「肺気腫」は完治する?治療法について医師が解説!
公開日:2025/07/02

医学系のテレビ番組やCMなどで、「COPD」という言葉を耳にすることがあります。
COPDとは慢性閉塞性肺疾患のことで、タバコの煙などの有害物質を長期間吸い続けることで起こる、炎症性の肺疾患を指します。
慢性閉塞性肺疾患には、慢性気管支炎などの病気も含まれており、その1つが「肺気腫」です。
今回は、肺気腫がどのような病気なのか、治療法についてご紹介します。
※この記事はMedical DOCにて『「肺気腫」とは?症状についても詳しく解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
工藤 孝文(工藤内科)
プロフィールをもっと見る
みやま市工藤内科 院長・糖尿病内科医・漢方医・統合医療医。福岡大学医学部を卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、福岡県みやま市の工藤内科にて、糖尿病内科・ダイエット外来・漢方治療を専門に、地域診療を行っている。NHK「ガッテン!」「あさイチ」、日本テレビ「世界一受けたい授業」などテレビ出演多数。著書は50冊以上におよび、Amazonベストセラー多数。YouTube「工藤孝文のかかりつけ医チャンネル」が現在人気を集めている。
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。
肺気腫の治療法
肺気腫は完治するのですか?
- 肺気腫は肺胞という組織が壊れてしまっている状態です。一度壊れてしまった肺胞は元に戻すことはできず、肺気腫が完治することはありません
- しかし、禁煙や内服薬などで症状を緩和させたり進行を遅らせたりすることはできます。
どのような検査をするのでしょうか?
- 肺気腫の診断には、胸部レントゲン・CT撮影・呼吸機能検査・血液検査などが用いられます。
- このうち、胸部レントゲンは健康診断などで撮影することも多いので、撮られたことがある方も多いのではないでしょうか。まずは胸部レントゲンで肺の状態を確認し、精密検査が必要であればCT撮影を行う、というのが一般的です。
- また、呼吸機能検査では肺活量を調べることにより、慢性閉塞性肺疾患があるかを調べられます。胸部レントゲンだけでは初期の肺気腫は見つけることが難しく、より正確な診断をするためにはCT撮影や呼吸機能検査が必要です。
治療はどのように行うのでしょうか?
- 肺気腫の治療は、喫煙習慣のある方に禁煙指導をすることから始まります。喫煙習慣が改善されなければほかの治療の意味がなくなり、症状の緩和や病気の進行を止めることもできません。
- 状態によりますが、息苦しさや咳の改善に気管支拡張薬やステロイドなどの薬を処方することもあります。
- また、呼吸機能を改善させるため、呼吸リハビリテーションを行うことも有効です。
悪化した場合はどうなるのでしょう?
- 肺気腫が重症化した場合、在宅酸素療法が開始されます。これは、自分の力で十分な酸素を取り込むことが難しくなるためです。
- 在宅酸素療法では、酸素供給機器からチューブを通じて酸素を取り込みます。さらに症状が悪化し、自力で呼吸することが難しくなると、在宅での人工呼吸器が導入されることもあります。
編集部まとめ
肺気腫は一度かかってしまうと完治させる方法はなく、進行を遅らせることしかできません。第一の予防として、まずは禁煙しましょう。また、喫煙習慣のある方で咳・痰・息切れの症状がある方は、早めに病院を受診するのが良いです。肺気腫は早期発見が難しく、見つかった時には症状がかなり進行している場合もあるため、注意が必要です。