「幻聴の診断基準」をご存じですか?治療についても解説!【医師監修】
公開日:2025/06/23

周りに人がいないのに話し声が聞こえたり、他の人には聞こえない音が聞こえたりという症状に苦しんでいる方はとても多いです。
これらの症状は「幻聴」といわれています。風邪やケガと違い、見た目では分からないためまわりからの理解も得にくいです。
今回はそんな幻聴に注目してみていきます。受診のタイミング、診断基準や治療法を紹介します。
※この記事はMedical DOCにて『「幻聴」とは?原因・症状・対処法についても解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
五藤 良将(医師)
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防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。
目次 -INDEX-
幻聴の診断基準・治療
幻聴が疑われる場合、何科を受診すれば良いですか?
- 精神科・心療内科を受診してください。地域によって名称は異なりますが、「こころの健康センター」などの精神系に特化した福祉関係の施設もあります。
- 病院へ行くのに抵抗がある・どこの病院がいいのか分からないなどの場合は、精神系に特化した福祉の専門機関に相談してみるのもおすすめです。
受診するタイミングを教えてください。
- 日常生活に影響が出ている場合は受診した方がいいでしょう。次のような症状に1つでも心当たりがあるのなら、精神科・心療内科で相談することをおすすめします。
- 朝起きるのが辛い
- 被害妄想が繰り返される
- 気力が湧かない
- 人を信じることができない
- 自分に自信がない
- 集中できない
- 食欲不振
- 生きているのが辛い
- これらの症状に当てはまる場合、統合失調症などの心の病気が考えられます。
診断基準について教えてください。
- 病院では主に次の3つの診察を行います。
- 患者さんの話を聞く
- 家族など周囲の話を聞く
- 身体検査
- 患者さんからはどんな症状があり、いつ頃から起きているのかを聞きます。また、ストレスの有無についても伺います。
- その上で家族などの周囲からの話も聞き、周りからはどのように見えているのかを聞いてから診断することが多いです。体の異常が原因の場合もあるので、血流検査・脳波検査などを行うこともあるでしょう。
- ご自身で幻聴かどうかを診断する方法もお伝えします。一番簡単なのは、自分以外の方に聞いてみることです。周りに誰もいない場合は録音してみてください。
- 録音された内容と自分が聞いた声・音が違った場合、幻聴かもしれません。
幻聴はどのような治療を行いますか
- 治療法は主に次の2つです。
- 薬を使った治療
- 精神療法・リハビリテーション
- 幻聴の主な原因とされる統合失調症の治療は、これら2つの治療を組み合わせて行います。
- 薬を使った治療では抗精神病薬を中心に、症状に併せて睡眠薬・抗うつ薬・抗不安薬・気分安定薬などが使われます。薬の服用期間は個人差があり、症状を診ながら薬の量の調整をするのが一般的です。
- 「薬の副作用が辛い」「落ち着いてきたから大丈夫」と勝手に薬の服用を止める方もいます。しかし自己判断で薬を服用するのを止めたり、量を減らしたりすると再発して重症化する恐れがあります。
- 副作用などで悩んでいる場合は、担当医師に相談しましょう。精神療法・リハビリテーションは社会生活機能のレベル低下を防ぐための訓練の1つです。
- 社会生活や対人関係を回復するための訓練などを行います。再び仕事に就けるように就労支援などのサポートもあります。
編集部まとめ
幻聴のように目に見えない症状は他人に理解してもらうのが難しく、SOSを出すのが難しいです。しかし1人で解決するのもなかなか大変です。
まずは自分が信頼できると思う方へ相談してみるといいでしょう。そして精神科・心療内科を受診するようにしてください。
対処法で紹介したように、聞こえてくる声・音に耳を傾けないことも大事です。対処法はさまざまあるので、ぜひ自分に合った対処法をみつけてください。
参考文献