「白内障」手術の流れと眼内レンズの種類とは? 術後の見え方や費用を医師に聞く

視界のかすみやぼやけが進行し、日常生活に支障をきたすこともある白内障。その根本的な治療法が手術です。現在では点眼麻酔による日帰り手術も可能となり、体への負担も軽減されています。手術の流れからレンズ選び、術後の見え方の変化まで長谷川裕基先生に解説していただきました。

監修医師:
長谷川 裕基(はせがわ眼科)
編集部
白内障の手術はどのように行われるのですか?
長谷川先生
手術では濁った水晶体を取り除き、人工レンズ(眼内レンズ)を挿入します。点眼麻酔が一般的で、手術を行う医療機関や病態にもよりますが、日帰りで行うことも可能です。
編集部
眼内レンズにはどのようなものがありますか?
長谷川先生
眼内レンズにはさまざまな種類があり、それぞれに特徴や利点があります。一つの焦点距離にのみ焦点を合わせる「単焦点レンズ」、複数の焦点距離に焦点を合わせる「多焦点レンズ」、ほかにも、焦点距離を広げる機能を持つ「焦点深度拡張型レンズ」や乱視を矯正できる「乱視矯正眼内レンズ」などもあります。
編集部
たくさんあるのですね。
長谷川先生
そうですね。また、費用としては(1)健康保険が適用されるレンズと、(2)多焦点レンズの一部が自費負担となるレンズ、(3)完全に自費のレンズがあります。(2)は施設ごとでの基準があります。主にピントが合う位置が決まりますので、そのエリア以外をはっきり見るのは困難になります。どこにピントを合わせるかを、事前にしっかり決めていくことが大事です。
編集部
ピントの合わない部分にはどうしたら良いのですか?
長谷川先生
眼鏡を使用していただくことになります。「白内障の手術をすれば眼鏡がいらなくなる」と思っている方も多いのですが、単焦点レンズでも多焦点レンズでも、眼鏡が完全にいらなくなるとは限りません。患者さんが求めるレベルも人それぞれで、どこまで追求するかは個人差があります。
※この記事はメディカルドックにて【白内障手術では「近く」と「遠く」どちらにピントを合わせればいいの?【医師解説】】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。