「十二指腸潰瘍」を疑う場合の検査方法とは?治療法についても解説!【医師監修】
公開日:2025/06/21

胃腸の病気にはさまざまなものがありますが、近年患者数が増加傾向にあるのが十二指腸潰瘍です。
胃潰瘍と比べてあまり耳馴染みのない病気かもしれませんが、重篤な症状につながる恐れもある注意すべき胃腸の病気です。
受診のタイミング、治療方法など十二指腸潰瘍がどんな病気なのか理解を深め、胃腸の健康について考えてみましょう。
※この記事はMedical DOCにて『「十二指腸潰瘍」とは?症状・原因・治療方法についても解説【医師が監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
目次 -INDEX-
十二指腸潰瘍の検査と治療方法
十二指腸潰瘍が疑われるときにどのような検査をしますか?
- 十二指腸潰瘍の疑いがある場合は、主に内視鏡検査・X線検査で病状の確認をします。X線検査による圧迫撮影を行うことで、十二指腸の変形・陥没などを見つけることが可能です。
- 十二指腸潰瘍のX線検査ではバリウムを服用します。バリウム検査は、胃カメラ検査よりも手早く検査をすることが可能ですが、ピロリ菌の検査を行うことができません。
- 胃カメラ検査では、鼻もしくは口から内視鏡を挿入し、食道・胃・十二指腸の状態を直接観察します。X線ではわからない粘膜の状態を確認することができますし、同時にピロリ菌の検査を行うことが可能です。
- そのため、十二指腸潰瘍が疑わしい場合は、胃カメラを用いた内視鏡検査で診断するケースが大半です。
受診を検討すべき兆候があれば教えてください。
- 胃痛・みぞおちの痛みなどが続く場合は、十二指腸潰瘍ではなくても胃腸の病気の可能性があります。
- 胃腸の痛み・不快感が続く場合は、受診を検討しましょう。
- また、便が黒い場合は、消化器官のどこかで出血している可能性があります。痛みがない場合でも便の変化がみられる場合は、早めに消化器内科・胃腸科で診察を受けましょう。
治療方法が知りたいです。
- 十二指腸潰瘍の治療は、薬物療法が一般的です。胃酸分泌を抑制する薬・胃の粘膜を保護する薬で、症状の改善を目指します。
- ピロリ菌の感染が認められる場合には、抗生物質や酸分泌抑制薬を用いてピロリ菌の除菌も同時に進めていきます。
- 十二指腸潰瘍は、基本的には手術の必要はなく薬物療法で治療できる病気です。しかし、症状が進行し、出血・穿孔がみられる場合には手術が必要となります。
- 手術は内視鏡による止血治療がほとんどです。潰瘍の大きさ・出血の度合いにもよりますが、大半の場合は開腹手術をしなくても内視鏡で治療することができます。
出血していなければ薬物療法になるのですね。
- 出血がなく、手術の必要がない場合は薬物療法で治療していきます。
- 十二指腸潰瘍と聞くと、「手術になるのでは」と不安に思われる方もいらっしゃいますが、薬で治療できる病気ですので必要以上に深刻に考える必要はないでしょう。
- しかし、十二指腸潰瘍の治療は治癒までに時間を要します。1〜2ヶ月の薬物療法で大半の場合は症状が良くなりますが、その後も薬の継続服用が必要です。
編集部まとめ
なにかとストレスの多い現代に生きる私たちは、胃腸の不調に悩まされることも少なくありません。
少しの不快感であれば「いつものことだから」「単なる痛み」と、大丈夫だと過信してしまう人も少なくないでしょう。
しかし、胃腸のダメージは知らないうちに進行している場合もあります。
薬で治せる十二指腸潰瘍も、放置しておけば重篤な症状となり苦しい状況になってしまうかもしれません。
また、原因のひとつであるピロリ菌ですが、日本では約3,000万人もの感染者がいるといわれています。
感染していても不思議ではありませんから、定期的な検査で十二指腸、胃の健康・元気な毎日を守っていきましょう。