背骨が曲がる現代病「成人脊柱変形症」の見逃せないサインを医師が解説

腰背部の痛みをはじめとする、様々な症状を引き起こす「成人脊柱変形症」。特に近年では高齢化に伴い、「腰曲がり」の患者数が急増しています。今回は、そもそも成人脊柱変形症とはどのような症状があるのかについて、「品川志匠会病院」の光山先生に解説していただきました。

監修医師:
光山 哲滝(品川志匠会病院)
編集部
まず、成人脊柱変形症について教えてください。
光山先生
脊柱が本来の生理的な形から、大きく曲がった形になることを「脊柱変形」と言います。脊柱変形には、先天的なものや学童期に発症するもの、感染や椎体骨折後、脊椎手術後(固定術後)に生じるもの、加齢に伴う変化が積み重なって変形をきたすものなどがあります。そのなかで、成人期に発症した脊柱変形を成人脊柱変形症と言います。現在、日本では高齢化に伴い、加齢による脊柱変形が増加しています。
編集部
「脊柱が変形する」とはどういうことですか?
光山先生
脊柱とはいわゆる背骨のことで、頭側から頚椎・胸椎・腰椎・仙椎という脊椎骨がクッションの役割をする椎間板を間に挟んで、積み重なって構成されています。正常な脊柱は、前後方向に生理的に弯曲することで、少ないエネルギーで立位の姿勢を維持することができます。そして、頚椎と腰椎は前方に、胸椎は後方に弯曲しています。しかし、なんらかの原因により、この弯曲のバランスが崩れ脊柱が大きく曲がってしまう、つまり「脊柱が変形する」ことがあります。
編集部
どのように曲がることが多いのですか?
光山先生
弯曲は、左右方向へ曲がる「側弯」と、前後方向へ曲がる「後弯」とがあります。特に最近は、高齢者の後弯や後側弯が増えています。高齢者の後弯は、腰曲がりとしても知られ、変形が進むと日常生活に様々な支障を引き起こすことがあります。
編集部
たしかに、腰が曲がっている高齢者を多く見かけます。
光山先生
なかには「年のせいだから仕方がない」と、諦めている人も少なくありません。しかし、腰曲がりが進行すると、腰の強い痛みなどにより立位や歩行を維持できなくなり、日常生活に支障が生じます。
※この記事はMedical DOCにて<「成人脊柱変形症」の初期症状はご存じですか? 原因や治療法も医師が解説!>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。