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「致死性不整脈」の4つの前兆をご存じですか?治療法についても解説!【医師監修】

 公開日:2025/06/23
「致死性不整脈」の4つの前兆をご存じですか?治療法についても解説!【医師監修】

日本人の死因として多いものに何があるかご存じでしょうか?2021年時点での厚生労働省による人口動態統計の結果によって、上位3つの死因が明らかになりました。

 ・悪性新生物
 ・心疾患
 ・老衰

悪性新生物と心疾患は今までの人口動態統計でも上位に留まり続けています。悪性新生物はいわゆる「がん」であり、心疾患は不整脈や心臓病などのあらゆる心臓の病気のことです。

今回はその中の不整脈、特に致死性不整脈について解説していきます。病気を予防するためにはまずその病気のことを知ることが大切です。

兆しや治療などについても触れていくので今後の疾病予防に役立ててください。

※この記事はMedical DOCにて『「致死性不整脈」とは?前兆となる症状・原因についても解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

武井 智昭

監修医師
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

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【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。

日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

致死性不整脈の兆し

胸を押さえる男性

致死性不整脈には兆しがあるのでしょうか?

致死性不整脈の兆しとして以下のようなものがあります。

  • 動悸
  • 息切れ
  • 失神
  • めまい

今まで上記のような症状がなかったという場合は要注意です。もともと心不全などの心臓の病気を持っていて、定期的に心電図などの検査を受けているという人は速やかに担当医に伝えるようにしましょう。

どのような症状が出れば相談すればいいでしょうか?

  • 前述したように心不全などの心臓の病気で通院している人は常に検査結果や体調などに自分自身でも気を付けていなければなりません。日常生活を送る中での拍動や脈の速さなどに少しでも違和感があればその時点でかかりつけの医師に相談をしましょう。
  • 「わざわざ病院に行って何もなかったら」と二の足を踏むよりも、「何もないことを確認するために行く」という気持ちで病院への一歩を踏み出すことが大切です。

家族はどのように対応すればいいでしょうか?

  • 心不全などで不整脈の既往歴のある人は喫煙などの生活習慣や風邪薬などの薬類、アルコールなどの嗜好によって悪化し、致死性不整脈を起こす場合があります。本人がそういった悪化の要素に気を付けるのはもちろんのこと、家族や周囲の人間もそういった要素に気を配っておくことが大切です。
  • また、突然致死性不整脈を起こして意識消失といった事態に備えて、AED(自動体外式除細動器)の使い方を理解しておくと救急車が来るまでに迅速な応急措置を施せます。
  • このような備えによって施した処置により一命をとりとめることもあるため、普段から不測の事態に備えておきましょう。

治療法はありますか?

致死性不整脈の治療法には以下のようなものがあります。

  • カテーテル心筋焼灼術
  • 植え込み型除細動器
  • ペースメーカー
  • 薬物療法

上から説明していくと、まずカテーテル心筋焼灼術はカテーテルアブレーションとも呼ばれ、心臓の異常部位に焼灼用のカテーテルで高周波電流を流すことで正常な動きに戻す方法です。植え込み式型除細動器は体内に植え込み手術を施した除細動器が心臓の異常を感知し、その重症度に応じて刺激や電気ショックを与えることで不整脈を抑えます。ペースメーカーも除細動器と同じく体内に植え込み、電気刺激を与えることで心臓の動きを整える方法です。
最後に薬物療法ですが、薬物療法に用いられる薬は以下の4種類です。

  • 抗不整脈薬(不整脈を停止させる)
  • ベータ遮断薬(心拍数を低下させる)
  • カルシウム拮抗薬(脈拍数を低下させる)
  • 抗凝固薬(心筋梗塞などの原因となる血栓形成を抑える)

これらの薬を治療の目的に合わせて使用することで不整脈の治療をおこないます。このように致死性不整脈の治療方法には様々なものがあり、症状などに応じて適切な方法を選ぶことが大切です。致死性不整脈の予防治療としては、植込み型除細動器(ICD)が優先されます。植込み型除細動器は心室細動を1回でも生じたかた、あるいは危険性が高いと判断された患者さんに予防的に植込みます。ICDにより突然死を回避する確率は高まりますが、心室細動の発生を完全に予防することはできません。一方で、心室頻拍に対しては、抗不整脈薬による薬物療法やアブレーション治療が行われることがありますが、持続性の心室頻拍がある場合にも、ICDによる治療が優先されます。

編集部まとめ

目をつむって胸を押さえる女性
今回は致死性不整脈について解説しました。致死性不整脈は突然起こってそのまま亡くなってしまうということも珍しくない恐ろしい病気です。

主な原因は心疾患にあり、早期の発見と処置がその後を左右します。高齢者に多い傾向があり、その理由は高齢者の心疾患の発症率の高さです。

しかし高齢者だけではなく若年者でも心疾患にかかっている人やかかったことのある人も致死性不整脈を起こすリスクはあり、普段から自分の体調を気にかけておく必要があります。

生活習慣なども不整脈の悪化につながることがあるため、家族や周囲の人も本人と同様に気にかけておきましょう。

長生きするためにも自分と自分を取り巻く人とで協力して早期発見と処置を心がけることが大切です。

この記事の監修医師

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