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「離人症の原因」はご存知ですか?医師が監修!

 公開日:2024/08/01

離人症とは、周囲の出来事や人、自分自身などに対して現実感がなくなり、自分の感覚が普段と異なると感じる症状を示す病気です。離人症は10代から20代での発症頻度が高い とされています。
今回は、離人症について、症状、検査・診断、治療法を解説します。

※この記事はMedical DOCにて『「離人症」とは?症状・原因について詳しく解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

岡田 夕子

監修医師
岡田 夕子(医師)

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滋賀医科大学医学部卒業。現在は、「ひだまりこころクリニック」、「五十嵐こころクリニック」にて勤務。精神保健指定医。日本精神神経学会専門医・指導医。

離人症とは

離人症とは、どんな病気ですか?

離人症とは

離人症とは、自分自身が認識している現状に対して現実感がなくなり、自分の感覚が普段と違うように感じる離人症状を繰り返す病気で、解離性障害の一つとされています。離人症状は、患者本人に激しい苦痛や社会生活における生活機能に大きな障害をもたらしますが、離人症状が出ていても、自分の考えが現実的か、合理的であるかなどを判断する現実検討能力は、正常に保たれて います。

離人感とは身体や精神から自分が切り離されたような感覚で、自分の生活を外から観察しているような感覚や自分が外界から切り離されているように感じます。

離人症状は一時的に発症する場合だけでなく、離人症状が生涯続く慢性離人症も見られます。

離人感や現実感消失は、離人症患者だけでなく、他の精神障害の症状としても見られる場合やけいれん性疾患などの身体的な病気の症状としても見られます。

患者に発生する離人感や現実感消失が薬物や他の精神障害によるものではなく、ひとりでに発生し、長期間持続したり、繰り返し発症したりする場合や、症状により患者が大きな苦痛を感じたり、家庭や職場で役割を果たせなかったりする場合は、離人症 と診断します。

離人症の発症は10代から20代に見られ、特に幼児期や小児期中盤に多く、40歳以上での発症はまれです。人口の2%程度に発症し男女差はありません 。

一時的な離人感や現実感消失は、よく見られる症状で生涯に約半数の人が経験しています。特に生命を脅かすほどの危険な経験、幻覚剤、マリファナ、ケタミン、エクスタシーなどの特定薬物の使用、激しい疲労、断眠、集中治療室での治療中に見られる感覚刺激の喪失などの後 に多く見られます。

離人症の原因

離人症の原因はどのようなものですか?

離人症の発症については、そのメカニズムが明確になっていませんが、患者さんの中には、幼少期の虐待などのトラウマ(心的外傷)を体験されている方も多く見られ、強い恐怖感を避けるために、離人症が形成される という説もあります。

離人症に見られる離人感や現実感の喪失の原因としては、例えば小児期の情緒的虐待やネグレクト、身体的虐待、ドメスティックバイオレンス、親の身体的・精神的障害、愛する人の突然死など、人間関係、金銭、仕事などによる強いストレスを経験したこと、うつ病、不安、違法薬物やレクリエーションドラッグの使用 などが見られます。

しかし、25~50%の患者はストレスが比較的軽微であり、ストレスの特定が困難な場合も見られます。

離人症は、離人症状がありかつ、他の病気に合併しないものと定義されていますが、うつ病や不安障害、強迫性障害、パニック障害、境界性人格障害、統合失調症などの精神疾患でも見られます。

また、甲状腺、副甲状腺、膵臓などの内分泌障害、てんかん、脳腫瘍、脳外傷などの身体疾患、神経外科手術時の電気刺激や一部の薬剤投与時にも見られますが、離人症状が他の疾患に合併する場合は、離人症では無く主疾患による症状 と考えます。

しかし、これらを明確に鑑別することは難しい場合が多く、例えば当初は離人症のみが見られ、その後幻覚妄想が出現し統合失調症と診断される場合などもあります。

編集部まとめ

離人症による離人感や現実感消失症状は、特に離人症の原因となっているストレス要因が明確な場合には完全な回復が期待できます。しかし、治療を行っても治療効果が慢性化する場合や自然に緩解する場合も見られる疾患です。

参考文献

この記事の監修医師