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「過換気症候群」はどうやって治す?治療法について解説!【医師監修】

 公開日:2025/07/02
「過換気症候群」はどうやって治す?治療法について解説!【医師監修】

精神的な不安や強いストレスそして極度の緊張により、自分の意思とは無関係に過呼吸の状態に陥りパニックを起こす病気が過換気症候群です。

過呼吸の状態になると体内の二酸化炭素量が減ることで息苦しさや激しい動悸、また身体にしびれやけいれんを起こして重篤な場合は気を失ってしまいます。

発症の比率は男女比でいうと1:2で、とくに20~30代の若い女性はおよそ100人に7・8人の割合で起こるといわれています。

なぜこのような発作が生じるのか?その原因とメカニズムや治療法について解説していきます。ぜひ参考にしてください。

※この記事はMedical DOCにて『「過換気症候群」とは?症状についても詳しく解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

工藤 孝文

監修医師
工藤 孝文(工藤内科)

プロフィールをもっと見る
みやま市工藤内科 院長・糖尿病内科医・漢方医・統合医療医。福岡大学医学部を卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、福岡県みやま市の工藤内科にて、糖尿病内科・ダイエット外来・漢方治療を専門に、地域診療を行っている。NHK「ガッテン!」「あさイチ」、日本テレビ「世界一受けたい授業」などテレビ出演多数。著書は50冊以上におよび、Amazonベストセラー多数。YouTube「工藤孝文のかかりつけ医チャンネル」が現在人気を集めている。 
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。

過換気症候群の治療方法

聴診器とレントゲン

どのような治療方法がありますか?

  • 日頃から深くゆっくりした呼吸ができるよう腹式呼吸など呼吸法の指導を行います。
  • また不安や恐怖感が極度に強い場合は症状によって抗不安薬や漢方薬を用いた薬物療法が選択されます。しかし薬のみで完治するケースはそもそもの原因を取りのぞくことはできないためまずありません。
  • 有効といえるのは認知行動療法です。これは「過呼吸の発作を起こすと死ぬかもしれない」「一生治らないかもしれない」といった誤った思い込みを修正することで発作を防ぐ効果があります。

どのくらいの期間で治りますか?

  • 発作の症状自体は30分~1時間ほどで改善します。救急搬送された場合も病院につくころには発作は治まっているケースが多いのも特徴です。
  • ただし過呼吸を引きおこしている強い不安の原因が改善されていないと発作を繰り返すため心療内科での治療が必要です。
  • また心理的要因の他にぜんそくなどの呼吸器疾患や心臓の疾患が原因となっていることもあります。この場合そもそもの疾患の治療が必要なため、症状の改善に至るまでは時間を要します。

発作がない場合の治療について教えてください。

  • うつ病などの精神疾患が原因となっている場合は抗うつ剤や抗不安剤で薬物治療を継続します。発作の頻度が少ないなら、不安や恐怖のもととなるきっかけを生み出さないためにできるだけストレスの無い生活を送ることが重要です。
  • 食事や睡眠をきちんととり常に体調管理に気を配るのはもちろんのこと日常生活の中にリラクゼーションを積極的に取り入れましょう。
  • また患者の多くを占める若い女性はとくにホルモンバランスを崩すとストレスにつながることも判明しています。決して無理はせず、不調を感じる前に心療内科などでカウンセリング受けることも過換気症候群の発症を防ぐ効果があります。

ペーパーバッグ法とは何ですか?

  • 過換気発作の原因は呼気からの二酸化炭素が過剰に排出されることで起こるため、ペーパーバッグ法とよばれる呼気を一旦紙袋に入れ、それをもう一度吸い込むことにより呼吸を整える方法が行われていました。
  • しかしこの方法はかえって酸素が行きわたらなくなったり体内の二酸化炭素が過剰になったりする場合も多く、また紙袋がかえって本人の恐怖心をよび起こすなどリスクが高くなることが判明したため、現在では推奨されていません

編集部まとめ

草むらで手を広げる女性
過換気症候群は精神的なストレスによるものがほとんどです。過度に不安を抱えやすく緊張しやすい、また神経質な方はとりわけ発作を起こしやすい傾向にあります。

あくまで発作や症状は一時的なものであり、生命を脅かすものではないとご自分の中で認知できれば必要以上に怖がる病気ではありません

もし過呼吸の状態になってもパニックにならず、まずは気持ちを落ち着かせてゆっくり呼吸を整えれば、自然と症状は治まります。

しかし原因は心理的要因だけとは断言できません。何らかの持病がある場合は血液や胸部レントゲンなどの検査も受けたうえで総合的な治療も必要になります。

不要なストレスや不安を抱えることで過呼吸を繰り返し苦しみを重ねることのないよう、まずは1度心療内科などの専門機関を受診しましょう。

この記事の監修医師

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