腸に穴が開く!? 「内視鏡検査」のリスクと回避するためにできることを医師が解説

「がんは無症状のうちに進行していることが多い」多くの医師が口をそろえて語る事実です。内視鏡検査は、胃や大腸のがんを早期に発見し、治療のチャンスを逃さないための有効な手段です。とはいえ、内視鏡検査には事前の準備や注意点も。大腸カメラにおけるリスクや合併症の可能性、検査前後の過ごし方まで、木村ジェニファー由衣先生に解説していただきました。

監修医師:
木村 ジェニファー 由衣(川越駅前ゆい消化器内科・内視鏡クリニック)
編集部
症状が出る前の検査が大事なのですね。
木村先生
はい。胃がんや大腸がんは、症状が出た時点で進行していることが多いので、症状のないうちに検査を受けることが早期発見・早期治療につながります。35歳以上で、これまでに一度も内視鏡による検査を受けたことがない人は、ぜひ検査を受けていただきたいですね。
編集部
検査時の注意点はありますか?
木村先生
例えば、抗血栓薬や抗凝固薬などのいわゆる「血液サラサラの薬」を服用している人は、出血した場合に止まりにくくなるリスクがあるので、事前に必ず申し出てください。医師が内服の確認をして、必要があれば中止の指示をします。
編集部
ほかにも、気をつけた方がいいことはありますか?
木村先生
検査前日の食事は、繊維質の多いものや油分の多いものは控えていただいています。また、当日は腸の中を空っぽにするため、下剤を服用して排便を促します。
編集部
大腸カメラに伴う合併症などはあるのですか?
木村先生
稀ですが、スコープの挿入により、腸に穴が開いてしまうことがあります。穴の開く場所はS状結腸が多いですね。また、ポリープの切除時に、出血したり腸に穴が開いたりすることもあります。すでに直腸やS状結腸などにがんがあった場合は、腸が狭くなっていることも多く、下剤ががんの手前で渋滞を起こして穴が開くこともあります。
編集部
腸に穴が開いたら、どうするのでしょうか?
木村先生
緊急手術の対象となります。合併症が起こらないよう、また、万が一起こってしまっても適切な対応ができるように、技術のある医師や信頼できる医療機関を選ぶことが大切です。
※この記事はメディカルドックにて【「大腸カメラ」で“腸に穴が開く”可能性があることをご存じですか? 合併症やリスクを医師が解説!】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
- メディカルドック