた点を相談することが重要です。
心膜炎という病気に関してその症状・治療法・予防法など各種の知識をご紹介しました。病気に対して予防をすることはもちろん、もしもの時に知の備えとしてこの記事を役立てていただければ幸いです。
参考文献