「ナルコレプシー」の主な症状とは?原因についても解説!【医師監修】
公開日:2025/05/09

ナルコレプシーとは睡眠障害の1種です。日中いきなり居眠りを繰り返す、一見怠けているようにも見える病気です。
学業や仕事にも差し障り、なによりも周りの理解が得られないことが大きな苦痛になります。
自分ではコントロールができない眠気のため、仕事や日常生活にも制限がかかります。
そのため、会社勤めの場合は退職を余儀なくされることも少なくありません。ここでは、ナルコレプシーの症状や原因について解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「ナルコレプシー」とは?原因についても詳しく解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
工藤 孝文(工藤内科)
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みやま市工藤内科 院長・糖尿病内科医・漢方医・統合医療医。福岡大学医学部を卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、福岡県みやま市の工藤内科にて、糖尿病内科・ダイエット外来・漢方治療を専門に、地域診療を行っている。NHK「ガッテン!」「あさイチ」、日本テレビ「世界一受けたい授業」などテレビ出演多数。著書は50冊以上におよび、Amazonベストセラー多数。YouTube「工藤孝文のかかりつけ医チャンネル」が現在人気を集めている。
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。
ナルコレプシーとは
ナルコレプシーはどんな病気ですか?
- ナルコレプシーは過眠症の1つで、自分では制御できない強い眠気に襲われ、居眠りをしてしまう病気です。眠気を自覚する前に眠り込んでしまうこともあり、自分で眠気をコントロールすることは困難です。
- 多くの場合、十分な睡眠を摂っていても日中の眠気は軽減できません。コントロールできない眠気は睡眠発作と呼ばれ、1日のうちに何度も襲ってくることがあります。睡眠発作は、長時間の運転中などの単調な状況下で起こりやすくなります。
- 本人に病気という自覚がない場合が多く、発症して何年も治療されずに悪化している方も少なくありません。
特徴的な症状はありますか?
- ナルコレプシーの特徴的な症状は、睡眠発作です。そして、寝入りばなに幻覚を見たり金縛りにあったりするのも、よくみられる症状です。
- 主な症状には次のようなものがあります。
- 睡眠発作
- 入眠時幻覚
- 睡眠麻痺
- 情緒脱力発作
- びっくりしたときなど、喜怒哀楽が激しいときに身体の脱力がみられる情緒脱力発作も知られた症状です。
- この他にも、夜間に熟睡できない夜間睡眠分断や眠りながら行動する睡眠自動症、ものが2重に見える複視などがみられます。
単なる居眠りとは違うのですね。
- ナルコレプシーは「居眠り病」といわれますが、単なる居眠りとは違います。
- 睡眠不足や満腹のときには、誰しも眠気を感じることがあります。しかし、睡眠が足りていようが空腹だろうが、条件に関係なく眠気が襲ってくる病気です。しかも毎日、1日に何度も眠気が起こります。
- 眠気を感じる前に眠り込むことも多く、自分で眠気をコントロールすることが不可能です。
- また、半分眠りながら、仕事をするなどの行動もあります。
- ナルコレプシーはれっきとした病気です。
ナルコレプシーの原因はなんでしょうか?
- ナルコレプシーの原因は、完全には解明されていません。
- しかし、患者さんの脳脊髄液中のオレキシン濃度が低いことが報告されています。そのことから、脳の中のヒポクレチン(オレキシン)を作り出す神経細胞が働かなくなることで引き起こされると考えられています。
- また、インフルエンザなど感染症をきっかけに発症することが多い病気です。そのことから、免疫細胞の異常により、感染源と間違ってオレキシンを作る神経細胞を攻撃するからと推察されています。
- また、頭部外傷も原因の1つです。
- 近年では、遺伝的要素も原因となるのではないかと考えられています。
編集部まとめ
ナルコレプシーは命に別状はなく、「眠れるのだから問題ない」という医師もいるほどです。しかし、患者さん本人には特有の悩みや苦しみがあります。
さらに「居眠りでしょ」という、周りの理解の無さが追い打ちをかけます。完治する可能性は低く、発症から10年20年と治療が続くケースが多いのも苦痛です。
しかし、きちんと専門医にかかり、通院を続けていると上手に病気と付き合っていくことも可能です。
また、10年も治療を続けると半分近くの患者さんが、薬がいらない程度に改善すると報告されています。
まずは信頼できる睡眠障害の専門医に相談をしましょう。