「顔つきが変わった?」“巨人症”の検査と放置リスクを解説!【医師監修】
公開日:2025/06/22

巨人症は大人も子供も発症する可能性のある病気で、その特徴的な見た目に悩む方は少なくありません。
それだけでなく、巨人症では下垂体や各種ホルモンに関連したさまざまな症状が現れる可能性があることをご存じでしょうか。
今回は、そんな巨人症の検査内容や放置いた場合のリスクについてご紹介します。
※この記事はMedical DOCにて『「巨人症」は大人と子供で症状が違うってご存知でしたか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)
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【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。
日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。
日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属
目次 -INDEX-
巨人症はどのように診断される?
巨人症だと疑う場合は何科を受診するのが良いのでしょうか?
- 巨人症は、成長ホルモンの過剰分泌が原因で起こる内分泌疾患の1つです。
- そのため、巨人症の治療は内分泌内科が専門になります。
- また、下垂体は脳内に位置するため脳神経外科でも診断が可能です。
- しかし、「もしかして…」と思ってもいきなり内分泌内科や脳神経外科を受診するのはハードルが高いという方もいるでしょう。
- お子様の巨人症を疑う場合、まずはかかりつけの小児科を受診しましょう。大人の場合は、かかりつけ医や内科を受診してください。
- 巨人症を疑う所見があれば、検査機器や治療体制が整った大きな病院に紹介状を書いてくれます。
巨人症を診断するうえで行う検査内容が知りたいです。
- 巨人症を疑う症状があれば、血液検査・X線検査・CT検査・MRI検査などを行って診断につなげます。
- 成長ホルモンの過剰分泌によって巨人症や先端巨大症の特徴的な症状が現れるため、血液検査で成長ホルモンの数値を確認します。
- 成長ホルモンの数値が正常値よりも高ければ、当然過剰分泌を疑わなければなりません。
- しかし、1回だけの数値では判断できないため数回検査して同じように高値であれば過剰に分泌されている状態と判断します。
- その他、ブドウ糖を服用する糖負荷試験によって、成長ホルモンの数値の動きを確認することも診断に有用です。
- また、巨人症の原因はほとんどが下垂体腺腫であるため、下垂体腺腫を確認するために一般的な内容から内分泌ホルモンに関して血液検査と頭部MRI画像検査が主に行われます。
- 血液検査では成長ホルモンと、その下流として分泌が促される「IGF-1」と呼ばれるホルモンの血中濃度の上昇を確認します。
- また、一定量の糖分を経口摂取して、成長ホルモンの血中濃度変化を確認する負荷試験を行います。
- 正常では、糖分の負荷では血液中の成長ホルモンは低下しますが、この巨人症(下垂体腺腫)が存在する場合には、反対に上昇したりすることが確認されます。
- 下垂体腺腫を確認するために、頭部に対してCT検査やMRI検査が行われます。
- その他、手根骨のレントゲンを主に撮影して、小児であれば実際の年齢と骨の年齢の差などを評価します。
- 巨人症の原因疾患は、そのほとんどが下垂体腺腫によるものであるため、下垂体腺腫に準じた治療法がとられます。
- 治療法は手術療法が第一に選択されますが、状況によっては薬物療法やガンマナイフがその代わりになることもあります。
巨人症を放置するリスクなど教えてください。
- 巨人症は背が高くなり過ぎたり、身体の先端が大きくなったりするというだけの病気ではありません。
- 適切な治療が施されないまま放置すると、糖尿病・高血圧・心不全・大腸がん・甲状腺がんのような病気を発症するリスクを高めます。
- 糖尿病や高血圧は合併症として多く、巨人症の治療とともにコントロールが必要です。
- 成長ホルモンの過剰分泌によって心臓が大きくなるケースもあり、常に心臓に負荷がかかるため心不全のリスクを高めます。
- それだけでなく、甲状腺腺腫が頭部を圧迫することで頭痛・視野狭窄・手足の痺れ・倦怠感を起こすケースも少なくありません。
- また、舌が大きくなると睡眠時無呼吸症候群になるリスクも高まります。
- このように、巨人症を放置することで命に関わるような症状を引き起こすことがあるのです。
- そのため、巨人症を発症すると同年代の方よりも病気による死亡率が高くなるといわれています。
編集部まとめ
巨人病は下垂体腺腫という良性腫瘍が原因となり、成長ホルモンが過剰分泌されることによって起こる病気です。
高身長や身体の先端の肥大といった見た目の症状だけでなく、糖尿病や高血圧にも注意しなければなりません。
巨人症や先端巨大症を放置すると心臓に負荷をかけたり、甲状腺がん・大腸がんのリスクを高めたりするため早期発見・早期治療が重要です。
下垂体腺腫を手術で取り除いたり放射線治療・薬物療法を併用したりすることで、病気をコントロールすることができます。
「子供の背が伸びすぎではないか?」「顎や鼻が大きくなった気がする」など気になる症状があれば、早めに受診して早期発見・早期治療につなげてください。