妊娠時に「口唇口蓋裂」はわかる?治療法についても解説!【医師監修】

口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)は、赤ちゃんの上くちびるや上あごがふさがっていなかったり、割れがあったりする先天的な病気です。
古くは大人になってもその症状が残っていることが多かったですが、最近は手術やリハビリによって治療が可能となりました。
適切な治療を受ければ、治療跡も目立つことなく、口や鼻の機能も健康な人と変わらないくらいで回復することができるようになっています。
今回は口唇口蓋裂の診断、治療について解説いたします。
※この記事はMedical DOCにて『「口唇口蓋裂」とは?症状・原因・治療法についても解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
口唇口蓋裂の診断と治療
口唇口蓋裂は妊娠中にわかりますか?
- 上くちびるの割れは、妊娠中のエコー検査で発見されることがあります。エコー検査で顔の形や造作を確認する時に上くちびるに異常が見られた場合は、口唇裂と診断されます。
- 大体妊娠20~30週以降、胎児の身体がしっかり形成される頃に見つかることが多いです。
- 一方、上あごの割れは口の中の症状ですので、妊娠中のエコーではほとんど見付けることができません。出生後の検査で診断されることがほとんどです。
生まれてから口唇口蓋裂に気づくこともあるのですね。
- 妊娠中のエコー検査でわかるのは胎児の外見のみなので、この病気が発見できない時も多いです。また、片側性の口唇裂が実は両側性だったなど、妊娠時の診断と生まれてからの診断が違うこともあります。
- 見た目に関係する病気なので、出産直後にビックリしたりショックを受けたりするご両親もいるかもしれませんが、口唇口蓋裂は現在ではしっかり治療できるため治療跡も目立ちません。事前にこの病気についての知識を持ち合わせていると、慌てることなく治療に進めるでしょう。
- もし妊娠中に胎児にこの症状があることが分かった場合は、生まれてからの情報収集や治療法について、かかりつけ医と相談しておくことをおすすめします。
口唇口蓋裂の治療方法を教えてください。
- 先天性のこの病気は、赤ちゃんが生まれてからしっかり状態の精査をし、症状の確認と治療方針を決めることが必要です。
- その後、口唇裂のお子さんはくちびるを形成する手術を、口蓋裂のお子さんは破裂部を閉鎖する手術を実施します。
- また割れの程度によっては、症状が顔貌障害や哺乳障害のほか、歯並びの障害・言語障害・風邪を引きやすいなど多岐にわたります。
- その場合、小児科だけでなく形成外科・矯正歯科・耳鼻咽喉科などの専門外来とチームを組んで、長期に渡り治療に当たる必要があります。
出生後どれくらいのタイミングで手術するのですか?
- 病院や主治医によって判断は異なりますが、くちびるの割れの手術は生後3カ月後、体重5kgを目安に行う病院が多いです。あごの割れの手術はもう少し後、1歳~1歳2カ月の頃に実施されます。
- どちらの手術も状況によって1~2回に及ぶことがあり、また就学前や青年期にくちびるや鼻の修正手術を必要とするなど、治療が長期にわたるケースもあります。
編集部まとめ
口唇口蓋裂は妊娠中のエコー検査か、生まれてすぐに発覚する先天性の病気で、上くちびるや上あごに割れが見られることが特徴です。
上くちびるに裂があることを口唇裂、上あごに裂があることを口蓋裂と呼び、裂の範囲や症状は大きく個人差があります。
場合によっては顔貌障害のほか、耳の聞こえや言語障害、歯並び・咬合不全にまで症状が及ぶケースがありますので、複数の診療科で長期的な手術・リハビリを行うことが必要です。
ただ現在の医療では、適切な治療を受ければ、見た目や各機能はしっかりと回復することができます。
この病気の手術は生まれてすぐに開始され、青年期に渡って数回実施されることがあります。
口唇口蓋裂を持つお子さんに対しては、生まれてすぐ診察を受け、発育に合わせて適切な治療を受けさせることが大切です。
参考文献