「髄膜炎」の初期症状をご存じですか?受診すべき症状についても解説!【医師監修】
公開日:2025/07/04

髄膜炎は、脳を覆う髄膜と髄膜に流れる髄液に炎症が起きる病気です。
決して高い確率ではありませんが命に関わるケースもあるため、髄膜炎について理解し適切な治療を迅速に行うことが大切です。
そこでこの記事では、症状・検査など髄膜炎について詳しく解説いたします。
万が一に備え、髄膜炎がどのような病気なのか理解を深めていきましょう。
※この記事はMedical DOCにて『「髄膜炎」とは?症状・原因・検査についても解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
髄膜炎の症状と検査
髄膜炎ではどのような症状がみられますか?
- 髄膜炎の症状は、一般的に頭痛・発熱・意識障害・首の硬直が挙げられます。原因や患者さんの年齢によって症状に違いがあるのも特徴です。
- 細菌性髄膜炎:頭痛・発熱・意識障害・首の硬直・痙攣・失語
- ウイルス性髄膜炎:高熱・頭痛・嘔吐・首の硬直
- 結核性髄膜炎:頭痛・発熱・嘔吐・意識障害・物が二重に見えるなどの視覚障害
- 真菌性髄膜炎:頭痛・発熱・嘔吐・首の硬直
- 頭痛・発熱・首の硬直などが一般的な症状ですが、上記のように種類によって症状・重症度は異なります。また、風邪症状のような症状から3~5日ほどかけて徐々に進行していくウイルス性髄膜炎に比べ、細菌性髄膜炎は症状の進行スピードが早い特徴があります。
すぐに受診すべき症状を教えてください。
- 髄膜炎の主な症状は、発熱・頭痛・嘔吐です。これらの症状がある場合は、なるべく早く受診した方が良いでしょう。
- 初期症状は、軽い頭痛や倦怠感など風邪のような症状の場合も多く、単なる体調不良・風邪と自己判断してしまうケースも少なくありません。しかし、進行すると意識障害・激しい高熱・激しい頭痛・痙攣など重度の症状が表れます。少しでも疑いがある場合は、早めに受診しましょう。
- また、髄膜炎の症状には、首の硬直というほかの病気では見られない特徴があります。発熱・頭痛・嘔吐だけでなく、首が曲がらない・首が曲げづらい・首が固いといった症状がみられる場合は、髄膜炎の可能性が非常に高いです。首の硬直が認められる場合もすぐに受診しましょう。
どのような検査が行われますか?
- 髄膜炎が疑われる場合は、血液検査・髄液検査・画像検査が一般的です。
- 血液検査は、体内の炎症の状況・脱水の程度を確認するための検査で、血液検査だけで髄膜炎の診断を確定するのは難しいです。しかし、血液培養・血清プロカルシトニンは細菌髄膜炎の診断に有用です。その上で、髄膜炎なのかどうかをはっきりと確定する検査が髄液検査です。腰から針を刺して髄液を採取し、髄液の様子を確認します。髄液の色や糖・タンパク質・白血球の数などを調べ、詳しく診断していきます。細菌培養検査・遺伝子検査とさらに詳しく髄液を調べることで、原因の確定が可能です。
- ただし、通常腰椎穿刺は安全なものですが、血小板数が低い・抗血小板薬内服中の場合は出血が起こりやすく相対的禁忌であるため注意が必要です。また、脳圧が高い場合は脳ヘルニア(脳が押しつぶされる)の可能性があるため、腰椎穿刺よりも先に頭部CTを撮影した方が安全性が高いといえます。
- 併せて脳に異常が生じている疑いがある場合は、頭部CT検査・頭部MRI検査などの画像検査も行います。髄膜炎の原因にもよりますが、頭部MRI検査を行うことで特徴的な病変を早期に発見できます。
編集部まとめ
髄膜炎は、誰でもなる可能性がある病気です。
病気の原因によっては重度の症状・後遺症・命に関わるケースもあるため、決して軽くみてはいけない病気といえるでしょう。
しかし、適切な処置を迅速に行うことで、早期の治癒が可能なケースも多いです。
髄膜炎から体を守るためには、予防のためのワクチン接種、そして早期発見・早期治療が重要な鍵となります。
そのためにも髄膜炎に対する理解を深め、怪しい症状がみられる場合は早めに診察を受けるように心がけましょう。