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「アスペルガー症候群」の受診を検討する症状とは?治療法についても解説!【医師監修】

 公開日:2025/06/24
「アスペルガー症候群」の受診を検討する症状とは?治療法についても解説!【医師監修】

「相手の気持ちを汲み取れない」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

アスペルガー症候群では、コミュニケーションが上手くいかず対人トラブルに発展することがあります。

発達障害は子どものイメージを抱く方も多いですが、大人のアスペルガー症候群も増えており、大人になってから気づくケースも少なくありません。

今回は、そんなアスペルガー症候群の診断方法や治療法についてご紹介します。

※この記事はMedical DOCにて『「アスペルガー症候群」とは?大人・子供それぞれの特徴についても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

稲川 優多

監修医師
稲川 優多(医師)

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自治医科大学勤務。医学博士、公認心理師。日本精神神経学会精神科専門医・指導医・認知症診療医、日本老年精神医学会専門医・指導医、日本医師会認定産業医、精神保健指定医。

アスペルガー症候群の診断と治療

診断結果をまとめる医師

受診を検討する症状があれば教えてください。

  • アスペルガー症候群は発達障害の1つで、乳幼児健診で指摘されることがあります。発達障害の可能性を指摘されたら、小児科・小児神経科・児童精神科のある医療機関を受診してください。
  • お子様の場合、学校生活の中で対人トラブルやコミュニケーションの不得意さを指摘されることがあれば受診を検討するとよいでしょう。強いこだわりや、ルールからそれたときのパニック・かんしゃくといった症状も受診を検討する要素の1つです。
  • 大人の場合も同様に、コミュニケーションに関連する対人トラブルに悩むことがあればアスペルガー症候群を疑った方がよいでしょう。
  • いずれにしても、アスペルガー症候群を放置すると、対人関係で多くの悩みを抱えることになりかねません。気になる点があれば、専門の医師に相談してみましょう。

アスペルガー症候群はどのように診断されますか?

  • アスペルガー症候群の診断は、前述したアメリカ精神医学会の診断基準「DSM-5」、あるいは世界保健機構による分類「ICD-10」をもとに行われます。DSM-5が用いられることが多く、近年では自閉症スペクトラムという名称に変わりました。
  • DSM-5では、社会的コミュニケーションや対人相互関係の持続的欠如・行動や興味に関する症状・発達に応じた対人関係などの障害・知的障害からくる症状ではないなどの項目に当てはめていきます。
  • 他の精神疾患を併存しているケースもあるため、アスペルガー症候群以外の可能性も含めて問診や心理検査が行われ、アスペルガー症候群(あるいは自閉症スペクトラム)と診断されます。

アスペルガー症候群の治療方法が知りたいです。

  • アスペルガー症候群の根本的な治療方法はなく、コミュニケーションや日常生活に必要なトレーニングを行うことがほとんどです。
  • アスペルガー症候群では、自分が発した言葉によって相手がどのように感じるのか想像するのが苦手なことも少なくありません。そういった想像力を高めるためのトレーニングを行うのです。
  • また、自分の強み・弱みを洗い出して、自分自身と向き合うことも行います。子どもの頃に治療を開始した場合、トラブルをできるだけ減らして過ごせることも多いです。
  • これらの治療は、子どもの場合は児童精神科や小児神経科で行われます。大人の場合は、精神科・心療内科を受診してください。根本的な治療方法はないものの、適切なサポートやカウンセリングによって症状を減らせる可能性があります。

他の精神疾患を併発することがあると聞きます…。

  • アスペルガー症候群の患者さんの40%が2つ以上の精神疾患が併存しているといわれています。
  • 併存することが多い精神疾患が、知的障害・LD(学習障害)・ADHD(注意欠如・多動症)・発達性協調運動症・不安症・うつ病・双極性障害・強迫症などです。その他にも、身体的な疾患として便秘・睡眠障害・てんかんがみられることもあります。
  • アスペルガー症候群を治す根本的な治療方法はありませんが、このように併存する疾患があればそれに対して薬物療法を行うことがあります。

編集部まとめ

ハートを持つ親子
アスペルガー症候群は発達障害の中でも言葉や知能に遅れがないため、大人になってから気づくケースも増えています。

いわゆる「空気を読む」という行為が苦手で、相手の気持を汲み取ったり想像して対応することが難しく、対人関係に悩むケースが多いです。

そんなアスペルガー症候群は薬で治すことはできませんが、カウンセリングやトレーニングによって症状は軽減できます。

そのためにも、早めに気づいて診断を受けることが大切です。

アスペルガー症候群に気づいて適切なサポートをすることで、本人はもちろん周囲の人にとっても不安の軽減につながります。

症状の現れ方には個人差があるため、少しでも気になることがあれば一度専門の医師に相談してください。

この記事の監修医師

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