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「肺水腫」の治療法は?入院期間についても解説!【医師監修】

 公開日:2025/06/28
「肺水腫」とは?原因・症状・治療方法についても解説!【医師監修】

「肺水腫(はいすいしゅ)」とは肺胞内に血液などの液体成分がたまって酸素と二酸化炭素のガス交換ができなくなり、低酸素状態呼吸困難が起こった状態のことです。

液体がたまる原因は大きく分けて2つあり、心臓病など循環器の病気が原因の場合と肺炎など呼吸器の病気が原因の場合に分類されます。

症状が起きてしまうと呼吸困難に陥るため、治療を行っても救命できる確率が低下してしまいます。

症状が進行しないうちに医療機関を受診し、治療することが重要です。

肺水腫の診断・治療などについて詳しくみていきましょう。

※この記事はMedical DOCにて『「肺水腫」とは?原因・症状・治療方法についても解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

武井 智昭

監修医師
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

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【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。

日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

肺水腫の検査と治療方法

パソコンの前で手振りで話す医者

どのような検査を行い肺水腫と診断されますか?

  • 下記のようにさまざまな検査を行い、総合的に判断します。
  • 聴診:呼吸音の変化の確認する
  • 画像診断:胸部X線画像・胸部CTなどで肺の影を確認する
  • 心臓超音波(エコー検査):心臓の動きや働きを確認する
  • 採血検査:心不全の程度の確認・血液中の細菌の有無を確認する
  • 動脈血液ガス検査:動脈の血液中の酸素濃度・二酸化炭素のレベルを確認して、呼吸状態を評価する

治療方法を教えてください。

  • 治療方法は原因となった病気によって変わるため、まずは心原性肺水腫か非心原性肺水腫かを早急に区別する必要があります。症状が起こった原因を特定して病気の治療をし、併せて重症の場合は酸素吸入や薬物治療などさまざまな治療を行います。
  • また、肺水腫では経皮的酸素飽和濃度の低下(低酸素血症)が生じており、呼吸状態をサポートするために酸素投与・人工呼吸管理(非侵襲的陽圧換気療法など)が実施されることが多いです。肺胞内に貯留した液体成分を毛細血管へと押し戻すことを目的として、気道内に圧力(陽圧)をかける呼吸管理が必要となります。
  • 主な治療方法は下記です。
  • 利尿剤:肺胞内にたまっている水分を排出するために行う
  • 血管拡張薬:血管の容量に余裕を持たせるために使用する
  • 強心剤:心原性肺水腫の場合に心臓を働きを助けるために使用する
  • 抗生物質・抗炎症薬:非心原性肺水腫の場合に肺炎・敗血症など細菌に感染したことが原因の場合に使用する

どのくらいの期間治療が必要ですか?

  • 治療期間は原因となった病気や症状の度合いによって異なります。
  • 心臓病が原因の場合は心臓の外科手術が必要になります。目安として、心臓弁膜症や冠動脈バイパス手術を行った場合は平均で術後2〜3週間の入院が必要です。
  • 肺炎が原因の場合、ほとんどは1週間程度の治療で治ります。

編集部まとめ

胸に異変を感じる女性
肺水腫は肺に液体がたまって呼吸が苦しくなり、症状が重い場合は呼吸困難や呼吸不全に陥る恐ろしい症状です。

心臓病が原因となる「心原性肺水腫」と肺炎や敗血症が原因となる「非心原性肺水腫」の2種類がありますが、どちらも症状と治療方法は同じです。

呼吸不全を引き起こすため、命を落とす可能性があります。早期発見できるかが重要になるため、自覚症状として現れる息苦しさに注意して異常を感じた場合は早めに受診してください。

バランスのいい食事や適度な運動など、健康的な生活を心がけることで肺水腫の原因となる心臓病や肺炎などの病気を予防できます。

心臓に持病がある場合はとくに注意が必要です。定期的に受診して医師の指導を受けましょう。

この記事の監修医師

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