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体が徐々に動かなくなる「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」病気を疑う初期症状も医師が解説!

 公開日:2025/07/05
体が徐々に動かなくなる「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」病気を疑う初期症状も医師が解説!

「筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)」はALS(amyotrophic lateral sclerosis)とも呼ばれます。

国の指定難病で、発症の原因は不明です。人工呼吸器を使わない場合、発症から2〜5年で死に至ります。

とても進行の早い病気ながら診断されるまで1年以上かかる場合がほとんどで、早期発見が難しいのが現状です。

筋萎縮性側索硬化症を疑ったほうがいい初期症状や検査などを詳しくみていきましょう。

※この記事はMedical DOCにて『「筋萎縮性側索硬化症(ALS)指定難病2」とは?症状・原因についても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

武井 智昭

監修医師
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

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【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。

日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

筋萎縮性側索硬化症の検査内容や進行速度

問診をする男性医師

筋萎縮性側索硬化症はどのような検査で診断するのですか?

  • 筋萎縮性側索硬化症だけを特化して診断する検査方法はありません。疑わしい症状がある場合は、以下のような検査を行って診断します。
  • 針筋電図:細い針を筋肉に直接刺して筋肉の電気活動を調べます。
  • 血液検査:他の病気が原因で筋力の低下が起こっているのかどうかを調べます。
  • 髄液検査:腰の背中側から針を刺して脳と脊髄の周りにある髄液を採取します。
  • MRI検査:頭部MRIと脊髄MRIを行い、筋力の低下が脳梗塞・脳出血・腫瘍・脊椎疾患ではないことを確認します。
  • 末梢神経伝導速度検査:手足を動かす末梢神経に電気刺激を与え、障害が起こっているかを確認します。
  • 遺伝子検査:家族性ALSか、よく似た症状が出る別の遺伝性疾患なのかを特定するために行う場合があります。
  • 筋萎縮性側索硬化症の場合、針筋電図を行うとほぼ全身の筋肉で慢性神経原性変化や脱神経所見がみられるのが特徴です。症状に個人差があるため、発症から診断されるまで平均13.1か月かかっています。

どんな症状を発症したら筋萎縮性側索硬化症を疑った方が良いですか?受診するタイミングも教えてください。

  • 初めに出る症状により、4つのタイプに分けられます。以下のような症状がある場合は筋萎縮性側索硬化症の可能性を考えて、早めに病院で診察を受けることをおすすめします。
  • 上肢型:腕に力が入りにくくなるタイプで、着替えがスムーズにできない・字がうまく書けない・箸が持てないなどの症状が現れます。
  • 下肢型:歩くことが難しくなるタイプで、スリッパが脱げやすい・歩くのが遅くなる・階段の上り下りが難しいなどの症状が現れます。
  • 球麻痺型:舌や口が動きにくくなるタイプで、食べ物が飲み込めない・ろれつが回らないなどの症状が現れます。
  • 呼吸筋麻痺型:手足の筋萎縮や筋力の低下より先に呼吸困難が現れるタイプで、非常に稀です。
  • 上肢型の場合、肩周辺の筋肉が弱まった場合は肩が上がりにくくなりますが、これは肩こりに似た症状のために区別がつきにくいです。その他、比較的自覚しやすい以下のような症状が現れたときも注意が必要です。
  • 筋萎縮:筋肉がやせて衰える症状
  • 線維束性収縮:筋肉がピクピクする症状
  • 嚥下障害:食べ物が飲み込みにくい症状
  • 構音障害:発音がしにくくなる症状
  • 前頭側型認知症:感情のコントロールができなくなる症状

編集部まとめ

医師と患者
筋萎縮性側索硬化症は原因不明の難病で、今のところ治療法がありません。発症すると2年〜5年で死に至ることが多く、とても進行が早い病気です。

症状や進行速度は個人差が大きいですが、最終的には全身に広がり体を動かせなくなります。

根本的な治療方法はありませんが、早期に発見して投薬治療を開始することで病気の進行を遅らせることができます。

体が動かしにくかったりろれつが回らなかったりなど、筋萎縮性側索硬化症を疑う症状がある場合は早めに受診しましょう。

この記事の監修医師

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